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書状の内容

 時はヨハンがルチハから手紙を預かったところまで時間は遡る。


 急ぎ王宮へ戻り獣王からの書状を国王へ渡し、アスラがゲーハー国へ向かったという情報を王へ伝えた。

 そしてヨハンはゲーハー国へとコンタクトを取るために足早に通信魔道具が置かれている部屋まで向かった。



 一方その頃こちらでは――


「お母様、アスラ様が(わたくし)をお忘れになったことは、やはり(わたくし)がアスラ様のお子を授かれなかったことが原因でしょうか……」

「ユーリア、それは無いと思いますよ。女性には子供を授かれる周期というものがあるのですよ。ましてアスラさんがその様な事で貴女を忘れる事などある訳がありません。今ヨハン殿がアスラさんに関しての手掛かりを調べているところ、事実はアスラさんがこの王宮へ来てから確認しましょう」

「はい……」

 一体アスラ様はどうされてしまったの………



 ◇ ◇ ◇


「陛下、ただいま戻りましたじゃ」

「うむ、ご苦労であった、ゲーハー国にアスラ殿は滞在しておるのか?」

「それなのじゃが小僧の足取りを追いゲーハー国へ連絡をとったんじゃが既に小僧は城を出たあとですじゃ――」


 ゲーハー城でのアスラの様子をエリーゼから詳しく聞かされ王に報告したヨハン。


「むぅ、アスラ殿は既にゲーハー国自体に居ないおそれもあるな……」

 いち早くアスラ殿に会い確認したい事があるのだが…


「そうなりますな。陛下、差し支えなければ先ほどお渡しした獣人の王からの書状の内容を聞かせてほしいのじゃが?」

「うむ。この度の獣国で起きた一件、王女の治療、勇者絡みでのアスラ殿の活躍、冒頭は感謝の書状で間違いない。粗方はアスラ殿の話す内容に相違ないのだが、アスラ殿に関しての重大な事実も記されておる」


「重大な事実ですと?」

 小僧は獣国で何をやらかしたのじゃ?


「アスラ殿が勇者により死の呪いをかけられ、それを地竜が解呪したとアスラ殿は言っていたが、解呪ではなく勇者の呪いをも凌ぐ強力な呪いの上書きを施したと記載されておる」

「なっ、なんですとっ!?では小僧は今、地竜の呪いがかけられておる状態……」


「爺、心配せずともアスラ殿の身体に害の有る呪いでは無い様だ。だが身体自体には害は無いのだがアスラ殿のアル一部の記憶が欠落していると記されておる。そして最後にこの度の件、申し訳ないと……」


「アル一部の記憶ですと!?」

 まっ、まさか欠落した記憶とは姫様の事ではあるまいな……


「今の話で爺も気づいた様だが、手紙の内容では "この世で最も愛する者を忘れる" と、書かれておる。そして……その記憶は二度と戻る事は無いと…」

「なっ!」

 なんじゃと!


「事実を確かめるためにもアスラ殿にもう一度会って確認したいのだが……」

「そうですな……もう一度小僧に会い確認してみる必要がありますな」


「爺、余はどうしたら良い?ユーリアに真実を伝えるべきか?あるいは……」

「陛下、これだけは言っておきますのじゃ。嘘や誤魔化しなど、姫様には一切通用しないはずじゃで、事実が分かるまで口を閉ざす方が良いかもしれませんのじゃ。じゃが王妃様にはそれとなく話すのを勧めますのじゃ」

「うむ」


 アル一部の記憶、この世で誰よりも愛する者を忘れる呪いなど、俄かに信じられない2人であったが、ユーリアの証言を否定する事などできないようだ。



 ◇ ◇ ◇


「ねールチハねぇー」

「なぁ〜にシャル?」

「おじーちゃんどーしたんだろね?」

「アスラお兄ちゃんを探してるようだったけど、どうしたんだろね?」


「アシュラにぃーはやくかえってこないかなー」

 はやく いっしょにしゅぎょーしたいなー


「ん〜どうだろ?遅くても1か月は帰らないって言ってたから。アスラお兄ちゃんのコトだから、もっと長くなるかも」

「シャルもそんなきがするー。ヴォルフもそーおもうよね?」

ウォンウォン(思う思う)

