ダンジョン〜これは何の実?
・決意に向け十階層のボス戦へ向かうアスラとヴォルフ、そこで待ち構えるボスとは…一体?
「さーて、ここがボス部屋か、いいかヴォルフ何がでても油断するなよ、自分のやるべき事をすればいい」
「ウォンウォン!」ウン分かったよ、ご主人様!
「さぁ扉を開けるぞ」
扉を開け中へ入ると思ってもいない光景とボスらしきモンスターが居た!
「これは…闘技場…コロシアムか」
しかも目の前に居るモンスターは鬼…『オーガ』だ。
待ち構えるだけで何故襲って来ない…?俺らが雑魚だからか?いや違う…闘技場だから死合形式か…一歩でも入り込んだら始まるんだろうな。
「ヴォルフ行くぞ」
「ウォン!」
一歩足を入れた瞬間!
ドォシャアアアアアアアアアァンッ!
死合始まりの銅鑼が鳴った!
「グゥオオオオオオオオオオオオ!」
ダダダダッー
・銅鑼の音が鳴った瞬間、アスラとヴォルフに向かって走り出すオーガ!その手に持つ武器は大剣!
「ヴォルフ!散れ!」「ウォン」バッ
・アスラと距離を取るヴォルフ、単身でオーガを待ち構えるアスラへ上段から大剣を振るうオーガ!
「グゥオオオオ!」ビュンッ ガギィン!
・装備していた鉄のトンファーをクロスさせ大剣の一撃を受け止めるアスラ!
「ウォオオオオン」ガブッ!ガリッ!
ガラ空きのオーガの足に噛み付くヴォルフ!
「グゥオオオオ!」シュン
ドカッ「ギャヒィン」
オーガも負けじと噛み付かれてない足でヴォルフを蹴飛ばす!
「どりゃー」背中もガラ空きだって!
ドカッドカッドカッ!
「グゥオオオオ!」
・苦し紛れに横薙ぎに大剣を振るうオーガ!
キンッ!トンファーで、その攻撃を受け止めすかさずオーガの懐へ飛び込むアスラ、次に取った行動はオーガの腰に両腕を回しロックする!
「むん!」グイィッ!
「グゥオ?」
・オーガの足が地から離れた瞬間!
ドカッツ!裏投げが極まる! 突然の攻撃に大剣を手放すオーガ。
「今だヴォルフ!顔面を噛み砕け!」
「ガルルルゥ」ダダダダッ ガブッ!
・オーガの顔面に喰らいつくヴォルフ!
「グゥオオオオオオオオオオオオ!」
・余りの痛さに顔面からヴォルトを払うオーガであったが両目ともヴォルフの風の牙で潰れて仕舞い隙だらけになる!そこへ
今だ!心臓へ(ヴォルトキネシス!)
バリバリバリバリバリバリバリバリバリッ!
「ギィガガガガガガガガガ………!」
……フラグ立ちそうだから暫く無言で様子を見て待とう。
・無惨にも心臓へのヴォルトキネシスが致命傷となり殆どなす術もなく散ったオーガであった。
暫く無言でオーガの死体を見て何も変化がないのを確認した。
「フゥー、ヴォルフよくやった」ナデナデ
「ウォンウォン」エヘへ
何日もかけて同じフロアを行ったり来たりして鍛錬した甲斐があったな、初のオーガ相手でも余裕で挑めた。ヴォルフもかなり強くなったしな。
カチッ、カタン!
「ん?」
音がする方へ振り向けば宝箱が出現している、少し警戒しながら宝箱へ手をかける。
「さて、何が入ってるんだろ…」”パカ”
期待に胸を膨らまし宝箱を開けて見ると…
「何コレ?」
宝箱の中には何かの実が入っていた!
「はぁ?何だコレ?ハズレなのか?」
「ウォンウォン」ご主人様ボクも見たい見たい、何が入っていたの?
「ヴォルフも気になるのか?何かの実だ」
「クゥ〜ン」エ〜肉じゃないのー
「取り敢えずバックに入れとこ」ポィ
実を宝箱から取り出しバックに入れた瞬間地面が光輝き出した!
「え、なんだ!」くっ、この光は!
「ウォンウォン」ご主人様眩しい!
サァーーーーーーーーーーーーーーー…ッ
光が収まり辺りを見れば!
