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アスラ家を買う

「少し話し込んでしまいましたね、では私も同行しますので不動産屋へ出掛けましょう」

「アルンさん、お願いします」


 アルンさん同行の元、少し()が有るという不動産屋の所へ行く事になった。


「アルンさんは俺がイナリだと知っていたのに、どうして奥さんの事を知らせてくれなかったんです?」

「その事ですか、それはアスラさんが他の妊婦の方を診るのに毎日忙しそうにしていたので、落ち着いてからジックリ相談しようと思ったんですよ」

「そうだったんですか」

 そうだな毎日休み無く一人一人の妊婦さんを診て回っていたからな。


「アスラさんは家を購入すると言う事は、ずっと王都を拠点に行動するのですね?」

「一応王都を拠点にしますが、近い内に王都を離れて旅をしようと思ってるんですよ」

「え?王都を離れて旅に?ルチハちゃんとシャルちゃんも連れて行かれるのですか?」

「いえ、二人共置いて行きますよ。ワザワザ危険な旅に連れて行きませんよ」

「そうですか、差し支えなければ何方へ行かれるのか、お聞きしても良いですか?」

「いいですよ確か都市名が ”鉱山都市ベルク”だったかな?」

「鉱山都市ベルクと言えばドワーフの街ですね、私も一度だけ行った事がありますが、着くまでが大変な所でしたね」


 鉱山都市って言うからには、恐らく山を切り拓いたような所にあるんだろうな。


「あ、アスラさん見えて来ましたよ、あの表に花壇のある建物ですよ」

「あそこか」

 ほう玄関先にキレイな花が咲いた花壇か、手入れもされてるようで中々いいじゃないの。


「アスラさん、少し私から離れていて下さいね」

「え?あ、はい」

 なんだろ?何かあるのか?


「バード!居ますかー?私ですアルンです、バード居ますかー!」

「は〜い!」ダダダ

 玄関先に表れた人を見れば、パッと見モデルかな〜って思いそうなイケメンのお兄さん?だった。

「あっら〜アルンちゃんじゃないの〜♡私に会いに来てくれたの〜♡」バッ!

「バード!私にこれ以上近づくと刺しますよ」キラリ

 あ、アルンさん、いつの間にナイフを出したんだ?


「あっら〜♡こんな乙女にナイフをチラつかせるなんて、失礼しちゃうわ!大丈夫よ貴方には大事なミリーネちゃんが居るのは知っているから♡」

「今日はバードに、お客様を紹介に来たんですよ」

「あっら〜お客様を紹介に来てくれたの♡どこどこ?」キョロキョロ

「アスラさんこちらへ」

「あ、はい」

 なんだ、この人は?


「あっら〜可愛い坊やじゃないの♡」

「ア、アスラです、よろしく」

 コレは間違い無く お約束だよな。

「私はバード!アスラちゃん、よろしくね〜♡」

「アスラさん、察しの通りです」

 ですよね〜そんな感じは、しましたよ。


「バード、詳しい話は中でしましょう」

「そうね、お仕事お仕事、頑張らなくちゃ!アスラちゃん中へ入って♡」

 俺 大丈夫かな?アルンさんが居るから大丈夫だよな…一応俺もナイフを用意しとこう。


「じゃあ お仕事始めましょうかアスラちゃん♡は、どんな お家を探しているの?」

「えーと、家族が3.4人住めて一階に将来飲食店を出そうと思っているから、そんな感じの家かな」

「なるほど〜、それは新築?それとも中古物件かしら?」

「バードさん中古物件で」

「アスラちゃん、私の事はバードお姉ちゃんって呼んでね♡」

「え!」

 そんなの呼べるか!あんたどう見ても男だろ!しかし女装しないで女言葉って!


「アスラちゃん♡恥ずかしがらなくてもいいのよ♡さぁさぁ」

「じゃあバードオネエ」

「ん〜何か、しっくりくるけど棘があるわね〜まぁいいわ♡中古物件ね」

「バード、アスラさんが困ってるじゃないですか、真面目に物件を探して下さい」ギロ

「キャ!アルンったら、そんなに私を見つめて!貴方にはミリーネちゃんが居るでしょ♡」

「バード、本当に刺しますよ」

「もうアルンったら♡」


 この人大丈夫なのか?アルンさんとは友人みたいだけど…アルンさんは信頼出来る人だから、ここは信じてみるか。


「アスラちゃん聞いてる?アスラちゃんが探している物件なら3件あるわよ」

「3件あるのか」

「アスラさん、時間がおありなら早速見に行きましょうか」

「俺は全然大丈夫ですけどアルンさんは大丈夫なんです?」

「私も大丈夫ですよ、寧ろバードとアスラさんを二人だけにするのは危険ですからね」

「え!」

「もうアルンったら〜変な事言うからアスラちゃん固まったじゃないの〜」


 二人だけになると危険って!怖い、怖すぎる!絶対二人っきりにならないようにしないと!

