今回の報酬
体調不良で投稿遅れました〜
今まさに!余の目の前でイナリ殿と悪霊の対決が始まっておる。いや、除霊と言うべきなのじゃろうか……
イナリ殿の話によると彼もまた悪霊の除霊をするのは今回が初めてと聞いておった筈じゃが、奇怪な音に対してもその後に起きる現象に対しても慌てず騒がず冷静に対処をしておる。
フム感心するほどじゃ。
「フハハハハ!今のは小手調べよ!今度はコレを受けてみよ!」
ムッ!強度を誇るこの建物の一部を破壊しただけではなく、それを巧みに利用し、武器として飛ばそうとしておるのか!?
と、思った瞬間!?イナリ殿の目の前で槍と化した柵がピタリと停止し、逆方向の小窓を突き抜けて……飛んで行った!?
今起こった事は一体なんじゃったのじゃ?間違いなくイナリ殿、そして我等を貫ぬかんと迫った槍が一瞬にして……
息子達も今目の前で起きておる現象に目を疑うものがあったのじゃろう。イナリ殿が何かしたのじゃろうか?目の前の状況が理解出来ぬ息子達が騒ぎ出しておるが、イナリ殿の魔剣であるマナミと名乗る少女に静かにするよう注意を受けておる。
この子もまた余程イナリ殿を信頼しておるのじゃろう、慌てず騒がず冷静な判断が出来るようじゃ。
ムムッ!今度は何じゃ!?彼奴の掌から黒い霧がっ!
「グッ!」
押し潰されそうじゃ!
『大丈夫、心配しないで』
なっ!?今の声は……余たちを押し潰そうと迫り来る霧に両手を広げ……霧の行く手を遮る影が!
一瞬此方を振り向きニコリと笑うその影は……オードリー!オードリーなのか!?
一瞬ではあるが今は亡き我が妻オードリーが余たちを護っていてくれているのか!?
――しまった!余とした事がオードリーらしき影に気を取られてる内に、いつの間にかイナリ殿と悪霊の対決が終了しておる……――
あれよこれよで何とか悪霊を除霊できたぜー!つーか除霊と言うか駆除っぽい感じだけど、まぁ〜どっちでもイイや。
このマジックバッグの中じゃいくら悪霊でも身動き取れないだろうし一生封印だからね。
何せこのバッグは俺以外が取り出そうとしても取り出せないから結果オーライだよね?使い方が間違っているけど。
今となっては、マナミがどうやってバッグから這い出て来たかは謎だ?俺との契約とかが要因なのかな?でも這い出て来れても服までは取り出せなかったみたいだけど、さっぱり分からん!
まぁそんな事より、悪霊駆除が終わってからの方が色々問い詰められたり結構大変な予感がする。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
まず床にピクピクしながら転がっているスカムに皆さん集まりだし、今度はアルフ達が血相変えて俺に詰め寄りスカムを助けてくれと懇願しだしたからね。
まぁそりゃそうだ。ピクピクして白目を剥いてるスカムの口から見えてはいけないモノが……白い綿のような煙りのようなモノが出て来ているんだから。その時はアストラル.コントロールを発動していなかったから俺も一瞬ソレを見た時は“ギョッ!”っと、したからね。漫画とかでしか見れないモノが見れて、思わず心の中で笑ってしまったのは内緒だ。
多分コレって確か“エクトプラズム”だったかな?いまいち俺にも分かんねーけど、恐らくコレって魂だ!
あの悪霊のヤローを強引にスカムの体から引き剥がす時に、あんにゃロー!スカムの魂にしがみ付いて少し魂が肉体から出て来ちゃったと言うかズレちゃったんだろね。
まぁ〜半分は俺のミスだし、このまま放置をしてたら本当にスカムの魂が肉体から完全に離れてお陀仏しそうだし、しゃーねーから治療しますか。
再度アストラル.コントロールを発動して、徐々にスカムの魂を傷付けない様に細心の注意を払い、魂を肉体に戻していく。
その際、外野がウザいくらいうるさい!“スカムは助かるのか”だとか、“この白い塊りは、一体何だ”だとか。あれほど俺のやる事に騒がず口出しするなって忠告したのに。
ダァー!ハッキリ言って全然集中出来ねーよ!
