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双方の依頼

 病んでたエルフ達を全員完治させた事もあり改めて歓迎の宴が開かれる事になり呑めや歌えの大騒ぎ、エルフの華麗な演舞のような踊りまで観せてもらい大いに盛り上がっている、一人だけ違う意味で盛り上がり…いや自棄酒を呑んでる変態が居る。


「アスラさん、この度は里の者を代表して、お礼を言わせて下さい。本当に有り難う御座います」ペコ

「あ〜 もういいよ、俺の気まぐれで勝手にやってる事だから」

「本当に貴方と言う人は…」

 まるで五百年前のケンジ様と同じではないですか…


「アニエス長老どうかした?」

「いえ何でもありません。ところでアスラさん治療の報酬何ですが、何か希望なモノが有れば言って下さい」

「あ〜別に報酬目的でやってないし、お礼の言葉だけで充分さ」

「いえ、そう言う訳にはいきません。貴方には大した事でも無いようですが私達エルフにとって貴方がして下さった事は大いに意味のある事なのです」

 アスラさんを見ていると、当時のケンジ様を思い出しますねフフ


「別に欲しいものは〜あ!」

「何かご希望なモノでもありましたか?是非お聞かせ下さい」

「え〜と(マジックバックをゴソゴソ)これを加工出来るかな?」

「これは?獣の手…()()()()()()の手じゃないですか!?」

 って、今何も入ってない背負い袋から出しましたね!取り敢えずそれは時間のある時にでも聞きましょう。

「そうキラーモールの手、加工して欲しいのは爪の部分なんだけどね」

「それは大丈夫です。私達エルフは他の種族と違って長命なので、その時間を使い色々な物作りに精通する者も多いのです」


「へ〜武器とかも?」

「勿論武器も作りますね、そこそこ良い物を作る自信はありますが、やはり武器防具に関してはドワーフの物作りには敵いませんね」

「まぁ作って欲しい物は武器じゃないけどね、包丁を作って欲しいんだ」

「包丁を?アスラさんは料理など()さるのですか?」

「いや俺は料理の腕は全然駄目でハハ、お世話になってる人へ包丁のプレゼントをね」

「ほ〜それは良い事ですね、分かりました。その手に詳しい者を呼んできましょう」


 アニエス長老の手配で数名ほど、その手の職人達がやって来て快く引き受けてくれた。

 次いでと言っては何だが本来自分の道具用に素材が欲しかったので、駄目元でエルフの職人さんに俺の欲しい道具も依頼したら、全然問題無く作れるそうだ。ラッキー!

 そんな事を職人さん達とワイワイ話していたら武器担当の職人さんも、やって来て是非お願いしたい事があるとか。


「と言う訳でキラーモールを討伐してほいのだが、アスラさん頼めるかな?」

「あー、全然いいよ」

「アスラさん、お疲れの所申し訳無いです。本来なら私達が討伐しないと駄目なのですが、キラーモールは常に地中で生息している獣なので、滅多に地上に出てこず討伐も中々出来ない始末でして…」

「全然大丈夫さ、俺に持って来いの依頼だから任せとき!」


 なんでもキラーモール(マナの森では害獣)は自分の住処を作る際にトンネルを掘る、まぁモグラだからな〜 その時に邪魔な木の根、つまり果物とか食用の木の根を齧ったり爪で削り取ったりと駄目にしちゃうらしい、一番厄介なのが大樹の根を削り取られるのが問題みたい、エルフにとっても、この森にとっても大切な木だって。魔素の源なのかな?と言うかモグラはバカなのか?マナの大樹を傷付けたら森がダメになるとか、自分で自分の首を絞める事が分からないとは、バカなんだなきっと、討伐してしまおう。


 話の流れで大樹の名前を期待を込めて聞いて見れば『マナの大樹』だって、世界樹じゃないのかよ!

 まぁ何にしても討伐して来た獲物の肉は食べれるし素材の爪は弓矢の(やじり)になるようだ。

 キラーモールの肉は少しクセがあるから、ちょっとした工夫で美味しく食べれるって、それはいい事を聞いた、是非そのひと工夫で美味しく召し上がりたい!やる気出てきたぞ〜!


「ね〜アスラ()()()()()お話は終わったんでしょ?今度は私達の相手をして」

 振り返ると、小悪魔が居た!

