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悪霊退治その2

 スカムに取り憑いた悪霊であるデモネ元伯爵に淡々と俺の知っていることを話してやった。


「何処でどう調べたのかは分からぬが、よくぞ私の正体に気づいたな霊能者!褒めてやるぞフハハハ!」

「あっそ、そりゃあどーも」

 おめーに褒められても嬉しくねーよ!

「だがないくら私の正体、そして計画に気づこうとも少し手遅れなのだフハハハ八!」

「手遅れ?」

「今日この場は、貴様たちの処刑場になるのだからなーフハハハ八!」


 奴が偉そうにそう叫ぶと同時に後方の扉が大きな音をたて閉まった。


 扉は幽閉されているスカムが簡単に逃亡できないよう対魔法、対物理に特化した造り、簡単に言えば頑丈な造り。

 もちろん扉だけでは無く、この建物自体が頑丈な造りなので少々暴れても壊れないとか。

 なにやら後方でクレイグさんとランズさんが扉を強引に開けようとしているが無駄のようだ。


「お前さ〜くだらない研究ばっかしてたから反省って言葉を忘れてるんじゃあないのか?」

「くだらない研究だと」ギロリ


「あー。くだらない研究だ!」

 スカムの身体を借りて凄んでも全然怖くねーよ。


「貴様のような若僧に私の偉大な研究が分からないのか!あの時、邪魔さえ入らなければ私の偉大な研究は成功していたのだ!この研究が成功していれば、どんなに強力な敵国、魔物が攻めてこようと!誰一人として犠牲になる者が居なくなるのだ!それを理解出来ぬとは愚かなり」


 なに自慢げに喋ってんの?バカじゃあねーの!

「お前さ〜"誰一人犠牲に"とか言ってるわりには領民殺して、くだらねー研究してたんじゃあねーの?言ってる事とやってる事が矛盾してるんだよ。お前のやってる事って、本末転倒って言うんだよ!」


「グヌヌゥ、私の偉大なる研究には時として犠牲もつきものなのだ!それが分からぬとは愚かなり!」


 奴の纏っていた黒い影のようなオーラがさっきより更に大きく膨れ上がった!?何か仕掛けるのか?


 パチン パチン! ガタガタ ガタガタ!


 何処からともなく部屋のあちこちで音が鳴り出した。これって……

 後方で控えている王様たちは急に鳴り出した音に、何事かと身構えている。

 そして部屋の中にある小物が浮遊し此方目掛け、鉄柵の隙間から飛来してきた。

 後方の者たちは"ギョッ"としただろうが俺には何が起こるのか事前に知っていたので小物が後方へ飛んで行かないよう一人ではたき落とすなどをして対処した。


 今のはポルターガイスト、所謂(いわゆる)心霊現象だ。

 何が起こるのか事前に知っていれば驚きもしないし対処も出来る。

 知らない人からすれば怪奇現象とか幽霊騒ぎになるだろう。多分

 このポルターガイストで怖いのが稀に発火現象が起こる事がある。

 狭い空間などで其れが頻繁に起こると俺としても対処が大変だったかもしれない。


 と、思っていたら今度は入り口と部屋を隔てる鉄柵がガタゴトと音を立てて……崩れるように鉄柵がバラバラに崩壊した!

 ホ〜っと感心して見てしまったよ。霊力の力も侮れないな、霊力も俺の超能力みたいなモノなのかな?ってか、この建物って少々暴れても壊れない造りじゃあねーの?


「フハハハ八!今のは小手調べよ!今度はコレを受けてみよ!」


 そう奴が叫びながらバラバラに崩れた鉄柵が此方を射抜こうと浮遊しだした。

 ん〜。一、二本なら超能力(ちから)を使わず対処出来るが流石に鉄柵全部は無理だな、後方の王様たちが串刺しになってしまう。

 出し惜しみなく超能力ちからを使おう。


 ヒュン!ヒュン!ヒュン!


 鉄の槍のように俺たちを突き刺そうと飛来する鉄柵を慌てずサイコキネシス(念動)を使い、俺の手前でピタッと停止させ全て一纏めにし態と奴の頬を掠るよう逆に飛ばし、部屋の小窓から全ての鉄柵を外部に放り出した。

 もちろん透視と千里眼を使い外に誰も居ない所を目掛けて捨てた。

 後方では何事が起きたのか騒ぎ出しているようだけどマナミに静かにするよう注意を受けている。

 どうせ根掘り葉掘り俺に質問してくるのは分かっているから質問タイムは、この悪霊を退治してから受け付けましょう。


「なっ!バカな!?」


 プッ!コイツ尻もち付いてやがる。

 そりゃあそうだろ、俺たちに攻撃した筈のモノが逆に自分に向かって来たんだからな。


「おいおい。偉そうなコト言ってた割には腰抜かしているのか?」

「グヌヌゥ!貴様ぁ!!」

 なっ、なんだ此奴の力は!?私と同じ様に霊力を自在に操れるのか!?


「ネタが尽きたならこっちから仕掛けるぞ?」

「貴様ぁ舐めるなっ!コレならばどうだっ!」


 悪霊である元伯爵が両手を押し出すよう、アスラたちに手を向けた瞬間、手の平から黒い霧が噴き出しアスラたちのカラダを纏う様に後ろの扉へ弾き飛ばした!