 バードオネエに案内され最初に見に行った物件は都内から少し外れた所にあり、建物自体もかなり古く直ぐに住むには改装に時間が掛かりそうな物件だった。


「ここはパスかな」

「そうですね都内からも離れてますしね」

「じゃあ次行くわよ♡」


 次に訪れたのは都内は都内だけど、所謂裏路地…ルチハとシャルの事を考えたらダメだな、物件的には良いんだけどね、後々何かあった時に嫌だからな。


「ここもパスかな物件的には良い建物なんだけど妹達の事を考えたらダメだな」

「そうですね、私も同感ですね。王都とはいえ全ての場所が安全だとは限りませんからね」

「あっら〜アスラちゃんって妹さんがいたのね〜一人で暮らすなら、お邪魔しようと思ったのに残念だわ」

「ハハ」

 一人暮らししても、あなたは絶対に家には入れません!ルチハとシャルがいて良かった。


「残すところ最後の物件になりますね、バード最後の物件は大丈夫なんでしょうね?」

「んーそうね〜今までの物件に比べたら少しグレードが上がるから、お値段も上がっちゃうかしらぁ」

「取り敢えず見に行きましょう」


 最後に訪れた物件は中々いいじゃないの、赤レンガ作りの何と言うかレトロな雰囲気を醸し出した建物。この場所なら治安も悪くない立地的にも問題無い周りを見ると飲食店は無いもののそれ以外の店はチラホラと何軒かある、やすらき亭まで徒歩30分位かな?問題は建物の中かな。


「鍵を開けるから中も見てね〜♡」

「アスラさん中を確認しましょう」

「そうですね」


 中へ入ると道路に面した側が店舗になっている、元は何だろう?カウンターがあり喫茶店風な作り、四人掛けのテーブルを三つ置けるスペースは、あるね。

 店の奥は少し広めのリビング的な感じ、風呂は無いけどシャワールームは有るのか、お!狭いが裏庭も有る、二階に上がれば部屋が3部屋あるね。


「アスラちゃん、他の物件には無いものが、この物件には有るのよ〜」

「え?」

「ここよ」

 バードオネエが指差す方向を見れば下。

「なるほど地下室が有るのか」

「当たり〜♡でも地下室に入る鍵忘れちゃったテヘ♡」

オッさんがテヘペロするな!

「アスラさん、ここ中々良い物件じゃないですか?」

「そうですね俺もそう思ってた所ですよ。ここにしようかな?」

 ウンここにしよう。


「アスラちゃん、もうここに決めちゃいなさいよ〜サービスするわよ♡」

「バード、この物件のお値段は如何程ですか?」

「そうね〜ざっと、こんなものよ」

 何やらザッと計算してメモ擬きに書き込み、それを渡された。

 凄い金額というだけで相場が分かりません!なのでアルンさんに相談してみた。


「アルンさん、コレって高いのか安いのか相場が分からないんだけど?」

「ちょっと拝見しますね、ふむふむ」

「ど〜おアルンちゃん?」

「バード、もう少し安くなりませんか?」

「あっら〜適正価格よ〜」

「そうですか?あちこち壁の塗装は剥げてるし、ここなんか板がキズ付いていますね〜若い嫁入り前の娘に怪我でもさしたら大変ですね、管理してる割には掃除も行き届いて無い、裏庭の雑草は伸び放題、中古とはいえ高い買い物をするんですから一通り悪い箇所が無いかチェックした方が良いですね」ニコ

「んっもう、アルンちゃんには負けるわ〜一度見直して見て改善するから一週間待ってね♡」

「あ、そうそう家を購入するので王都へ税を納める手続きもサービスして下さいね」

「あんもうアルンたら、ちゃっかりしてるんだから、分かったわ♡」

「じゃあアスラさん帰りましょうか」

「あ、はい」

「アスラちゃん♡一週間後ね〜私のお店へ来てちょうだい♡またね〜♡」




 バードオネエから無事に別れる事に成功した帰り道、アルンさんに聞いてみた。


「アルンさん、あの物件は俺の資金で買えたんですか?」

「あー、問題無く買えましたよ。更に半分は残っていますね、支払いの時は私も同行するので残り半分で家財道具など必要な物を買われてはいかがですか」

「半分も残ったんですか!じゃあアルンさんの店で買える物は買わせてもらおうかな、今度ルチハとシャルを連れて買い物行きますね」



 その後アルンさんに同行してもらったお礼を言い他愛無い事を喋り別れた。

 宝石の換金分は家購入分を差し引いた残り半分を後日来店した時に渡してくれるとか、まぁその時にアルンさんの店で色々買うけどね、さーてと帰ってルチハとシャル、それとマスター達に報告だな、どんな顔するか楽しみだ。

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