制裁!
年内最後の投稿です。
瞬間移動し、樹海のような森から抜けた辺りに到着し、マナミと一緒にのんびり徒歩での移動へと切り替えた。
一応はマナミに徒歩での移動だけど大丈夫か?と尋ねたが "コクコク" と頷いていたので大丈夫だと思う。
最悪歩けないようなら背負うか空の移動も考えたが、余程のことがない限り魔剣に戻ってもらいバックに入れるような事はしない。
これからは人として俺の妹として扱うのだ。さぁ出発!
俺の記憶が正しければ森を抜け2週間ほど移動をすればランバー国へ到着する予定のはずだ。多分
前回同様地道に進んで行けば小さな村が点々とあり、更に先に進めば町もある。
マナミとの二人旅も順調でランバー国に一番近い町まで到着した。
小さな子供を連れての移動も大変かなと思ったが以外なコトに徒歩での移動はマナミには苦ではないようだ。
その代わりしっかり食事(魔力補給)を与えないとダメだけどね。
そしてランバー国に一番近いこの町でアル噂を耳にした――――その噂とは、ランバー国の国王様の体調が優れないと言う噂だ。
あくまで噂だ。
一国の王の体調の事情が一般に出回る訳が無い。と思うのだけど、それがもし本当だとしたら大変な事だ。
噂の真相を知りたい俺は、どこまでその噂に信憑性があるのかこの町で聞き込みをしたが、身体のどこが悪いのか何が原因で体調が悪くなったのか、そこまでハッキリした真相までは突き止められなかった。と言うか殆どの人が知らないようだ。
デマかも知れない。
まぁ明日の移動で問題なければランバー国へ到着する予定なのでランバー国へ入国後すぐに城へ向かおうと思った。
それが手っ取り早いからネ!
◇ ◇ ◇
翌日ランバー国を目指し、昼前には無事に到着し問題なく入国も済ませた。
ちなみにマナミの身分証は無かったのだけど若干割高の仮入国証を発行してもらい難なく入国に成功。
そこで入国審査をしている兵士に噂を聞いてみた。
「その噂はデマだ。国王様は元気で居らせられる!」
デマらしい。
どっちみち一応城へは行くのだけど、先に宿をとることにした。
宿屋の店主にも噂の真相を確かめるべく聞いてみたのだけど店主の話では「そんな噂は聞いたことはないなぁ」っと言っている。
でも俺と店主の話を聞いていた他の泊まり客は、王様自体が高齢だから噂に尾ひれが付いてデマが流れたのと違うか?とも言っていた。
う〜む確かにアノ王様は、お父さんって言うより、お爺ちゃんってイメージがあったなぁ。
少し体調を崩して周りが大げさになって、そこから尾ひれが付いたのかな?
まぁ実際城へ行けば真相は分かるか。
もし体調不良でも俺のヒーリングで治せるだろうし。
よし!早速城へ行って見よう。
───────────────────────────────────「入れ!」ガシャーン!
なんでこうなった!?
早速城へ行き王様との謁見を求めたのだけど、話をするなり怪しい目でジロジロ見られ、一応追い返されることは無かった――だが案内された部屋が……なんと!牢屋!?
正確に言えば俺の不注意なんだけど……。
マナミの事は別として、急いでるあまり仮面を装着するのを完全に忘れたのが、全ての原因だ。
一応は"イナリ"と名乗ったけど前回城へ滞在した時には常に仮面を着け素顔を見せてなかったからなぁ〜――あの時は王様とごく一部の人に素顔を見せたけど、アレは素顔のうちに入らないだろうしね。
完全にやってしまったよ……さぁ〜てと、やってしまったコトはしょうがない。もう開き直るしかないよね?
しかし何故に牢屋へ入れられたんだろう?イナリと言う名を偽った罪かな?(本人だけど)意味不明。
問題はバックだ!荷物を没収されてるから仮面を出すこともできないし、俺以外の者じゃあ恐らくバックの中身を見ることも出すこともできないようだしな。
あのバックがマジックバックだと気づくヤツも居ないだろうし。
せめて知り合いでも近くに居たら声を掛けて本人って交渉出来そうなんだけど、牢屋の中じゃあ監視の兵士も知らない顔ばかりだし、都合よくバカ兄弟でも来てくれたら本物って分かってもらえるんだけどね。
つーか、コレは釈放されるんだろうか?まぁ最悪の場合は瞬間移動で脱出しよう。あまり騒ぎになるのもイヤだから、とりあえず それは最終手段かな。
それにしても俺たち以外に結構牢屋に入れられてる奴ら多いね。
俺はマナミ(幼女)を連れてるから二人だけで牢屋に入れられてるけど、他の奴らは4〜5人単位で牢屋にぶち込まれてる。
一体何をしたのか知らないけど、どの世界にも犯罪者は絶えないってことだな。
しかしこの世界に来て牢屋に入れられるのは今回で何度目だ?3度目かな?
