のんびり一人旅
ピピピッ
「ふぁ〜朝か……眠い」
スマホにセットしたアラームが鳴りモゾモゾと朝の支度を始めるアスラ、朝食は以前購入した携帯食を食べるようだ。
「んーマスターの携帯食と比べて……」
ダメだダメだ!食べれるだけ感謝しないと!
「さーってと行くかな」
地べで寝たら体痛いヒール
ヴァルトリア王都を離れ結構な月日が流れアスラは行くあても無く気ままに旅を楽しみながら進んでいた。
方々旅をしながら、行く村々に立ち寄っては色々な事を見聞き知識を高め、また違う村では討伐をした魔獣など、どれが食べれて何が素材になるかなど、この世界に適応する為日々努力していた。
そして今日は…
「どりゃー」バキィ!「ブヒィィ…」
「うし!終了」
結構狩れたな、こいつも荷車に載せてと、さて帰ろう。
「お〜い、みんな〜ただいまー」
「あんちゃん、おかえりーこりゃまたいっぱい狩ったなぁ」
「これでランゴじいさんに解体の仕方教えてもらうからな」
「この数じゃランゴも腰抜かすわワハハ」
「アス坊おかえり、ぎょーさん狩ったなぁ。お!こいつは最近畑を荒らしまくってる野猪じゃないか!」
「こっちも最近群れなしとる狼までおるで!村のみんなも喜ぶなこりぁアハハ」
「さーて運ぶか」
アスラが現在滞在している村は年老いた老人ばかりの村、村民は わずか30人程の小さな村である。主に炭焼きや狩猟などで生計を立てている。
「ランゴじいさん、終わったぜ」
「アスラ中々手際よくなったな、合格じゃ」
「ありがとうなランゴじいさん」
「しかし ある程度の解体を出来るようになっても、料理の腕は上がらんのガハハ」
「「「「ワハハ」」」」
みんな そんなに笑うなよ
「それを言われると辛いなぁ ハハ」
肉.さばく.焼く.塩胡椒.食べる.しか出来ません。この村に来て一ヶ月近く学ぶもの多かったな……
「今日でアスラとも最後じゃ、みんな今夜は別れの宴じゃ」
「「「「「「おおー!」」」」」」
「わたしゃらは料理の支度じゃな」
ワイワイ
「今夜は取って置きの酒だすぞー」
ガヤガヤ
宴の準備も整ったようだな
「みなのものー今夜は呑んで食うて騒ぐぞー!」
「出会いと別れに、かんぱーい!」
《《《出会いと別れに、かんぱーい!》》》
宴はおおいに盛り上がり皆んな、楽しそな笑顔がたえなかった。
「アス坊本当に、ありがとうな」
「そうじゃなアス坊が村に来てから皆元気になったしの」
「うむうむ、わしら爺婆ばかりじゃから力仕事も沢山やってくれたしの」
「あの外敵用の柵と落とし穴の罠は、ワシらじゃもう無理じゃからな」ワハハ
「色々世話になってるのに、あれ位は当然だ。いつ獣も襲って来るかわからんしな」
身体能力2倍に加え多分ステータスも上がってるからな、疲れにくくなったし。
「この村は老人ばかりじゃから、アスラのような若者がおれば、もっと活気もでるんじゃが……」
そうなんだよな、若手さえ居れば この山は……
「アス坊いつでも、この村に寄ってくれよ皆大歓迎じゃからな」
「あー近くに寄ったら立ち寄るさ」
テレポでな
「アスラ旅の道中無理だけはするなよ」
「あー」
皆んなありがとうな、余所者の俺に優しくしてくれて……
「よーし今夜は特別に全員俺の指圧マッサージのサービスだ!」
《《うぉーアスラのマッサージだー!!》》
「アシュラのマッシャージで、あたしゃ生き返る気分じゃわ」
アシュラじゃあないしマッサージだって!
「あー効く効く!そこ気持ちいい!」
「アス坊のマッサージは、凝りに効くだけじゃなく体が元気になるからなぁワハハ」
マッサージで皆んな大喜びだ。
そりゃあマッサージしながらヒール使ってるし
「アスラならどの町行ってもマッサージで飯食えるんでねーか?」
「おぉ そじゃのアス坊ならマッサージで飯食えるなアハハ」
「ふむ……」
これは使えるかも、露店でマッサージ。お金入って喜ばれ、行く先々の情報まで手に入る。ニヤリ
宴は夜遅くまで続き皆各々の思いを語り合って終了した。今回アスラの特別マッサージで、この村の寿命が延びたのは此処だけの話
翌日、日も昇る前
「皆に挨拶もなく行くのか?」
「あーしんみり挨拶するのはな、ランゴじいさん」
「餞別じゃコレを持って行け」ポイ
「おーカーシの木、特製トンファー!ありがたい。じゃあ行くな」
「いつでも帰ってこいよ」
「あーまたな!」
「アス坊は、行ったか……」
ゾロゾロ ゾロゾロ
「なんじゃ皆んなおったのか」
「当たり前じゃ!だがアス坊の旅立ちに、哀しい別れはしたくないのでな……」
「ああ そうじゃな」
さーってと、確かじいさん達の話では、徒歩10日位南方へ大きな都市があるとか言ってたな。まずそこへ行くか。
◇ ◇ ◇
急ぐ旅でもないアスラは、のんびり徒歩で10日ほどかけ、目的地の都市へ向かった。
「ここが商業都市ブランか」
さて、何か面白いものでもあるかな。