アスラ奴隷購入
話の流れで奴隷を購入する事になったアスラ。
「奴隷紋とは?」
「買い取った者の証明書みたいなモノさ、後主人に対して危害を加えなくするよう、身体にダメージを与える紋章だな」
「それは絶対必要な事か?」
「それが無ければトラブルの元だな、主人に反抗する奴隷も稀に居る。他者がその奴隷は自分の物だ、と言う者も居る……まぁそうならないよう別に奴隷購入証明書もあるが無くせば価値がなくなる」
「ふむ、分かった。奴隷紋頼む」
「じゃこの奴隷紋用魔道具のここに血を一滴流してくれ」
魔道具に血を一滴流すと魔道具が赤く光りだした。
それを女の子の手の甲に押し付け焼ける臭いがした!
「ああああ ぐぅ!」
「ヒィいやーあああ」
「大丈夫か?凄く痛がってないか?」
「あー大丈夫だ痛みは一瞬でおさまる。今から このにいさんが、お前らの主人だ」
「金は、ここに置いておく もう連れて帰ってもよいか?」
「ああ、奴隷購入証明書だ 無くすなよ」
奴隷紋の解除方法を聞けば血で奴隷契約した者が奴隷紋に魔力を流しながら解放と呟けば奴隷紋が解除される仕組みらしい。
そして俺は獣人の女の子二人を宿まで連れていった。宿屋の主人には驚かれたが、人の良い主人なので後で体を洗うお湯と食事を届けてくれるそうだ。
勿論部屋も少し広い部屋に変え宿代も二人分追加だ。
部屋に連れて行きマジマジと彼女らを見れば……あちこち傷だらけじゃないか……
「今から身体の傷を治すからな(ヒール)」
瞬く間に身体の傷は癒えて姉の方はビックリしている。
問題は欠損部分だな……ヒーリングでも欠損部分は時間が掛かるからな……
妹の方は傷が治ってもグッタリしてるな、余程怖い目にあって心にも傷を負ったのだろう、目の焦点が合ってない……
「俺の名前はアスラだ、君達の名前は?」
「ご主人様、傷を治して頂いてありがとうございます。私の名前はルチハです!妹の名前はシャルです!」ペコペコ
「ルチハにシャルだな」
「はい……」
「妹が心配か?」
「はい……」
意識はあるが目の焦点が合ってないからな…完全に精神が病んでるんだ……
「大丈夫だ、何とかする。サイコセラピー」
シャルの両手を優しく握り精神を癒す!ただ初めて使うサイコセラピーが効くかどうか……
「ぁ ぁ ぁ」
効いたかな?
「シャル!お姉ちゃんだよ判る?シャル」
「ぉ ぉねぇちゃん…?…ここどこ?」
「多分もう大丈夫だ」
お!初めて使うサイコセラピーが効いたようだ。
「ご主人様ありがとうございます。魔法で妹を治してくれたんですね」ペコ
魔法じゃないけどな
「おねえちゃん、このおにーちゃん誰?」
「シャル!新しいご主人様だよ」
「あ、あたらしい……ごしゅじんしゃま?」
「あー、ちょっとイイか。ルチハ、シャル、俺の名前はアスラな、ご主人様何て呼ばなくていいから、それ以外の呼び方で呼んでくれ」
「分かりましたアスラ様!」
「アシュラしゃま」
「あー違う違う、お兄ちゃんでいいから……後敬語とか、いらんから」
あーやめて、様付けしないで
コンッコンッ!
「はい」宿屋の主人かな?