そんな時に『貴方達いい加減に少しは静かにしなさい!アスラ殿が集中出来ません!』と、いきなり王妃様が半透明な姿で現れて皆んなを睨みながら叱咤するもんだから、その場に居る全員(王様以外)が、予期せぬ王妃様の登場で腰を抜かし、言葉にならない様子で口をパクパクさせてたよ。
俺も、まさか登場するとは思わなかったからビックリしたよ。
でも王様は王妃様の存在に薄々感づいていたんだろうな。あのヤローが手から黒い霧を噴出した時に俺の背後の王様達を王妃様が一生懸命に霧の前に立ちはだかって王様達を護っていたからね。
王妃様が視認出来る様になったのは、ここ数日のアストラル.コントロールの使用で能力自体が更に向上した成果と言うか影響だろう。多分!但し姿を現せれるのは俺のアストラル.コントロール発動時に限る、だけどね。
でも……アストラル.コントロールって、気のせいだと思うんだけど結構精神をゴリゴリ削られるように疲れるから、あんまり使いたくないのが正直な気持ちなんだわ。
と、まぁーいきなり出現した王妃様のひと睨みと叱咤のおかげで何とか事なきを得てスカムの魂を肉体にちゃんと戻す事に成功!
スカムの無事が確認できた途端に、その場に居る全員が改めて王妃様と感動の再会でワンワン泣きだすし……いい大人のしかも、野郎の涙なんな見ても全然感動も湧かないけど、まぁ事が事だけに、しょーがねーか。
俺は少し疲れたから壁にもたれて小休憩。マナミも無言でバッグを抱え俺の横へ、ちょこんと三角座りをして、二人で感動の再会をしている皆さんを眺めた。マナミご苦労さん
既に叶うはずもない亡くなった人との再会、そして会話、お互いに積もる話もあるだろうと、能力の使用でゴリゴリ疲れ行くけど、不粋な真似は無しで静かに見守ることにした。
そうこうしていたらスカムが意識を取り戻したようだ。
目を覚ましたスカムの目の前には半透明な女性が居る。亡くなったとはいえ初めて見る女性に自分の母親だと判断できるのだろうかと、傍で傍観する俺。
直ぐに自分の亡くなった母親だと判断が出来たようだ。
後で聞いた話だが、亡くなった王妃様の肖像画やらがあるらしく自分の母親と目の女性の顔が一致していたのもあり、直ぐに母親だと判断できたとか。
それと意識を失っているときに、自分を抱きしめて懸命に励ましてくれた女性が自分の母親であると理解していたのも要因だろう。
多分だけど生ある者と死者では抱き合う事は可なり難しいだろう。けども王妃様は口から出たエクトプラズムを抱きしめ励ましていたんだろうな。
正しくその通り。スカムから悪霊を引き剥がしたアスラは、悪霊と相対し気づいていなかったようだが、口から出たエクトプラズムを王妃は守るように優しく抱きしめスカムを励ましていたのだ。
スカムもまた薄れ行く意識の中で夢にまで見た母親に抱きしめられ夢であったとしても、このまま覚めないでくれと願っていたのである。
疲れた体を休めて傍観していると漸く王様達が俺の元へ訪れてきた。そしていきなり全員が俺に片膝をつき俺に向き合った?