 瞬時にアスラはサイコキネシス(念動)を使い、既でのところで踏ん張るが王たちは弾かれ扉に張り付き身動きが取れない状態のようだ。


「はっきり言うけど、お前程度の霊力ちからじゃあ俺には通用しないぞ?諦めてスカムを解放しろ」

 王様たち、悪いけど……大丈夫そうだな?暫くその体勢で我慢してくれ。

「ほざけ!せっかく手に入れた身体、そう易々と手放すモノか!」

「しょーがない。じゃあ強引に引き離すとするか」


 アスラが一歩前へ踏み出そうとした瞬間!


「フハハハハッ!やれるものならやってみるが良い!最早此奴(スカム)は私の一部。此奴(スカム)に取り憑いた私を除霊などで強引に引き裂こうものならフハハハハッ!貧弱な精神である此奴(スカム)の心は崩壊するであろう!」

「あっそ!そりゃあご丁寧にどーも」


 そう言いながらアスラは瞬間移動でスカム(悪霊)の背後に回り込み瞬時にスカム(悪霊)を羽交い締めにし床へ押さえつける。


「なっ!?いつの間に!」


「騒ぐな!大人しくしてろ」

 コイツの訳の分からない黒い霧に邪魔される前に強引に引きずり出すかな。


 アストラル.コントロール全解放!


 悪霊と言っても精神体。本来自分の肉体でないモノに憑依しているのなら強引に引き剥がす事は簡単だ。

 むんずとスカムに取り憑いているコイツを掴み、強引に引きずり出す!


「ぐぁああああ!やっヤメろおおおお!此奴(スカム)がどうなってもいいのかああああっ!」

「全然問題ない!」

 そう言って無理矢理コイツをスカムから引き剥がし、スカムを解放し今度は引きずり出したコイツを羽交い締めにした。

 普通であれば霊とかに触れる事など不可能だろうけど、アストラル.コントロールを使えば触れる事は可能だ。


 スカムの方を見れば『うぁああ・ぁあ』と言いながら白目を剥いてピクピクしている。

 スマンな、後で治療してやるから暫く待ってろ。


「貴様ああ!よくもよくもっ!貴様の成で此奴(スカム)は精神が崩壊し狂い死ぬのだぞぉ!」

「さっきも言ったけど問題ない!」


 へ〜コイツって、肉体なくても普通に喋れるんだ。流石悪霊!

 って感心している場合じゃあない。もう悪さをしないように除霊をしなくちゃ。

 俺は押さえつけたコイツにサイコセラピーを使った。


「ぐぁああああ!なんだコレは!!!?」


 最初のうちは、サイコセラピーで苦しみ出したので心が洗われて癒しの効果が出てきたんだろーと思ったけど……


「グフフフ貴様の除霊とはこの様なモノか?この様なモノで私を浄化出来ると思うなっ!」

「コイツ!?」


 俺のサイコセラピーを弾いてやがる。呪いの怨みってスゲーな。


「効かぬ!貴様の半端な除霊など私には通用せぬ!」


 俺の危惧したようにサイコセラピーが効かなかったか……まぁ本職じぁあないから仕方ないよね。


 さっきより一段と黒いオーラが濃くなってきたような気がする。

 仕方ない。()()のサイコセラピーが効かないのなら!コイツが暴れて逃げ出す前に!


「因みに俺は霊能者でも除霊師でも無い」

「!!!?」


 そう言って再度サイコセラピーを全開でコイツに掛けた。


「ぐぁああああああああああああああああああ!やめろ!やめてくれえええええ!くっ苦しいいいいいぃ」


 通常のサイコセラピーが効かないのなら通常ではないサイコセラピーを使うまで。



 *補足*

 通常のサイコセラピーであれば精神に働きかけ心を癒すのだがアスラはサイコセラピーを逆転し使った様だ。

 逆転し使われたサイコセラピーは精神を恐慌状態にする事が出来る。

 まして精神体で有る悪霊にとっては、パニックに陥り易く効果が倍以上に効いているのであろう。



 本職じゃあないから本当の除霊は分かりません!だけど一時的にでも弱らしてしまえば!

 マナミの方へ目を向けると!?思った通り。纏わり付いていた黒い霧が解けている。


「マナミ!今だ!!」

 "コクコク"


 アスラの掛け声と共に駆け出すマナミ!マナミの手にはアスラのバッグが!?


 マナミがタイミング良くバッグの口を開けて駆け寄って来た。

 俺は戸惑う事なく弱り切った悪霊をバッグの中へ押し込んだ!

 押し込んだ後に安堵したよ。

 もしバッグに入らなかったら俺的にはお手上げだからね。

 対策を昨夜のうちに考えて正解だったな。

 俺が想像した以上にコイツが雑魚でホント助かったよ。






 ―――――――――――――――――――――――


 此処は何処だ?


 暗い……何処を見渡しても何も見えない!


 グヌゥ!あの霊能者め!


 恨み言を呟きながら果てし無い暗闇を彷徨い続ける悪霊デモネそして――――


 私の・思考が停止・し・て・ゆ・・く


 時間停止という拘束に囚われたようだ。


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