旅立ち
「ユーリア誰なのだ 目を治療したのは?」
「アスラ様と言うお方ですわ」
《《《なにぃー!》》》
ユーリアの目を治療したのがアスラと聞き騒然とする一同!
「して、アスラと言う者は今どこへ?」
「はい、私の目を癒されて窓から鳥の様に飛んで行かれましたわ」
「ハ?」
「飛んで!?ユーリア様、それは浮遊なのですか?」
「いえ、飛行されてましたわ」
「ゲイル!」
「ハ!陛下、失礼ですが その様な魔法を私は聞いた事がありません!」
この世界の魔法は、それ程万能ではないようだ……
仮に一時的風魔法などで浮遊出来ても飛行する魔法にまでは至っていない……
「あの者一体何者なのだ!?」
ユーリアの視力が回復した報らせは侍女リリにより王妃、ユーリアの姉第一王女へと届いた。事の重大性を聞いた王妃が王、王子、国の重鎮達に激怒した!!
「貴方がたは、一体何をしているのですかっ!!何者であろうと娘ユーリアを治療した恩人!ましてやヨハン殿の命の恩人!事も有ろうか『籠の間』などに押し込み!貴方達の目は節穴ですか!」
この後も延々と説教を食らった王を始め国の重鎮達、その後直ぐに恩人捜索へと移る。
「必ず恩人殿を捜し出せ!」
《《《オー!》》》
「アスラ様にもう一度会って、お礼を言いたい……」
一方城を抜け出したアスラは『やすらぎ亭』へと、向っていた。
さてと城を抜け出したのは、イイがいつまでも飛んでる訳にも行かないな(テレポ)シュン!
はい、やすらぎ亭(自分の部屋)へ到着!
下降りてマスターに何か作って貰おう
下にはマスター達家族しか居ないようだ
「あ、ニーナちゃん、ただいま!」
「あれ?お兄ちゃん帰ってたの?」
「あーさっきな」
「お兄ちゃんおかえりー」
「マスター腹減ったぁ何か作って!」
「んん!?にいちゃん帰ってこれたのか?良かった」
「アスラさん、おかえりなさい無事に帰ってこれたのね」
あらま皆さんに心配かけたのね、そりゃそうだわな王宮だからな。
「良し!待ってろ今すぐ簡単なモノ作るから!」
食事を摂りながらマスター達に王都を発つことを告げる
「えーお兄ちゃんどこか行っちゃうのー」
「あーごめんなニーナちゃん」
「にいちゃん王宮で何かやらかしたのか?」
「いやーやらかしては無いが何かトラブル事に巻き込まれそうで……」
「そうか……何か事情があるんだな」
なんか気まずいな……
「ごちそうさまでした!マスター美味しかったぜ!」
「ああ、もう発つのか?」
「お兄ちゃん」
「アスラさん……」
「あー最後にマスターの料理食べれて良かった。マスターひとつ聞きたいがいいか?」
「あー何でも聞いてくれ」
「もし足が治るとしたら、どうする?」
「はん!そんな望み とっくに捨てたさ、今はこいつら家族が居るから幸せだよ俺が側でこいつらを守るんだよ」
「あなた……」
「マスターもし仮に治ったら、また冒険者するか?」
「にいちゃん悪い冗談はよしてくれ、仮に治っても、冒険者稼業なんかもうしない、もう嫁と娘に心配かけたくないんだ!」
「その足で家族を守り切れるのか?」
「おいおい、いくら にいちゃんでも怒るぞ!」
「マスター正直に言ってくれ」
「……あー正直言ってやらー!本当は悔しんだよ!しっかり家族を守れるのか?俺への罪悪感で弟に守られるのか?俺だって悔しくて悔しくて……足を治して皆んなを守りたいんだよ!これで満足かー、えーにいちゃんよお!」
「あなた……」
「おとうさん」
「うんマスターの正直な気持ち分かった」
「お兄ちゃん、おとうさんを苛めないで」
「あーごめんなニーナちゃん、別にマスターを苛めてる訳じゃないんだ、マスターの正直な気持ち足を治したい、治りたいって気持ちが聞きたかったんだ」
ヒーリングも100%万能じゃないんだ、本人の治りたい気持ちが一番大事なんだな
「ニーナちゃん、いいかい?」
「どうしたの?お兄ちゃん」
「ニーナちゃんはお父さんの足 、魔法で治すって言ってたね、その気持ち お兄ちゃんに、くれないか?」
「お兄ちゃん?」
「マスター足を!」
「え、どう言う事だ にいちゃん?」
「今から、やる事はニーナちゃんのマスターの足を治したい気持ちであって、願いなんだ信じてくれ」(ヒーリング)
にいちゃんが俺の足に触れた瞬間、何か温かいモノが流れ込んできた!?今まで自分の足であって自分の足じゃないモノから……
「あ、うっ、動く……足が治ってる……」
「あ、あなたああ……」
「ああぁおどうざぁああーん!」
あーみんな抱き合って泣いちゃって……
あ、ダメだ自分でやってて貰い泣きしそう。
暫く落ち着くまでソッとしとこう グスッ
「ありがとうよ、にいちゃん、この恩は一生忘れないぜ」
「アスラさん主人の足を治していただき本当に本当に、ありがとうございます」
「お兄ちゃん!おとうさんを、ありがとうグスン」
「ニーナちゃんの想いが届いたんだよ、じゃ俺は行きます」
「にいちゃん待ってくれ!さっきは怒鳴ってすまなかった。恩人をこのまま行かすなんて出来ない!俺に出来る事なんでも言ってくれ」
「いや報酬欲しくてやった訳じゃないから。ぁ!マスター旅に持って行けそうな簡単な料理出来ないか?多ければ多い方がいい」
「それは、構わないが持っていくにも限界があるだろ?」
「あーこれ、マジックバックなんだ!多分結構入るはず」
「なるほどな、にいちゃんひとついいか?」
「あーいいぜ」
「携帯食でもいいか?取って置きが、あるんだ」
「取って置き?」
「あー以前な、弟のボブに 美味い携帯食作ってくれと頼まれてな、色々試行錯誤しながら作ったから30食程あるんだ」
「おーそれイイな!既に出来てるなら時間もかからないし、それ買った!」
「金なんて、いらねーよ、ばかやろうフフ」
地下の倉庫から運び出された携帯食をマジックバックに詰め込み、別れの挨拶をするアスラ達。
「にいちゃん最後に聞きたいんだが、あの治療法は、いやもういい聞かなかった事にしてくれ、また王都へ来た時にはウチへ泊まってくれよ」
「あーマスターの料理は最高だからな!」
「アスラさん本当に感謝します。是非また来て下さいね」
「あー」
「お兄ちゃんニーナも、ひとつ聞いていい?」
「あーなんだいニーナちゃん?」
「お兄ちゃんは、伝説の賢者様なの?」
「いや伝説の賢者様なんかじゃないよ」
「じゃお兄ちゃんは?」
「俺かい?俺は唯の超能力者だよ、じゃあまたな!」シュン!
一瞬で消えたアスラに唖然となるマスターと女将
「やっぱり、お兄ちゃんは伝説の賢者様だったんだ」