「あのな〜いつから俺はアリアの、お兄ちゃんに成ったんだ?アリアの お兄ちゃんは、あそこで酔い潰れてエルフ(女性)に介抱されてる奴だろ?」

「反省するまで放っておいたらいいの、それより私達と、お話ししようよネ!」

「仕方ないなぁ〜」


 取り敢えず俺の依頼の件はエルフの職人さん達に伝え終えた事だし、仕方ないから相手でもするか。

 アリアの後ろを見ればエルフの子供達が居る、子供のエルフが居るのは知ってたから昨夜与えられた部屋で寝る前にコッソリ作った綿菓子でも出してやるか。

 ゲーハー国で作ってもらったタライ型の鍋はデカくてバックに入らなかったからヴァルトリアの王都で組み立て式のモノを作ってもらって正解だな。


「アスラ()()()()()コレおいし〜」

 どの世界でも、お菓子は子供に大人気だな。みんなキャキャと騒ぎながら珍しそうに食べれるし。

「アリア、お前は俺より年上なんだから、お兄ちゃんと呼ぶな」

「エー!私人間の歳で言えば、まだ15歳位だよ?」

「マジか!」

 イマイチ、人間とエルフの年齢の差が分からん?

「そ、だからアスラ()()()()()より永く生きてても年下だよ」

「む〜確かに17と15じゃ年下だけど…何か、しっくりこないな、と言うか強調して お兄ちゃんと呼ぶな!ベッタリくっ付くな誤解される!」

「え〜 だって私もう恋愛自由なんだよ?兄さんからも、お許しでたのに〜」

「これこれアリアよ、余りアスラさんを困らすもんじゃないぞ」


 お、アニエス長老ナイスタイミング!

「は〜い、アニエス長老様」

「アスラさん、少しお話ししたい事があるのですけど」

「あ、はい 何かな?」

「アリア少しアスラさんを借りるぞ」

「は〜い、じゃまたねアスラお兄ちゃん」



「アニエス長老助かったぜ」

「そうでしょう、少しアスラさんが困った顔をしていたものですから、ついね。あの子アリアも甘えたい年頃なんですが甘えたい兄が()()ではね〜、それで多分アスラさんを理想の兄にして甘えているのでしょう」

「うむ、納得!で話と言うのは?」

「大した話ではないのですけど、アスラさんがお持ちの背負い袋が気になりまして、私達が調べた時、確かに空だった様に見えましたので」


「あー、これか。これマジックバックだぜ、しかも容量未定の時間停止付き、恐らく俺限定にしか使用不可だと思う」

「え!これがマジックバック!?しかもそれらの機能付きで…」

「え?そんなに驚く事?長老も持ってたじゃん」

「いえ私のマジックバックは……リーレオン様がお作りになられたマジックバックには魔方陣などが組み込まれ、どちらかと言えば魔道具に近い代物でして…その様に普通の背負いとは全く異なるモノです」

「そのリーレオンとか言う人は知らないけどマジックバックって普通に流通してるんじゃないの?」


「アスラさんはご存知ないようですので説明します。マジックバックは普通に流通しています、ですがそれはバックの中に入る容量の違う物のみです。私の知る範囲では時間停止付きのマジックバックは今の時代作れる者が居ません。あるとしてもリーレオン様がお作りに成った数点のみ!アスラさんがお持ちのマジックバックは、リーレオン様の作品ではないものです」


 エー!そうなんだ?これは大変な事を聞いてしまったな、注意して使用しないとダメじゃん、これがマジックバックと知って居る者は…………………何とか全員信用出来る人達だ、良かった。


「どこで手に入れられたのですか?」

「これは名前は言えないが、とある人から頂いたとしか今は言えないゴメン!」

「失礼しました、これは私が永く生きているエルフと言う事で唯の興味本位なので、お気になさらずに」ニコ

 その後はアニエス長老と雑談しながら歓迎の宴を楽しんだ。

 ん?ヴォルフ?ヴォルフは腹一杯食べ過ぎて横に成ってたら、皆んなに撫で回されて満足して寝ちゃってたよ。ハハ



 しかしあのリュックには凄い秘密があったのか、でも言える訳が無い!だって、とある人って神様だから!神様もちゃんと説明しといてくれよ〜!俺が悪い奴に狙われたらどうするんだ一体!


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