「イナリ殿、この度の件、本当にありがとう。感謝の言葉以外見当たらぬ、この恩は一生忘れぬのじゃ!」
王様が代表して俺に深々と頭を下げ、続いて王妃様、アルフたちが順に頭を深々と下げだした。
「あーもういいって、俺が勝手に首を突っ込んだ事だし、何とか悪霊も駆除出来たから一件落着ちゃう?」
その後も頭を下げなくてもいいって言ってるのに気が治らないのか何度も頭を下げられたよ。ハハ……
そして当事者のスカムも今回の件で泣きながら頭を下げてきた。悪霊が憑依している時と比べて喋りも柔らかい口調になり、顔付きも刺々しさが無くなり、まるで別人の様だ。
スカムの話を聞けば憑依されている時は暗闇の牢獄の様な処へ囚われている感じだったとか、自分の体を乗っ取り行っている所業に関しては成す術も無く、ただ茫然と見ているだけしか出来なかった様だ。仮に口出ししても不敵に嘲笑われて苦渋を飲まされていたのだと。
そして、落ち着いた頃、王様達が俺を呼ぶ呼び名が全く違うの事に疑問を投げかけられた。
「貴方は霊能者のシュラ殿ではないのですか?」と
今更隠す事でもないのでスカムには、どういう経緯なのか説明した。
「では貴方はアマゾーン国に居られたイナリ殿ですか!?」
「まぁそうなるな」
「そうですか……私の体を乗っ取られたとはいえ、あの様な惨事……死者を出す事なく救って頂けた事、感謝致します」
スカムに正真正銘、俺がイナリだと打ち明けて怪訝な顔をするかと思ったけど、それは杞憂だったみたい。若干身構えたけど、あの厭らしい笑みじゃなく、本当のコイツの笑みで感謝されちゃった。
そこで俺もスカムにフッと疑問に思ったことを聞いてみる事に。
「なぁ〜俺も、ひとつ聞いてイイか?」
「何でしょうイナリ殿、あ…アスラ殿ですね、失礼しました」
「あ〜どっちでも呼びやすい方でイイよ。お前の兄貴達なんか面倒だ!ってイナリって呼ぶくらいだし」
「はは……それは……で、私に何をお聞きしたいのですかアスラ殿」
「いやな、あのアマゾーン国の女帝を自分のモノにしたかったのは、どっちかなって?他愛も無い話なんだ」
「はは。あれは私に取り憑いた霊が執拗に欲していたと思われます。魅力的な女性では有りますが正直私の好みではないです」
「ほ〜」
一瞬、悪いと思ったけどコイツの思考を読んだら、母親の様な女性が好みって思ってやがる。マザコンかよ!まぁ〜しょーがねーか。会いたくても会えない母親像を周りから聞く事しか出来なかったようだしな。それが理想の女性になったんだね。
暫くして急に眠気と倦怠感というか疲れがきて、一旦お開きに。
悪霊との戦闘時間は短かったとはいえ、その後のアストラル.コントロールの発動時間が長かったせいか、急に疲れが出てきたんだろな。
王妃様も俺に気を遣って、再度お礼を言ってス〜っと消えていった。
一旦皆さんと城内へ戻り、昼食も食べないまま夕方まで爆睡した。
スカムは、これまで行った所業は悪霊の仕業であろうが私自身が行った事に間違いないと頑なに言い張り、再度幽閉されて居る塔に残ると言っていたが“あれは悪霊がした事だ”と、王様とアルフ達、若干2名に強引に塔から連れ出され、困った顔で苦笑いをしていた。
夕飯時に起こされて王様達が食事をする席に呼ばれた。因みにマナミも俺に便乗して昼寝をしていたが、そのまま俺が食事から戻って来るまで部屋で仮眠するとか。よく寝る子だ。
昼食は食べてないけど夕方まで、ぐっすり爆睡できたので疲れも殆ど取れたのでバッチリだぜ。
招かれて食事の席に着けば今更だけど昨日の様な悲痛な顔と違って王様もアルフ達も何か憑き物でも落ちたように清々しく晴れやかな表情をしている。フッと気づく事がある。王様、アルフ達は食事の席に座っていたが、スカムは自室に暫く篭るようだ。なんでもクレイグさんとランズさんと只今勉強中らしい。
体を悪霊に乗っ取られる前は、王様の嘘、病気の王妃様の身体を自分の手で治す為、必死で医術、薬術を勉強していたとか、今更だけど勉強し直して、其れを怪我や病に苦しむ人達の為にと。今までやった行い、それが悪霊がやった所業であったとしても、償いとして苦しむ人達の為に尽くしたいと。
それを聞いたクレイグさんとランズさんがジィ〜んと感動して、「協力します(致しますぞ)」と一緒に勉強中だって。
フムフムなるヘソと納得して、今のスカムが本当のスカムの姿なんだろうなと思った。
食事中再度アルフ達が俺に亡くなった王妃様に会わせてくれて、ありがとう。と頭を下げだした。
「なぁイナリ。イナリが部屋に篭っていた時に女性と会話をする声がしたんだが、アレって……」
「あ〜アレね、王妃様だぜ。特訓中に降霊して会話してたんだ」
「やっぱりそうか。やけに懐かしい声だったような気がしたんだ。安心したぜ!」
「ん?」安心?
