いざ異世界へ
眩い光に包まれる明日来は浮遊するような形でその場を揺れてると、神の言葉があった。
『彼方の世界でいきなり生活も出来んじゃろうから、汝に少しだけ力を付与しとくかの』
「自分の能力以外に力を与えて下さるんですか?」
お!お約束のチート能力ですか!?
『うむ、いきなり違う世界で汝の力を発揮する前に、この世をおサラバするのも困るじゃろうてな』
そう言って神様は俺の身体能力を2倍にし、もう一つサービスで通学用のリュックをマジックバッグにしてくれた(しかも地味なデザインにし)神様曰く俺の能力ではアイテムボックスは作れないらしい。
チート能力とは少し違う気もしたけど……
『そろそろ儂は行くでな、新しい世界 存分に楽しむのじゃよ、またなぁ』
そう言って神様は消えていった…… 次の瞬間一気に加速するように、光の渦へ引き寄せられ また一段と光が強くなった瞬間、見知らぬ森の中に放り出された!
♢ ♢ ♢
「ここが、異世界なのか?」
辺りは少し薄暗い静かな森の中、明日来は身体に異常がないかチェックした後、所持品の確認をした。
通学で使っているリュック(ほとんど別物だけど)と中身は数冊の教科書、ノート、筆記用具、体育で使うジャージが入っている。
「後コンビニで買ったパンと缶コーヒーか……」
明日来の服装はと言うと通っている高校が私服制なのでGパンにパーカーそしてダウンベスト、いたって普通の服装だ。
「格好だけでも学生服じゃなくて良かった、あれは動き辛いからな」
そんな感じで身の周りを確認して次の行動に移るのだった。
「さて、いつまでも森の中に居る訳にもいかないな、良し!取り敢えず人が住んでる街に行くかー!んじゃ森を抜けますか!」
そう言って明日来は明るい日差しが差す方向へと移動しはじめる。
「しかし今更だけど神様って居たんだな、まぁ俺みたいな超能力使える奴も居るくらいだからなぁ居ても不思議じゃあないよな」
結構 明日来は楽観視な奴である。
「まぁ〜あのまま地球に居ても最終的に国内か国外の政府に捕まって、いいように利用された挙句に自由が無くなるのも目に見えたしなぁ」
明日来は漫画アニメに感化され超能力者は政府に捕まり奴隷のようにコキ使われる物だと思っているらしい。
そんな事をブツブツ呟きなら獣道を歩く明日来は、ようやく道らしい道へ出たのだった。
「さて、ここからどっちへ進むかな?あっちは山が見えて、こっちは平原が続いて見える」
即決で平原が見える方へ約一時間ほど移動した明日来は、何か人の声が聞こえた気がして耳を澄ませる。
「あっちの方で人の声が聞こえる……と言うか何か喧騒な感じだな、急いで行ってみるか!」
喧騒がある方へ移動した明日来は、現在馬車を襲っている盗賊の集団を目にするのだった。
「うぁ〜定番の盗賊馬車を襲うか……」
少し離れた草むらで様子を観察する明日来。
「盗賊が10人ほどと馬車を囲むように守っている冒険者らしい人が5人、あと……馬車の中に2人居る感じだな……ちょっと馬車側が劣勢か」
サッと状況を確認した明日来は次の瞬間 盗賊へと駆け出していた。