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あたしの想いを行く。


「――いいじゃん? 好きだし」


「そういう台詞は他の女に言いなよ。あたしにそういうこと言うのは無駄だから」


「へ……いや、ちょっとまっ――」


「来んなよ、馬鹿野郎。あんたは可愛いって女の子に近づいておけばいいんだ。あたしに近づくな!」


 まただ。あたしなんかがどうして男の子に好かれてしまうというのだろうか。それも、耳ピアスでいかにもチャラそうにしているくせに、顔だけ見れば無理やりにでも弟にして、頭をわしゃわしゃとしたい……そんな男ばかりがあたしに近づいてくる。


 あたしには兄がいる。だけれど、そこにコミュニケーションなんてものは存在していない。あるのは、家族という事実だけだ。出来の良すぎる兄は、出来が悪すぎる妹を妹として認めていない。


 こんなあたしでも、野良猫だったり野良犬だったり、人よりも動物。動物に愛情を注ぐ気持ちだけは備わっていて、実の兄からの愛を注がれない代わりに、生きとし生ける動物……特に哺乳類とか鳥類とかには、愛を真っ直ぐに注いできたつもり。


 それがどういうわけか、高校に上がってから見た目がチャラそうなのに、妙に動物っぽい男に近づかれるようになっていた。あたしはといえば、そういう面倒な思いも想いも要らないと言わんばかりに、近づくなオーラを出しまくっていた。それなのに、勝手に近づいてくる。それだけならまだマシなのに、どうして彼女もちの男ばかりが近づいてくるんだ。ふざけんな、マジで。


 時葉ときはこころ、高校上がりたて。あたしは、あたしの想いを行く。寄ってくるなら、あたしだけを――。

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