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相談事という名の厄介事

  クソ、帰りそびれた。


「で、相談事ってなんだ?」

「うむ 陛下、ワシから話を持ちかけても良いですかな?」

「アスラ殿と親しい爺に任せる」

「では、相談事と言うのは、エリーゼ様に関わる事なのじゃ」


「えっ、私に関わる事!?そんなの聞いてないわ。一体どう言う事なの爺?」

「ちょっと待て!この姉ちゃんに関わる事って、まさか!」

「そう、そのまさかじゃ!小僧お主も既に知っておったんじゃな流石じゃ」


「ちょっと待ってくれよ、俺のヒーリング能力は傷や病を治せても()()()()()の性格までは治せないぞ!」

「ちょっと〜アスラ君、貴方ね〜誰が()()()()()よ!」


「プッ」「クス」「クスクス」「ククク」

「ブホォッ」「ワッハッハ!」


「え?」

 なんだ、何故みんな笑っている?


「ちょっと〜なんで皆んな笑ってるのよ〜」

「ククッ、済まぬエリーゼ、アスラ殿が何か勘違いをしておられるようだ。ブホォ」

「アスラさん貴方、良く娘の性格をご存知だこと プックスクス」

「え、姉ちゃんの性格を矯正しろって事じゃないの?」


 この男、アスラ殿は、勇者の話で静まり冷え切った場の空気をただの一言でひっくり返しよる。娘ユーリアが慕う訳だ、ククク面白い。


「ゴホン!エリーゼ様、小僧がなにか勘違いしているようじゃで改めて説明しますじゃ」


「あ、っそうなの?ビックリした」

 でも 皆んな今、笑ってたわね、コレもアスラ君のせいよ、後でとっちめてやるんだから!


「そうなのか、俺もビックリしたぜ」

「では改めて、エリーゼ様の御婚約者バールド王子の事ですじゃ」

「そのバールド王子がどうかしたのか?」

「御婚約後からご様子が悪い……いや、おかしいようなのじゃ」


「そうなのアスラ君……ユーリアの目の事もあったので、私だけ先に幸せになれないと彼に伝えたの。でも彼は妹君の目が治るまでいつまでも待ちますよって、でも……」

「エリーゼお姉様……」


 なんでも そのバールド王子とは幼少の頃からの許婚で、それとは関係なしでも お互いに惹かれ合った仲だと。目を患ってる お姫様の為に万能薬(エリクサー)の素材を方々から手配してくれる程、真っ直ぐな優しい男だって!素材は集まらなかったのか……