「だから言っただろ、イナリが女を連れ込んでる訳ないと」
「はぁ……?」
アルフの一言で兄弟4人を睨むとアルフ、カルロスはニコニコしながら頷き、クラーク、デリックはサッと目を逸らした。
この2人を問い詰めて事情を聞けば、部屋から女性の声がしたらしく、何処かで女を連れ込んでイチャコラしてると思ったそうな……ったく。呆れてモノも言えねー!
「今更なのじゃがイナリ殿は別の要件で、この国に来たのではないのかな?」
「あっ……」
王様に、そんな事を言われてハッ!っと思いだした。そうだ、この国に来た要件は王様の治療でも悪霊退治でもない事を……
「忘れてた!ドワーフ親子に新しい装備を作ってもらおうと来たんだ!すっかり忘れてたよ」
俺は勇者との戦闘で武器や防具が破損(消し炭)して装備が無くドワーフ親子を頼ってランバー国に訪れた事を話した。
そして訪れる道中に王様の具合が悪い噂を耳にし、ドワーフ親子に会う前に王様の治療をと城へ来た事を説明して……城へ来てから色々なハプニングで、すっかり忘れた事を話したら、“イナリらしいぜ”ってアルフ達がバカ笑いしだした。
そんなに笑う事ねーだろ!
「イナリ殿、申し訳ないのじゃがゴッツ親子は現在この国には居ないのじゃよ」
「えっ……」
王様の話を詳しく聞けば、彼等の故郷(鉱山都市ベルク)へ帰郷しているらしい。なんでも身内の結婚式だとか、ドワーフは仲間意識というか絆が固い種族だから里帰りを兼ねて鉱山都市ベルクに帰郷して現在はランバー国には居ない。ランバー国へ帰って来るのは1カ月先だとか……残念!タイミング悪りー。
「まぁ〜そんな事情なら仕方ないか」
「すまぬなイナリ殿」
「王様が謝る必要ないよ。ちょっとタイミングが悪かっただけだし、逆に言えば、そのタイミングで王様の治療も悪霊退治も出来たから結果オーライじゃない?」
「ハハハ。そうとも言えるな。そこでじゃイナリ殿、この度の件の報酬なのじゃが「そんなの要らないよ」……」
「イナリ。受け取ってくれ!」
「そうだぞイナリ」
「親父の治療に関してもスカムの事に関しても、普通にハイそうですかと解決できる問題じゃない」
「そうだぜ受け取ってくれなければ、俺達…イヤこの国の恥だ」
「この国の恥って、大袈裟だな〜じゃあ報酬としてマナミの身分証を作ってくれるか?ちょっと訳ありなのは知ってるだろ?」
この際だからマナミの身分証を仮偽造の形で作ってもらう事にした。身分証自体もギルドカードのように血を一滴採取しステータスプレートのような物らしいからね。良い機会だから、お願いしてみた。
王様は快く引き受けてくれたけど、それでは報酬としては少な過ぎると言われたので、前回と同じ様に大量にお菓子を用意してもらう事にした。
以前にアルンさんとの約束もあったしな。一応報酬で頂いたお菓子をヴァルトリアの馴染みの商会に売っても良いか王様に尋ねたら、報酬として渡した物をこの先イナリ殿がどうするかは俺の自由だって。全然構わないと返事を貰った。
前回以上に種類も量も増やして渡すので、楽しみにしてほしいと、ニコニコ顔の王様に言われたので、ちょっと期待してみた。
俺も結構お菓子は大好きな方だから、どんなお菓子を用意してくれるのかワクワクするね。
アルンさんに卸す分と皆んなのお土産用に渡す分とで悩みそうだ。
