第一章3 『容姿が幼い権力者』
「高校に行ってみませんか?」
と双葉 楓は唐突に言い出した。
―――――『東亜国立高等学校』―――――
そこは魔法師を育成する機関で、高校といえど東亜一の学力と実力を持つ者たちが集まる所らしい。
俺に高校に行けというのだ。
(大戦中は戦闘ばかりだったし、高校生活を送るいい機会かもな)
「分かった、他にやることもないし... 行くことにしよう。」
「そうと決れば早速入学手続きしよ。」
「入学試験とかはいいのか?」
「あ、試験は昨日終わっちゃったんだ。 でも私、それなりのコネはあるからなんとかなると思うよ。」
目をキラッとさせて、手で謎のジェスチャーをしながら微笑んだ。
(なんのサインなんだ... あの手は...)
そして、「ちょっと持っててね。」と言い残すと、いかにも未来風の白いスライドドアをくぐり、奥の部屋へと行ってしまった。
待つこと2、3分...
「はい、入学許可降りたよ。」
とまたしても謎のジェスチャーをしながら戻ってきた。
「もう許可が下りたのか?」
「うん、そうだよ。 理事長が私の推薦だったら入学許可証だすって言ってくれてね。」
「何というか...楓は権力者みたいだな。」
どこか怪しい気もするがここは流れに身を任せるか。
何せここは500年後の世界だ。
我ながら右も左も分からない。
「言ったでしょ、コネがあるって。 あと、いきなりの名前呼びはずるいな。 私も下の名前で呼びたい... なんてね...」
「...別に俺は構わない、好きに呼んでくれ。」
「い、いいの? じゃあ、て、帝一くん。 よろしくね。」
「こちらも、これから世話になると思う、よろしく頼む。」
そして彼女の手はまたしても...
「あと、その手のジェスチャー? はなんなんだ?」
さっきから彼女の手の動きが異様に気になってしまった。
片方の手を『チョキ』にしてもう一方の手の人差し指をチョキチョキと切っているような具合だ。
「...ああ、これのこと?」
楓は『チョキチョキ』を見せつけてくる。
「ええっと、特に意味はないんだよ。 『めんじ』っていうんだけど、今の流行りっていうか...」
「なるほどな、『まんじ』とかいうものと同じか。」
「ん? 『まんじ』って?」
「いや、聞かない方がいいぞ。」
話が面倒になりそうだったので俺は早々に話を切り上げた。
読んでいただきありがとうございます。
高校に行くまでのくだりが長くてスミマセン...