「それでお姫様の目が治ったのを伝えて正式に婚約か?」

「そうなの……でも婚約してから一度も連絡すら無くて会おうともしてくれなくて……」


「ん〜で、そのバールド王子の詳しい様子は、爺さん 分かるのか?」

「様子というかの〜なんていうかの〜御婚約後自室に籠られて出てこないらしいのじゃ」


「それどっから情報?」

「彼方の王家からの情報じゃ」

「その隣国にも医術師とか、いるんだろ?容態はどうだって?」


「彼方の医術師から話を聞く限り、実際にワシも診た訳じゃ無いんじゃが、ご健康な様なのじゃ」

「え、その根拠は、なんなんだ?」

「朝昼晩の食事は残さずキッチリ食されてると聞く……ただ偶に王子の部屋から溜め息が聴こえるとな」


「なんだそれ、全く分からん?」

 恋煩いなのか?いや許婚で婚約までして一国の王子が他の女性に!んな訳無いか下手したら国際問題だもんな……


「他の情報は無いか?」

「ユーリア様の為に集められていたエリクサーの素材、集め切れなかった物を再度手配されてると聞く。じゃからどこかお身体の具合が悪いのかとの〜」

「そのエリクサーの素材集まるのか?」

「恐らく無理じゃ!」

「だよね〜」

 簡単に集まってたら、とっくにお姫様治ってる筈だからな〜


「最後の素材は(ドラゴン)の血と肝じゃ、ワシとそこに居るギブソン殿他数名で(ドラゴン)に挑んだが、見事返り討ちに合ったんじゃ……」

「まさか!(ドラゴン)退治に俺に行けって!ムリムリ絶対ムリ!」

「いやいやワシも流石にそれは言わん。小僧自体が万能薬じゃからな」ニヤ


「あ〜なるほどな」

 あービックリした、一瞬ドラゴン退治かと焦って自分の能力忘れてたよ……って、俺に隣国へ行けって事だよな


「アスラ殿の察しの通りだ、スマンが隣国ゲーハー国へ行ってバールド王子を診てくれまいか」ペコ

「アスラ君、私からもお願い彼を彼を助けて!」

「アスラ君、()からもお願いする、彼は()の良き親友でもあるんだ。頼む、彼を!」ペコ

「アスラさん、(わたくし)からもお願い致します」ペコ

「アスラ様、どうか お姉様をバールド王子を救って下さい」ペコ


 はぁ〜 これだけ王族の人達に頭下げられたら行くしかないよな〜とんだ厄介事だ。


「分かりました。俺にどうにかなるか分からないけど、その王子様のとこへ行きましょう」

「アスラ殿よろしく頼む」ペコ


「で、いつ行くんだ。そのゲーハー国へ?」

「うむ、明日からでも良いか?」

「明日!まぁ俺は構わないが、そのゲーハー国までかなりの日数掛からないか?どれ位で到着出来そうだ?」


「それなんじゃが、ゲーハー国とヴァルトリアは友好国と言う事で転移魔方陣で行き来できる。じゃから時間の心配は無い!」

「あっそ、じゃあ朝にココへ来たらいいんだな。で、誰が同行してくれるんだ?」

「ワシじゃ。ワシと小僧二人で行く」


「オーケー!じゃあ俺 帰るわ」


 帰りは、引き留められる事も無くスンナリと帰らしてくれた。

 皆さんのリクエストでコーシーをもう一杯淹れ、その代わりにお土産としてケーキを頂きました。やったぜ〜帰ったらみんな喜ぶぞ!

 あ〜なんか疲れた〜早く宿へ帰ろう。







 アスラが立ち去った王宮の茶室では……


「しかしあの者がよもや異世界人だとは、余はたまげたぞ」

「ワシも まさか異世界人だとは思いもしませんでしたぞ」

「ですが、アスラさんが異世界人で逆に良かったかもしれませんわ。でなければ、ユーリアの目を完治させる事など」ニコ

「はい、お母様」ニコ


「そうね私も最初あの()に会って王宮にも学園にも居ない不思議なタイプの()だと思ったけど、今なら納得できるわ。だから彼をきっと助けてくれる筈だと信じているわ」


「ディーンは、アスラ殿の事どのように見た?」

「そうですねー、初めてお会いした時から悪い人には見えなかったので今は彼が異世界人で無くても信頼出来る人物だと思います」


「ふむ、成る程な 余もそう思う。ギブソンはアスラ殿をどう見た?」

「ハッ!私もディーン様と同意見です。それとヨハン殿が言われたように無理に王国に取り込まなくとも、先程飲んだコーシーの様な代物など、この王都 いえ王国に多大なる利益を生むやもしれませぬ。それと彼の目がいい、久しぶりに、あんないい目をした青年に会いました」


 ギブソンの言う事も一理あるな……唯 余としては側に置き、これから先 アスラ殿がどの様な行動をするか見てみたい、それだけに面白い男なのだ。

 ユーリアが、もし……いや要らぬ心配だったな



「ユーリア、貴女はひとりで誰にも迷惑掛けないようずっと我慢して過ごして来たのですから今なら少しくらい我が儘を言っても(わたくし)は許しますよ。この意味が分かりますか?」


「え?お母様 なにを仰って……?」

「ユーリア、お母様が仰ってるのはコショコショ、分かった?」ニヤ

 ポッ「……はい!お母様」ニコ

「早く貴女達二人の子供の顔をみてみたいわフフ」

「エッ」カーッ「ちょ お母様!」カーッ

 あらあら二人共真っ赤になって フフフ



 なんとも小僧の話で絶えなことじゃ

 ワシはコーシーを「ゴクリ」ん〜うまいの〜













 ◇ ◇ ◇


「マスター急に呼び出してスマンな」

「いいってことよ、お城のケーキが食べれるんだぜ、叩き起こされても文句は言わね」


「じゃコーシーも淹れたことだし、早速みんなで食おうぜ。いただきます」

「「「「「いただきます」」」」」


「お兄ちゃん!コレおいしいー!」

「だろーニーナちゃん」

「アシュラお兄ちゃん、美味しい!」

「フフ」

「アシュラにぃ〜ちゃん、おいひ〜よ〜」

「ルチハもシャルも美味いだろコレ」


「アスラさん、こんな美味しいケーキ頂いて、ありがとうね」ニコ

「にいちゃん最高にうまいな〜 しかも、にいちゃんが淹れてくれた このコーシーってヤツに合うこと、うまい!」


「あぁ みんな喜んでくれて俺もうれしいぜ」

「ところで、にいちゃん明日から隣国のゲーハー国に行くんだって、急だな?」


「あー そうなんだ、まぁ王宮からの依頼みたいなモノだしな……で、すまないが俺が帰って来るまでルチハとシャル頼むなマスター」

「あー 任せてくれ!明日からウチの従業員だしなビシバシしごくぜ。ワッハッハ」


「あーよろしく頼む!」




 明日からゲーハー国かぁ〜どんな難題が待ち受けてるやら…ルチハとシャルは明日から働く事にえらく張り切ってるし、俺が居ない間に怪我だけは、するなよ。

 明日も早いし寝ますか、おやすみ〜zzz

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