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コーシーうま〜い

  まず最初に取り掛かったのは現在野生で生えてるコーシーノキから採れるだけコーシーの実を収穫し、それを村人達に渡し実を剥き始めるとこから天日干しまでの工程を詳しく説明し直した。

 村人が作業している合間にコーシー園を本格的に作る事もおこなった。


  村から歩いて数分の裏山にコーシー園を作る為、土地を均し野生で生えてるコーシーノキをコーシー園まで抜き変え動物や獣が入らないよう柵を作ったりとか大変でした。


  流石に超能力をフルに使うので、怪しまれないよう、デタラメな詠唱を唱えて魔法風に能力を使ったんだけど逆に「変わった魔法だの〜」って突っ込まれてしまった。

 そこは誤魔化すように旅をしながら会得した独自の魔法ですと。

 嘘ついてゴメンなさい。


  余談だが爺さん達の話ではコーシーの実は採ってから2〜3カ月で実がつくらし、周期が早いのは、温暖なこの土地と恐らく魔素の恩恵だと俺は思ってる、いや絶対魔素だ!


  そして一カ月が過ぎ子供達も、ここでの生活に慣れだしてきた。

 初めの2.3日は精神面が癒えてない子供もいたがサイコセラピーで癒し続けた成果もあり今では元気にはしゃいでいる。

 子供は順応早くていいね。


 そして最後の仕上げだ。


「ルチハー」

「は〜い、アスラお兄ちゃん呼んだぁ?」

「ああ 最後の治療だ」

「わぁ〜い」やった〜

「おや、アス坊また変わった回復魔法使うのかい?」

「ああ」

 メアリー婆ちゃんか、唯一村で回復魔法使える人、昔冒険者時代ブイブイ言わしてたとか、回復魔法以外にも色々魔法使えるみたい。

 なんでもメアリー婆ちゃんの娘夫婦は麓の領主さんが治めている小さな町で暮らしてるとか、他の爺婆の息子娘夫婦もその町にいるらしい。

 殆どの者が麦畑で生計を立ててるとか。


 その領主さんは結構良い人らしく、この村から税を一切取ってないって、ほんと良い領主さんだ。世の中には、そんな人もいるんだ。

  今後の事もあるので近い内に領主さんのとこへ挨拶行かないとな。


「アス坊の回復魔法は凄いねぇ あたしゃの使う回復魔法じゃそこまで、治せないからね」


  ですよね〜普通切断(千切れた等)された腕や足などをその場でくっ付ける位しか回復魔法って無理みたしだし。

 ごく稀に欠損部分が回復する事もあるようだが、その分かなりの魔力を消費するみたい、それこそ高位な神官か賢者クラス?メアリー婆ちゃん談


「ルチハいくぞ〜」

「はい、お兄ちゃん」

「癒しの女神様貴方の眷属たる私がお願いする、この者癒したまえヒーリング!」

 あーなんてデタラメな詠唱だこと、あー恥ずかしい。皆さん嘘言ってゴメンなさい。


「ほぁ〜アス坊の魔法はいつ見ても凄いねぇ 詠唱のように女神様の恩恵なんじゃな」

  婆ちゃん、それはないです。嘘です。


「ああ お兄ちゃん治ったよ」

「ルチハおねーちゃん良かったね」

「うん ありがとうねシャル」

「ルチハ、治すのに時間かかってゴメンな」

「ん〜ん 指も腕も一生治らないと思ってたから、凄く嬉しいよ アスラお兄ちゃん」


  これで私も一歩前へ進める。村のお爺ちゃんお婆ちゃんに聞いた話だと、お兄ちゃんは料理が全く出来ないって!だから お兄ちゃんが旅に出発するまでの間料理の腕と少しでも自分の身を守れる位成長しなくちゃ!



「お〜い お〜いアスラ〜」

「ベン爺どうした?」

「今回収穫分の焙煎作業全て終わったぞ」

「で、例のモノは出来たのか?」

「おうよ、改良に改良を加えて完成しとるぞ」ニヤ

「お、いいねぇ じゃあみんなでコーシーの試飲会だな。どんな味かワクワクするな」





  そうして憩いの広場まで移動してコーシーの試飲会を始める事にした。

 今回村民総出で取り掛かったので全員参加の試飲大会だ!

  豆挽きの道具の名前を あちらの世界で呼んでいた名前【ミル】と名付けた。


「ミルか〜 呼びやすい名でええな。早速挽いてみようかの〜」

 ゴリ ゴリ ゴリ ゴリ


 あーよい音

「ベン爺いい感じに挽けたんじゃあないか?」

「うむ、試行錯誤して作った甲斐があったのアッハッハ」

「アス坊さぁ お湯を注いで飲もうじゃないかい。挽いた豆の香りだけで興奮してしまうわ」

 ゆっくり湯を入れ挽いた豆からポタポタとコーシーが抽出されてゆく、思わず湯気から良い香りがして、ゴクッと喉が鳴った。


「さぁ〜出来たぞ、早速飲んでみよう」

 ふぅ〜ふぅ〜 ゴクリ


「うま〜い、前回のより かなり良い出来に仕上がっている。コーシーうま〜い!」


  注いだ順に飲み始めた者からも歓声が沸いていった。

 あちこちで美味い美味いの連呼だ、苦味が苦手な者には、商業都市で仕入れて来た砂糖とミルクを自分の好みで飲んでもらい、子供達まで飲み終わった頃 今回収穫分の出来の良さに全員満足していた。


「アスラ中々の出来だと思うのじゃが、アスラの意見を聞きたいの〜?」

「あーイイ出来だ!これだと商品になるな」ニヤリ

「皆の衆アスラから太鼓判もらったぞ〜!」

「「「ワー!ワー!」」」


「おっし、明日にでも幾つかサンプルを持って商業都市へ売り込みに行ってくるかな」

「アスラ宜しく頼む」

「ああ任せてくれ」




 ♢ ♢ ♢


  翌日俺は幾つかのサンプルを持ち商業都市へ向かう事にした。


「ルチハとシャルも一緒に行くか?」

「ん〜ん 私達は村で待ってるよ」

  だって お婆ちゃんに色々料理教わるから、アスラお兄ちゃんには内緒だよ。


「そうか?じゃあ行って来る」

「アス坊いい返事期待しておるぞ」

「あー上手く交渉して来る、期待して待っててくれ、じゃあな」

「「「いってらっしゃ〜い」」」


「さてと、じゃあ行きますか」

  村を出て暫く歩きながら考える……ふむ 村から麓までの道も ある程度荷馬車が走れるように整備するか。

 まぁそれは交渉が終わり次第帰ってからかな。


「うんそうしよう。テレポ!」シュン!


 期待に胸を膨らませて商業都市へ向かうアスラであった。

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