「ウォンウォン」ご主人様、森だよ
「え、森…ダンジョンの森じゃないよな?」
おー出てこれた、思ってたより階層が浅かったんだ。最後に足元が光ったのは転移の魔方陣だったんだろな。
「ヴォルフ、森に帰ってこれたぞ」
でも出て来れたけどダンジョンの入口、洞窟の前じゃないよね、ここって。
「ウォンウォン」わーいわーいブンブン
「ハハ」
尻尾あんなに振り回してダンジョンから出てこれたのが、よっぽど嬉しいんだな。
そりゃそうだな、いつ出れるか分からない所に居たら肉体もだけど精神も参りそうだし、俺も一人であんな所に居たら絶対パニクってたと思うしな。
しかし十階層しかないからシャルとかのレベ上げするには丁度良いなダンジョンコアも破壊してないし、って無理か、森の魔素が濃すぎてココまで来れないか…。
まぁその事はいいか、しかしあの宝箱の物って何の実だ?食べれるのか?バックをゴソゴソし、取り出してジッと見る、分からん、見ようによってはライチに似ている。匂いを嗅ぐ、分からん。
「ヴォルフ、この実は食べれると思うか?」
ヴォルフが近くへ寄って来て実の匂いをクンクン嗅いでいる。
クンクン「ウォンウォン」甘い匂いがするよ
ワンワンと鳴かれても、サッパリ分からん。
一か八か食べてみるか、腹が急に痛くなったら直ぐにヒーリングかけて。そうしよう
「ヴォルフ、今からこの実を食べようと思う、言ってる事 分かるな?」
「ウォン」ウン分かるよ
「お前も半分食べるか?要るなら鳴くな、分かったか?」
「……」食べる食べる ブンブン
鳴かないと言う事は、言葉が通じて理解したと言う事だね、ホントこいつ賢いわ。
そして何か分からない実の半分をヴォルフに渡し食べるのを少し待つよう伝えた、半分にしてみたら ん〜中身もライチみたい」
「ヴォルフ、まず俺から食べてみる、何か異常がある様ならヴォルフは食べない様に」
「ウォン」ウン ブンブン
では一口パク、ムシャムシャ「……」
ん〜普通に甘い実…味は食べた記憶のあるライチに似ている…特に美味くもなければ不味くもない…身体に異常もみられない。
「ヴォルフ、食べても大丈夫みたいだ、飲み込む前に違和感がある様なら吐き出しても構わないからな」
「ウォン」ウン パクリ、クチャクチャ…
「ウォオオオオ!」熱い熱いカラダが熱い!
「ヴォルフ、どうした!実を吐き出せ!」
「クゥウウウウン」ブルブル
何か鳴きながら震え出すヴォルフを抱きなからヒーリングを掛けても全く効果が無い!
どうすれば、どうすれば、とヴォルフのカラダを摩っていたら………「光出した…?」
ヴォルフのカラダが淡い光に包まれて暫く見てるうちに光が収まった。
目の前に居るヴォルフのカラダが一回り大きくなり、白いフワフワの毛並みから銀色の毛並みに変化した……え?え?なんで?
「ヴォルフ大丈夫か?」
「ウォンウォン」『ウン、大丈夫!カラダから力が漲る』
「お、そうか大丈夫か 心配したぞ、ん?」
「ウォン」『どうしたの?』
「えーーーーーーーーーーーーーーーー!」
ヴォルフの話す言葉が分かる!なんで?さっき食べた実なのか!?ヴォルフのカラダに変化があったし、アレは実を食べたモノを進化さす実なのか?俺は?…何も変わっていない…分からん、サッパリ分からん。
「ヴォルフ、カラダに異常はないか?」
「ウォン」『ウン、力が漲るくらい、アー!ボクの毛が銀色になってる!』
「そうか…やっと気付いかたか」
毛の色は識別出来る様だね、でも確か犬って二色位しか識別出来なかったような? あ、狼で異世界の生き物だから?カラダが一回り大きく成ったのも今までのレベ上げの時に徐々に成長してるから、それも気にして無い…あの実は一体?
まぁ異世界だからと言う事で、そんな事もあるさと納得するか、ウンそうしよう。
・そうアスラとヴォルフが食べた実は本当に『進化の実』である。食べたモノの進化や能力を促す実なのである。
ヴォルフに進化出来る素質があった為進化したのであり、他の魔獣では進化するモノ、能力の向上をするモノに別れる。
アスラは?と聞かれると、何らかの能力が強制的にリミッター解除されたようだ、しかし当の本人はその事に全く気付いていない。
ダンジョンの宝箱で出るアイテムとしては超極レアのモノである。




