商業ギルド
「ここが商業都市ブランか」
何か面白いものでもあるかな。
門のチェックもギルドカードを見せ無事都市へ入れたアスラは今夜泊まる宿を決め商業ギルドへと歩を進めた。
「ですから貴方の商売が何か分からない以上露店での許可は、出すことは出来ません!」
「だ〜か〜ら〜マッサージだって!」
「そのマッサージと言うモノが分からないのです!」
あーそうか、この世界にはマッサージって言葉自体ないのか……そう考えると村の爺さん達は理解が早かったな。
せっかくマッサージで商売しようと思って商業ギルドの登録も済ませたのに、ここで引き下がれんよ!
「マッサージって言うのは、身体のあちこちで、凝ってる箇所を揉み解す事です」
「もむ!?尚更そんな胡散臭い商売など認めれません!」
「ぐぬ!」
胡散臭いって……何か勘違いしてないか……
受付嬢とアスラの押し問答が10分程続けられたところへ奥から一人の老婆がアスラ達の前へ現れた。
「何をそんなに二人で言い合いしてるんだい?」
「あ 副ギルドマスター! いえ此方の方が訳の分からない商売を露店でしたいとの事で、許可が欲しいと……」
この婆ちゃん副ギルマスかよ、って!訳の分からない商売ってヒドイな、さっきから説明してるのに。
「ここは、あたしゃが代わろう」
「あ、はい!副ギルドマスターお願いします」
「その商売って何だい?何かを売るのかい?」
「はぁ またそこから説明かよ。マッサージって言うモノで、物を売るんじゃ無くて技術の提供で対価を得る商売だ」
「ほうほう技術ねーお前さん名前は?」
「アスラだ!」
値踏みするように見てやがる
「アスラか……ふむ そのマッサージと言うモノ詳しく、この婆に説明してくれるか?」
「はぁ わかりました!」
なんか疲れてきたよ……
それから副ギルマスに詳しく理解出来るよう説明し納得してもらったが……
「お前さんの言う事は理解したが、ハイそうですかと言うて許可は出せんのじゃ。最終的に客とのトラブルの苦情は、許可を出したギルドにくるでな」
そうきたか!
「じゃ実践してみようか?出来たら凄く肩凝りしてる奴とか腰痛とかに困ってる奴とか居たら最高なんだが」ニヤリ
「ほう そこまで自信があるのかい?うむ一人うってつけの者が居る、あたしゃに付いておいで」
そして俺は二階の執務室の前まで付いて行った。
コンコン「誰じゃ?」
「あたしゃだ、入るよ」
中へ一緒に入ると目の前に、これまた皺くちゃな爺さんが座って事務仕事をしていた。
「なんだ、その小僧は?」ギロリ
「この爺が商業ギルドのマスターじゃよ」
「うるさい婆!で、要件はなんじゃ?」
「ちょっと、あたしゃの話を聞いてくれるかい、この者の名はアスラ。要件と言うのは――」
そこから婆さんの説明が始まり爺さんがウンウンと聞いて、暫くして話の内容は理解してくれた。
「要は、わしに実験台になれと言う事だな?」
「そうだ、マッサージの効果が出れば露店の許可が欲しい」
「露店の許可か……しかし わしの万年腰痛に、果たして効果が出るかの?」
「それは試してみないとな。そこのソファーにうつ伏せに寝てくれ」
「ほう自信満々じゃな」ニヤリ
「じゃ始めるぞ!」グリ!
「ぎゃ!痛い」グリグリ!
「い、痛いが効く!」ホグホググリグリ!
「ぐぅぅ 効く効く!気持ちいい」
そりゃ一応ツボ押さえてマッサージしてるしな。
「ほい、終了!どうだ腰の具合は?」
「こ、これは!腰が痛くない。凄く調子いいぞ」
「ほう そんなに効くのかい?あたしゃも肩凝りが酷いでな、あたしゃも揉んでおくれ」
「あーイイぜ!」
「ほう これは良く効くね〜少し痛いが徐々に気持ち良くなっていくわい」
「で、どうだい俺のマッサージは?」
「うむむ、これだけ効いて体が楽になるようじゃ許可を出さずにおれんな」
よし!
「ひとつお願いと言うか承諾してほしい事があるけどイイか?」
「なんじゃ?余り無茶な要求は聞けんぞ」
「いや 看板にギルド公認って文字書いてイイか?」
「それは構わんぞ、お前さんの腕は確かだからな」
「あたしゃひとつ気になっていたんじゃが、お前さん回復魔法使っておらんか?」
「エンザ婆 それは無いと思うぞ?こ奴魔法を使った素振りすりゃないし、わしの腰痛は持病でな、回復魔法では効かんぞ」
「そうさな短縮詠唱も唱えてる様子も無かったしの」
「俺魔法使ってないぞ、まして他の魔法すら会得してないしな。あと俺のマッサージは効くのであって完治じゃないからな」
変にヒーリングで完治さしたら後が面倒だからな、少し控え目なヒーリング。
「約束じゃから、許可証を出そう」
「ありがたい」
アスラは露店の許可証を貰い、どの辺で商売していいか聞いた。
商業ギルドの帰りに家具屋に寄り小さい折りたたみの椅子を購入し、雑貨屋で、地べに敷くシートと看板用の板を購入して宿屋へ帰宅。
「さーて明日が楽しみだな、お客さんいっぱい来ないかな〜」
明日に備えてサッサと寝ますかー!