15/21
第一章12 『一枚の写真』
俺は展示スペースの最奥へと向かった。
どうやら写真や、絵が飾ってあるらしい。
人だかりの向こう側に一枚の大きな写真が展示してある。
先ほどから、キヨの姿が見えないと思ったが、彼もまた人混みの中にいた。
―――――『2224年 東亜軍軍人らの集合写真』―――――
写真の横にそう添えられていた。
中央にいる、もやがかかって微妙に顔が見えないのが俺だ。
いや、写真が嫌だったから、わざともやを作って見えないようにしたんだったな...
俺の右は巨漢の『李』
そして左は... 『小鳥遊』...
長い桃色の髪と整った顔の可愛い奴だった。
彼女は特別部隊の参謀であり、俺の幼馴染―――――
物心ついた時から一緒にいて、士官学校でも同じクラスだった。
...腐れ縁というやつだ。
ただ――――― 彼女は決して自分の名前を他人に言おうとはしなかった。
それは俺に対しても一緒だ。
聞こうとしても、「小鳥遊って呼んで。」 という言葉が返ってくるだけだった。
彼女は俺が死んだあと、どうしていただろうか...