 ご主人様が帰って来るまで2人はボクが護るんだ。


 プッ クスクス ケラケラ ウォンウォン


 ルチハ、シャル、ヴォルフには既にアスラの行動が読まれているようだ。


 "カランコロン"


「あっ、マリンお婆ちゃんいらっしゃい」

「いらっしぁーい」

「ルチハ、シャルお邪魔するよ。今日はマリーとポアンも連れて来たよ」

「あっ!マリーさん、ポアンさん、いらっしゃい」

「ルチハちゃんシャルちゃん、久しぶり〜元気にしてた〜?」

「はい!元気です」ニコニコ

「シャルもねーけんきにしてたー」

ウォンウォン(ボクもボクもー)!」


「ルチハ、アスラは?」

「お兄ちゃんねー、ゲーハー国へ行くって出かけちゃったよ。ポアンさん、お兄ちゃんと約束でもしてたの?」


「それならいい」

 辺りを伺いアスラの気配が無いことに安堵するポアン。


「ルチハ、そろそろ店を閉める時間だろ?今日はね2人に大事な話があってマリーとポアンにも来てもらったんじゃよ」

「大事な話?」

 マリンお婆ちゃん一体どうしたんだろ?大事な話って、お兄ちゃんのコトかな?マリーさんとポアンさんも同席しているし何だろ?


「店を閉めてから話をしようかい」

「う、うん」


 いつも優しくニコニコしているマリンであったが今日は神妙な面持ちのマリンに対し少し動揺するルチハ、一体何を聞かされるのか心配になるのであった。



 ◇ ◇ ◇


 当のアスラはというと、前回同様…いや今回は子供たちも加わり盛大な見送りにつつまれてアマゾーン国をあとにしたのだった。



「アスラ殿は行ってしまわれましたね」

「そうじゃのぅ……妾はもう少し話をしたかったのぅ」

「はぁ〜だからあれ程 口調を直して下さいと言ったじゃないですかー!」

「イヤだから声が変わればバレないと思ったのじゃ」

「そんなのイッパツでバレますよ!今回はエロイーナ様の自業自得です!」

「わっ、分かったのじゃ。妾も反省しておるのじゃ」


 本当に反省しているのやら……


「エロイーナ様は無事にアスラ殿の子を出産されるまで、お身体には気をつけて下さいね」

「それは勿論なのじゃ」


「しかし改めて今思うのですが、アスラ殿の癒しの魔法は凄いですね〜」

「そうじゃのぉ」


「エロイーナ様とアスラ殿の子に、その能力が授かれば、「クレアッ!」ハイ?」

「五体満足に産まれれば妾はそれで良いのじゃ!能力を秘めていようが秘めいまいが妾の可愛い子には変わりないのじゃ!」

「そうですね。失礼しました」


 自分の失言に反省しつつも早く産まれて来る子に会いたいクレアであった。




 ◇ ◇ ◇


「しっかし凄い見送りだったなぁ〜。見送られるだけで疲れるよ、マナミは疲れてないか?」


 "フルフル"


 へっちゃら見たいだ。

 マナミは、いつものポーカーフェイスだね。俺もマナミを見習った方が良いのかな?


 さぁ〜ってと、今回は森を出るまでの案内はパスしたから一気にランバー国まで飛ぶ(テレポ)か、森を抜けた辺りまでにするか、どうしよう?


 まぁ1か月以内で帰れたらイイから偶にはのんびりまったり行くかな。


そーと決まれば森を抜けた辺りに(テレポ!)


 

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