ノックがしたので扉を開けると宿屋の主人が、お湯と美味しそうな食事を持ってきてくれた。
「ルチハ、シャル、このお湯で少し身体をキレイにしてから食事するといい。身体を拭くタオルは、ここに置いとくから」
コクコク
「俺も下で食事してくるから」
私達二人は用意されたお湯で身体をキレイに拭き、温かい食事を食べた。
ポロポロ 涙が溢れて止まらない
「おねーちゃん、おいしーね」
「うん」
妹のシャルもニコニコしながら食事をしている
シャルの笑顔みるの久しぶり……ポロリ
「あたらしい、ごしゅじんしゃまやさしーね」
「シャル、ご主人様って言ったらダメだよ、アスラお兄ちゃんだよ」ニコ
「あ、そっかアシュラにぃちゃんだね」ニコ
一階の食堂兼広間で食事をし、事の事情を宿屋の主人に話していた。
「すまんな主人そう言う事情と言うか成り行きと言うか……そーゆー訳だ!」
「いやワシは、構わんよ お客さん増えて料金貰えるならな、しかしアスラさんもお人好しだなハハハ」
「少し迷惑掛けたからサービスで肩揉みするぜ、主人!」
「おおマッサージ屋のアスラさんに肩揉みして貰えるとは、嬉しいねー」
少し遅めの昼食を摂り店主の肩揉みをし終え自分の部屋へと戻った。
コンッコンッ「ハイ」
「俺だ入るぞ」ガチャ
「よし食事摂り終えたな、今から出掛けるぞ」
ビクッ!「ど、どこに……」
「あー二人共そんなにビクつくなって、買い物だよ、二人の服とか色々な」
二人共今着てる服って、服じゃねーしな
「アスラお兄ちゃん本当に服買ってくれるの?」
「あーそうだぜ、行くぞ」
「アシュラにぃまってー」
そして街へ出た俺達は、まず最初に彼女達の服を数着購入し靴も二足ずつ購入した。
二人共嬉しくて大はしゃぎだ。
異世界に来て妹が二人も出来るとはなハハ
「ルチハ、シャル!いつもここで露店開いて商売してるんだ」
「アスラお兄ちゃん商人なの?」
「いや、商人じゃないけどな詳しい事は宿で話そうか、お互いにな」
シャルの方を見れば涎を垂らしながら露店の串焼きをみてる。
「プッ、シャル!腹減ったのか?」
ブルンブルン「へってないもん」
「おやじー串焼き10本くれ!」
「おーアスラじゃないか、今日休みだろ散歩か?」
「あー、久しぶりの休みだからなノンビリ散歩さ!ホイ料金」
「まいどあり〜一本サービスな」
木陰で待たしてた二人のとこへ行き串焼きを渡し食べるように勧めた。
「ん、食べていいぞ。この串焼き美味いぞ、一本だけ貰うな」
「アスラお兄ちゃんありがとう」
「アシュラにぃ食べていいの?」
「あー食べていいぞ、その代わり買ったばかりの服汚すなよ」
「「うん」」
昼食じゃ足らなかったのか、美味しそうにパクパク食べてるフフ
ルチハの片腕何とかしてやらないとな……
欠損部分の修復は俺の精神力と体力がカギだからな、今なら1日1時間が限界だろうな……それ以上は俺が倒れるだろうしな。
買い物も終わったし宿へ帰るか。
◇ ◇ ◇
「ルチハ、シャル、今から二人の治療を行うが、手の指か足の指どっちを先に治したい?」
「ええ!アスラお兄ちゃん指元に戻るの?」
「あー戻るぞ、その代わり凄く長〜い日数が掛かるからな、諦めたら戻らんぞ」
「「うんうん、分かった」」
二人共食事が不便という事で手の指から。
まず二人の短くなった人差し指を優しく握り
「ヒーリング!」
一時間程指を握ったままに なるので二人の事を聞くことにした。
二人は小さな獣人だけの村に住んでいたみたいだ、因みに二人は狐人族だって。
二人が奴隷になった経緯が住んでた村が魔物に襲われて村民が散り散りになり、彷徨ったところで悪徳商人に捕まり奴隷商へ売られたらしい。
実際問題それって誘拐じゃないの?って思ったが、そうゆう境遇の子がルチハ達を虐待してた貴族の元に10人程いるらしい……
流石に貴族から10人程の子供を助けるのは無謀だよな?逆に犯罪者になりかねん、今回は悔しいが諦めるか……クソ!
「よーし今日の治療終了な」
「「指が生えてる!」」
「ごめんな1日に指一本が限界なんだ」
「う〜んアスラお兄ちゃん、ありがとう」ポロポロ
「アシュラにぃ指ありがとー」ニパ!
「ルチハ、お前の片腕も絶対元に戻してやるからな」
「うんアスラお兄ちゃん」
「さぁ夕飯でも食べに行こう」
「「うん」」
夕飯を摂り終え部屋に戻ると二人共今日の出来事に疲れたのか直ぐに眠りについた。
「1日に色んな事あり過ぎて疲れたんだな」
暫く二人の寝顔を眺めながら今後の事をアレコレ考えた時、その異変がやって来た!
「いやああああああ!」
「ごめんなさいぃぃぶたないでええええ」
いきなり二人の悲鳴に絶句してしまった……
サイコセラピー効いてなかったのか?
二人を抱きかかえ発作が治まるまで、ひたすらサイコセラピーをかけ続けた。
心の傷が深すぎるんだ……
「自分の疲労なんか、この子らに比べたら」
妹の為に気丈に振舞っていたルチハも心が病んでたんだな………クソ!気付かなかったクソ!
「治るまで毎日心も身体も治療してやる!」
ルチハとシャルを見て心に誓うアスラだったが、もう一つ ある決意にも心に誓っていた。
*サイコセラピー(ヒーリングの一種)
精神に働きかけ心の傷を癒す能力。
精神に干渉する面を考えるならテレパスとの境界線がかなり曖昧になります。