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宝の山その2

「ーーこの山って宝の山じゃん」

 《《《はぁ〜?》》》ザワ ザワ ザワ


「アスラ、宝の山とは、どういう事じゃ?」

「ランゴ爺これを見てくれ」


 アスラがバックから取り出した物を見れば、見慣れた赤い実だった!?


「ランゴ爺これが何の実か分かるか?」

「アスラこれはコーシーの実じゃないか」


 ふむコーシーの実ねぇ……そこはコーヒーでいいのにね。

 この実は初めてこの村に訪れた時偶然見つけモノだ、結構生えてたしな見つけた時は少しだけテンションあがったかな、この世界って、紅茶はあるけどコーヒーみたいな飲み物って、見かけなかったんだな。

 まぁ探せばあるかもしれないけど、さて話の続きだな。


「そうコレは()()()()の実だけど、ランゴ爺達は この実をどう扱ってる?」

「そうじゃな、実の部分が少ないからの〜果実としては満足感がない。じゃからワシらは夜通し炭を焼く時ウッカリ居眠りしないよう二、三粒眠気覚ましに食すくらいじゃ」

「ほう、眠気覚ましね〜他には?」

 実の部分食べても眠気覚ましになるんだ


「無いな!で、この実が宝なのか?」

「まぁな、取り敢えず俺の話を順を追って聞いてくれ。出来たら全員だ」


  俺は村の者全員に分かり易い様に説明し始めた。以前この村に訪れた時に採取した実から取り出し、実の部分を取り除いた、()、天日干しした()さらにその天日干しした豆から余分な部分を取り除いた()をサンプルとして一粒ずつ置いた。


「アスラが何をしようしてるか分からんが説明を聞いていたら実を採取してからの工程が、凡そ1カ月位かの〜?」

「そうだな天日干しの具合しだいかな?じゃあ今からがいよいよ本番だからな、よ〜く聞いてくれよ」


 さらにバックから焙煎した()を八粒順番に置いた。少し焙煎した物からジックリ焙煎した物まで八段階として。勿論焙煎は能力使ったけど、それは省いた。

 余談だが俺の親父が大のコーヒー好きと言うのもあって、あれこれウンチクをダラダラ説明されてウンザリ聞いてたので、うろ覚えなのだが、こんな事ならしっかり聞いとけば良かったと今は後悔してる。

 スマン親父!


「みんな この豆の匂いを嗅いでみてくれ」

「お〜なんとも良い匂いじゃの〜。これがアスラの言うとった贅沢の元か?このまま食べるのか?」

「このまま食べれないこともないが、これは飲み物になるんだよ」

「コーシーの豆が飲み物に?」

「ああ、ちょっと待ってな」


 バックから商業都市で購入した小さな袋状の布を取り出し事前に細かく砕いたコーシー豆を入れ、お茶用に用意されたお湯を再度沸騰させ、お湯を木製のカップへ ゆっくりと注いでいった。一際良い香りが漂いだし、見ている者も食い入る様に興奮しだした。


「アス坊、それ飲ましてくれ!」

「ああ イイぜ!ゆっくり味わってくれ」

 フーフーゴクリ「!これは、美味い!」

「ワシらにも飲ましてくれ!」

「これはなんとも(こう)ばしい(かお)りにコクがある味わい」

「こっちはコクがあるだけじゃなく、良い感じに苦味が効いて良い味だ!」

「こっちのは少し酸味があるの〜飲み終わった後スッキリするしの〜」


「アスラは、よくこれが飲み物になるって知ってたな」

「ああ 昔俺が住んでたとこで飲んでたからな〜」

 嘘は言っていない


 味見をした爺婆達に好評だな、コーシーの独特な苦味が苦手な者もいるので砂糖とミルクなどを入れる飲み方もあると説明も付け加えた。

 八段階に分けた豆をそれぞれ説明し、焙煎の浅い順に酸味、コク、苦味が変化し色々な味わい方あるのも話、八段階目の豆は、アイスコーヒー用なので今試行錯誤中とした。

 焙煎の仕方によって香りの変化もあるのを付け加えのを忘れかけたけど!


「ザックリこんな感じだ。ただ豆を挽く道具があれば、挽き方次第で味、香りも変わってくるんだが」


「アスラ!その豆挽き用の道具わしに作らしてくれ!元鍛冶職人の腕が鳴るわい」

 お!食い付いてきたぞ

「お、イイねえ爺さん任せたぜ。後でこんな感じの物って説明するから」

「任せとけ」


「アス坊、後は何が必要じゃ?」

「そうだな〜大きいフライパンと言うか、豆を煎る鍋と言うか、そんな道具かな?」

「ふむ なんとか作ってみよう」

「他に必要な物は何じゃ?」

「ん〜焙煎したコーヒー豆を入れるものかな?麻袋なんてすぐに手に入らないから、樽なんていいかも」

「お〜樽か、それなら作れるぞい」


 あーだこーだと話も終わり、まずは子供達が村での生活も慣れだした頃に最初は試験的に取り掛かるのが良いという事に決まった。

 まぁいきなり一攫千金狙って失敗して凹むより趣味から始めようって事だな。


「話も落ち着いたし俺も一杯飲んでみよう」

「なんじゃアスラは、まだ飲んでなかったのか?」

「最初はみんなの反応を見たかったからな、では飲んでみよう」ゴク……


「!!!」

 な、何だこれ!うまい、あんな雑な豆挽きにもかかわらず、今まで地球(日本)で飲んだコーヒーより美味い!これキッチリ焙煎して豆挽いたら凄い事になるぞ……


「どうしたアスラ?お前の地元のコーシーより美味くなかったのかの?」

「いや逆だ、俺の地元のモノより美味い!」

「そうなのか?ワシらは初めて飲む物なので美味いとしか分からんな?」


 ふむ……この世界に来て薄々気付いてたんだが、元いた世界に近い食い物飲み物って極端に美味いんだよな……まぁ中には調理の仕方で不味い物もあるが、ん〜この世界独特なモノなのか、魔素によるものなのか?

 これは旅をして調べる価値があるなぁ〜。


「さぁ〜子供達も大人の長話を聞いても疲れるだけじゃし村の中を案内しながら今日から住む家でも行こうかの〜」

「ああ婆ちゃん頼むな。じゃみんな婆ちゃんらに付いて行って色々聞いてくれ」

 《《《は〜い》》》




「爺さん達ちょっとイイかな?」

「どうしたんじゃアスラ?」

「さっき趣味から始めようって思ったけど、ここのコーシーの味を知って気が変わった。まずは俺から真剣に取り掛かってみる、みんなも自分の仕事があるから手の空いた時に手伝ってくれ」

「アスラありがとうよ、だがなワシらの村じゃ みんな一丸となって取り掛かるぞ。商品になるかは、その後じゃ。ならなかったとしても、こんな美味い飲み物が毎日飲めるじゃ、アスラが言っていた贅沢がコレかもな」

 アッハッハ ワッハッハ


「そうだなフフ」

 明日からでも出来るとこから全力始動だ!

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