往診終了
マリン婆さんに連れら妊婦さんの容子を診に行く事なった俺は初日、無事?に終了した。
初日に十人しか診れなかったけど、四人目以降は逆子の妊婦さんは居なかった。でも出産ギリギリまで働く人も何人か居るようなので、腰が痛いとか凄く肩凝りがするとか、まぁあの大きなお腹を支えているのだから当然だろう、そういった人達には一言断りを入れ、マッサージをしながらヒールをして癒し終え、その日の往診?は終了。
もう一つ気になった事があったのでマリン婆さんと別れた後に狐面のまま、アルン商会へ行き店内を見渡し欲しい物があったので購入して店を後にしたけども狐面を、着けたままなので他の客とかにもジロジロ見られてたけど、そんなの気にしない。
流石アルン商会 色々品揃えが良いね、その後は誰も居なさそうな裏路地へ行き変装を取って、宿へ歩きながら帰る事にしたのだけど…マリン婆さんの最初に言っていた言葉を思い出し、まさかなぁ〜でもあり得るよな、「アタシの受け持って居る」この言葉が妙に引っかかるんだよな〜。
普通に考えて、この広大な王都に平民だけを相手するにも産婆が一人って有り得ないよな…
余談だがマリン婆さんと別れる間際に今日のお駄賃と言われ報酬を渡された、別に要らんけど、有り難く頂戴しました。
翌日その予感は的中した待ち合わせ場所に行けば何人かの老婆が十人程そこに居ました!中には若干若い?おばちゃんも居たけど、まさかなぁ〜?
「皆の者!こちらは先程話したイナリ先生じゃよ、説明したようにイナリ先生の事は要らぬ詮索をしないようにな」
一斉に皆さん「よろしくお願いします」と挨拶してる
「ちょマリン婆さん、この人達は一体?」
「アタシの産婆仲間じゃよ、流石に一人で王都の お産は無理じゃからな」ニマニマ
アンタの事は誰にも内緒にしようと思ったんだけどね、アタシの仲間は信頼が置ける者ばかりだから、つい話してしもうたわい、すまないね。
ですよね〜なんとなく、そんな予感はしましたよ。
その日から紹介された産婆さん達が代わる代わる毎日、出産が近い妊婦のとこへ回る事になったよ、コレっていつ終わるんでしょうね?
妊婦さんのとこへ一人ずつ回りながら、妊婦さんだけじゃなく家族、特に子供の居る家族も視野に入れて、子供達が風邪とか他に病気にかかっていないか妊婦さんに確認し病気の子は、その場で治し治療後アルン商会で購入した、どんぐり飴擬きをあげると凄く喜んでいた。
お菓子とはいえ、結構良い値をしてたからね、普段気軽に食べれないから喜びも大きいんだろね。
そうして約1カ月程で全ては終わったかのように思われたが、噂が噂を呼び中級層つまり貴族じゃないけど商売とかに成功して、お金を持ってる人達の事だね、その中級層からも何処からか分からない伝で、お呼びが掛かり更に1カ月程、妊婦さんを診る事になったよ。
下級層からは、一切治療費を頂かなかったが中級層からは、少し頂く事にした。だってこれ以上引っ張り回されたら俺の自由な時間がなくなるじゃん。
そしてほぼ2カ月の時間を使い妊婦さんの往診が色々あったが終了し、今日はノンビリと過ごそうと思っていた矢先、王宮から使者がやって来た。
まぁ王宮からと言うか爺さんからだけどね、あの日以来王宮へは行ってないし連絡すらしてないから、爺さんも痺れを切らしたのだろう……お姫様が爺さんに頼んだのかな?まぁソロソロお城へ行こうと思っていたから丁度いいや、行ってみよう。
◇ ◇ ◇
侍女さんに案内されいつもの部屋で、待っていると、暫くして爺さんがやって来た。
「小僧久しいの」
「あー、爺さん久しぶり、今日は何の用事なんだ?」
「そうじゃの、ふたつ程あるんじゃ」
「えー、そんなにあるのか?厄介事は勘弁して欲しいんだけどな」
「まぁ〜そんな嫌な顔をせず聞くだけでも聞いて欲しいんじゃ」
「ひとつ目は簡単じゃ、姫様が小僧に会いたがっておられるから、この後にでも お会いして欲しいんじゃ、簡単じゃろ?」
「あー、それは大丈夫だ!爺さんに言われなくても会うつもりさ。で、ふたつ目は?」
「うむ、ふたつ目がの少し厄介なんじゃが小僧なら何とか出来ると思うてな」
「………」
厄介事かよ!ホント、マジで勘弁して欲しいって!
「ダメか?」
「取り敢えず聞いてから判断する!」
「そうか、じゃあ話すぞ。今王都で一人の男が噂されとる」
「噂?俺の耳には入ってこないな?」
「そうか、小僧は耳にしてないのか?その素性の知れぬ男は白ローブに狐の面をしておるのじゃ」
「ハ?」
え、白ローブに狐の面って…
「ワシも噂しか耳にしてないからの〜」
「爺さん、その狐面の男がどうかしたのか?」
「うむ、貴族連中が毎日ウルサイんじゃ、何でもかなり凄腕の医術師らしいからの、唯素性が知れぬ上に仮面までしておるからの〜おいそれと屋敷へ招き入れるのも危ないとかで、せめて素性が分かれば済むんじゃが…」
貴族連中も焦っておるんじゃろう、陛下が姫様の婚約相手は既に決まって居ると貴族連中に言うもんじゃから自分の嫡男や子弟に姫様の婿へと考えてた輩が多かったからの〜ワシにまで、色々と頼み事をして来る位じゃから別の何かを取り込もうと必死なんじゃろ
「それで俺に、その狐面の素性を調べろと?」
「まぁ早い話しが、そう言う事じゃ。貴族どもも、狐面と接触を試みたようじゃが、後一歩の所で見失うらしいんじゃ」
なるほどな、チンピラ風じゃない誰かに後を付けられているのは気付いていたけど、そう言う事だったのか。
「爺さん、その狐面は暫く王都には現れないぞ?」
「小僧お主、その狐面の事を何か知っておるのか?」
「だって狐面は俺だからな」
「な、何じゃと!」
バックから狐の仮面を取り出しテーブルに置いた。
「まさか小僧じゃったのか」
「そう言う事だ!そして暫く狐面は王都から姿を消す予定だからな」
「姿を消す?どう言う事じゃ?」
暫く姿を消す理由を爺さんに話し出した。
それは中級層で、ある一件での事だ。その日も妊婦の往診に出掛けた俺は凄く金を持ってそうな豪商に妊婦を診て欲しいと屋敷に招かれて行ってみると、いきなり妊婦のいない部屋へ閉じ込められ監禁させられた事を爺さんに伝えた。
この事はマリン婆さんには言っていない、言ったら心配するからな。
「俺を利用して金儲けを目論んでたんだろな、屋敷にいてる奴等ボコボコして帰ったけど、だから素性が知れて俺の近くに居る者達にまで危害が加わるのを避けたいから暫く狐面は居なくなる」
「ふむ、そう言う事なら仕方ない、貴族達にも狐面は既に王都には居ないと伝えておこうかの」
「爺さん、俺からも用件が、あるんだ」
「ワシにか?」
「狐面だけの話しじゃなく俺も暫く王都を離れるんだ」
「なんじゃとー!」