そんな事を今から想像しているアスラにアルフが語りかける。
「そういえばイナリは自分の身分証を所持しているのか?牢屋へ入れられた時に身分証らしき物が無いと報告を受けた筈だが?」
「あー勿論あるぜ!冒険者のギルドカードだけどな。無くしたら面倒だし常にバッグの中に入れているぞ。俺専用の特殊なマジックバッグだから俺以外出し入れ不可能。それと、このバッグに関しての詮索は一切受け付けないからな」
悪霊を封印してるとか、どこで手に入れたのかはね。
勿論だともという表情で頷くアルフが続けて話をくりだす。
「バッグに関しての詮索はしないが、冒険者のギルドカードか……現在イナリは冒険者に関しての階級などは何なんだ?」
「階級?あー…ランクの事か。確かDランクだと思うぞ」
「ムッ!?イナリのレベルでDランクだと?何かの間違いじゃないのか?」
「あーそれな、実は俺冒険者ギルドでの依頼とか殆ど受けないからなぁ〜ってか、冒険者ギルド自体にも数回しか入った事がないなぁ〜。で、それがどうした?」
「いやなコレから先、イナリがどういう行動を取るのかはイナリの自由だが、ランクに見合わない実力が知れれば騒動に巻き込まれ兼ねない懸念と、コレから先も苦しむ人を助ける事を続けて行くのなら今からでも遅くはない、それに見合ったランクに上げておくべきだ」
アルフなりにアスラがトラブルに首を突っ込む、トラブルに巻き込まれ易い傾向があると判断しての助言であるようだ。
「そうだぜイナリ、例えば各国で管理しているダンジョンとかでも高ランクじゃなきゃ入れてもらえない所とかあるみたいだしな」
「えー!国が管理してるダンジョンとかって、そんなシステムなのか?死ぬも生きるも全て自己責任じゃねーの?」
「まあそうなのだが、それで死亡者が続出してはソレを管理している国の責任にもなり兼ねないのが現実なんだぜ。例え低ランクで有ったとしても高ランクの実力者を伴うパーティーでは別の話だが……イナリって単独行動が主な気がするぞ?」
「……」
確かにパーティーなんか組むのは脳筋バカ(ファルコン)のパーティー以外ないなぁ〜ソレも数えるほど。けして俺はボッチじゃねー!
そんな事をぶつぶつ考えているアスラに今度は王が話を振る。
「そこでじゃイナリ殿。提案なのじゃが妹君の身分証の作成と様々なお菓子を揃えるのに辺り少々時間も掛かる事じゃし、この国の冒険者ギルドで依頼をしてみてはどうかの?無理には勧めぬが」
「あー、それもイイかもな」
せっかく異世界来たんだから偶には冒険者らしいコトしてもイイかな。それに行く行くは本格的なダンジョンにも潜ってみたいし今回はイイ機会かも。
などと一人で納得するアスラであった。
「イナリすまん!俺も一緒に冒険したいが俺の管轄をしている砦に戻る予定なんだ」
「俺もだすまんイナリ」
「残念ながら俺もだすまん」
「クソー!任務が無ければイナリと一緒に英雄伝説を作れると思ったのに。残念だ!」
「そんな伝説作らねーよ!」
床に臥す王様の容態を心配し、一時兄弟四人が城へ戻っていたとか、俺が王様の病気を治したから一旦管轄している砦に戻るらしい。
一瞬コイツら暇そうだから付いて来るとヒヤヒヤしたけど安心したぜ。
明日からの行動にアルフ達が付いて来ない事に安堵するアスラであった。