などと考えていたら通路を挟んだ向かえの牢から男が声を掛けてきた。
「にーちゃん一体なにをして捕まったんだ?しかもそんな小さな子供を連れて。食い逃げでもしたのか?」
「食い逃げなんかしてないさ。王様に謁見を求めたら行き成り牢屋に入れられたのさ」
「へ〜俺たちと一緒じゃないか。アッハッハ!」
話しかけてきた男の話では、今現在牢屋に入っている者たちの半数は俺と一緒で王様に謁見を求めて捕まったらしい。
詳しく説明を聞こうとした時に牢屋番の兵士に私語を慎めと叱られたので事情まで聞けなかった。
しかしどういうコトだ?王様に謁見を求めて即牢屋送りとか?意味分からん!まぁ確かに身分の低い一般人が王に謁見とか有り得んよね?
もしかして、こいつらってイナリの名を騙って王様の治療に来たのかな?それでニセモノだとバレて牢屋送りとか?思考を読まなくてもそんなトコだろう。
そりゃ怪しい奴を治療とはいえ王様に近づけるわけないしね。
あーっ、考えるの面倒になって来たよ。
マナミなんかやる事ないからサッサと昼寝しちゃったし俺も昼寝しよう!
◇ ◇ ◇
各自各々の業務も終わり顔を合わせ報告を兼ねた何時もの談笑を始め出すバカ王子達であるが、本日の談笑では笑い話は出ないようだ。
彼らにしたら笑い話では済ませないと言った方が良いのだろうか……
「アルフ兄貴!今日もイナリのニセモノが城に来たらしいぞー!」
今じゃあこの国では英雄イナリの名を騙るのは重罪だからな、それでも名を騙る奴が絶えん。
「あー、そーらしいな。で、今回の奴はどんな奴なんだ?」
親父が倒れてから偽イナリが後を絶えんな……誰が漏らしたのか民達の間じゃ噂になっているようだ。
「なんでも兵士の話じゃあ、雰囲気はイナリに似てるとか言っていたな〜?だけど仮面も無しで堂々とイナリだ!って名乗ってたようだぜ」
しかし仮面着けないでイナリって……普通にニセモノだと名乗ってるようなもんだぞそれ?
「それなら俺も聞いたぞ!けど牢番の話じゃあ、そのニセモノは雰囲気こそイナリに似てるが最低な奴らしいぞ」
俺も牢番から話を聞いて耳を疑ったからな。
「最低な奴?」
なんだそれ?
「一応囚人といってもパンとスープくらいのメシは与えられるだろ?そのニセモノな、妹連れなんだが与えられたメシを連れの妹に一口も食わさず一人で全部食べたって、牢番がボヤいてたぞ(アレは人間のクズ)ってな」
牢番に同意だ!おおかた その妹も何処かで攫って来た子かもしれないしな、制裁を兼ねての取り調べも必要かもしれん。
「兄貴!それ本当の話なのか?ヒデー奴だなそのニセモノイナリ!俺たちの手でそいつを制裁できないのか?」
イヤしようぜ!そんなヒデー奴にはキツーイ制裁が必要だ!
「そうだな……基本、イナリだと偽った囚人達は罰金と体罰として鞭打ちの刑罰が課せられる……だが、さっきの最低なニセモノには直接俺たちが手を下す必要がありそうだな。幼い妹に食事を一切与えないなど!!!! 人としての道理を外れる行為、そして二度と英雄イナリの名を軽々しく口にしないよう我らの手で制裁を!」
「「「よっしゃー!制裁だー!」」」
他の国ではどうか知れないが!この国で英雄イナリの名をそして隻眼の賢者の名を軽々しく騙る奴は容赦はしない!我らの手で制裁を与える!
何やら完全に偽イナリに成ってしまった本物イナリ(アスラ)このままバカ王子達に制裁されてしまうのだろうか!?
年始投稿につきましては未だ未定です。
それでは皆さん良い年をお迎えください。




