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影武者

あれよこれよで投稿しだして一年経過…本来なら100話ほどで完結する予定が!?

改めて読んでくれてる皆様、ブクマされてる方に感謝です。


…… セシリアに綿菓子に使う材料を大量に用意してもらった。


 大人たちの検診も何事もなく無事に終了したのでそそくさと与えられた部屋に戻り綿菓子作りの続きを行う。


 午前中に検診が終了したのでタップリ時間もできた。

 っと、その前に昼食だな、一応マナミの分も用意されているけど手をつけず残せば不審がられるので俺が2人分食べることに……太らなければいいのだけど。


 昼食も食べ終えたので綿菓子作りの再開!



「――――ん〜ダメだ。また失敗した……」

 昨夜から合わせて既に数百個ほど綿菓子を作っているんだけど、綿菓子作りは上達しても上手く綿菓子に魔力を流せ込めないんだよなぁ〜。


 魔力を練りながらアルミ缶を念動で回転さすのって思った以上に難しいんだよねコレが……俺には才能がないんだな。

 一瞬魔法と超能力を同時発動したら最強のチートプレイヤーになれると思ったけど、世の中そんなに甘くない!ホント魔法はもうイイや、面倒だし。


 でもなんとかマナミに美味しい綿菓子を作らねば!



 ◇ ◇ ◇


 翌日


 結局無理でした。

 くやしー!クソ。もっと魔力を練る練習をしなければ、もっと自然と魔力を練れるように鍛練しよう。


 ちょっと綿菓子作りに集中し過ぎて寝不足だけど闘技場の俺が検診する一角に俺が頼んでいた綿菓子を並べる設置台が出来ている。

 仮設とはいえ設置台を見て一瞬で目が覚めたぜ。


 近くに寄って出来上がった物を見れば、ウン俺の注文どおり直射日光を避ける屋根と綿菓子を差し込む穴がちゃんと間隔が空いて開いている。

 早速子供たちの検診が始まる前に準備をしておこう。

 バックから綿菓子を取り出しマナミと一緒に穴に綿菓子を差し込み準備に取り掛かった。


 一応の準備も終わり綿菓子で飾られた設置台を見れば、露店の綿菓子屋みたい。

 なんとか子供たちが来る前に準備もできたし、あとは子供たちを待つばかり。

 さて……怖がられず上手く検診できればイイんだけどね。


 ぞくぞくと子供たちが集まって来た!なかには母親とかお姉さんらしき人と一緒に来ている子供たちもいる。

 不安な様子で俺を見たり俺の背後の綿菓子が気になっている子たちも居るようだ。


「今から君たちの検診を行うけど、痛みとか一切ないから心配しなくてイイぞ!それと検診が終わった子から俺からのプレゼント、後ろの綿菓子っていうお菓子をあげるから検診後食べてくれ」


 ザワザワしだした……俺がしゃべったことで余計、不安を与えかな?

 ……そんな事を思っていたら


「みんなーこのアスラさんって人は優しくて、いい人なんだよー!安心してー。それに綿菓子は甘くて美味しいんだよー」


 ここでもナイスタイミングでセシリアが登場した!マナミから綿菓子をひとつ受け取り食べだしたよ。


「んー!美味しい」

 その美味しそうに食べるセシリアに子供たちの目が釘付けに、そして1番最初に並んでいる子供に、ひとつまみ綿菓子を千切って口に放り込んだよ。


「おいしい!」

 それをきっかけに子供たちの検診がスムーズに進んでいく。

 今回は10人1組でヒーリングをかけていこうと思った。そりゃ目の前に美味しそうなお菓子がチラついているんだから、待ちきれないと思ったからだ。


 終わった子から順番にマナミとセシリアから綿菓子を渡されていく。

 最初の不安をよそに綿菓子の魅力には勝てないらしい。セシリアのアドバイスどおり上手く事が進んだ感じだ。


 検診が終わった子たちから、おいしいおいしいの言葉が聞こえる。

 頑張って作った甲斐があるよ。

 10人1組で単純にヒーリングをかけていくだけなので思った以上に子供たちの検診も無事に終了、初めて見る不思議なお菓子を笑顔で子供たちが食べている姿を大成功と心に思い喜んで食べる光景を眺めた。


 ただ最後に子供たちから一斉に『救世主様ありがとうございます』って言われたのは勘弁してほしい……誰だ?そんな事を言わせたのは!


 もちろん子供たちと同伴しているお母さんとお姉さんにも綿菓子を食べてもらったんだが……何故か人が集まりだし綿菓子を下さいと言っている。


「アスラさんゴメンなさい。私がつい口を滑らしちゃって、それで綿菓子目当てで集まっちゃったみたい。アハ」


 アハじゃねーよ!大人たちが集まりだした原因はセシリアでした。

 もともとアマゾネス全員に食べてもらおうと思って沢山作っているけど足りるかな……

 悩んでいるのも、しょうがないから急遽設置台に綿菓子の機材を取り出して綿菓子作りの再開だ!


 初めて見る綿菓子だけど老若問わず大ウケしてる。


「アスラよ精が出るの。私ゃにもひとつ貰えるかの?」

「アスラ殿頑張っていますね」

 目の前に現れたのはエロイのお婆ちゃんとクレアさんだ。

「あーイイぜ!」

 名前は忘れたけどエロイのお婆ちゃんとクレアさんに綿菓子を渡した。

 渡した綿菓子を2人がニコニコと美味しそうに食べている姿を見たらほっこりするね。


 ひとつ気になったのでクレアさんに確認してみることに。


「クレアさん、ちょっと聞いてイイかな?」

「ハイなんでしょうか?」

「今集まってる人達って、国の人達全員かな?」

「そうですよ。国の民達全員ですよ、アスラ殿が美味しいお菓子を皆んなに配ると聞いておりましたから民達全員集まりましたね。アスラ殿のお陰で病気や怪我で動けない者も居ませんし、妊婦達も含めて全員来てますね」

 民達にとってアスラ殿は神に等しい救世主様です。その救世主様からの美味しいお菓子の贈り物ですからね、皆んな喜んで集まります。ふふ


「なるほど、じゃあついでだから集まってくれた妊婦さんたちも検診しようか?」


 セシリアが、どう皆んなに説明したらこんなに人が集まるのやら?……まぁイイか皆んな喜んで綿菓子を食べてくれてるから。


「それは助かりますが、今からですか?」

「そうだぜ。せっかく全員集まったんだし、また明日妊婦さんにココまで来てもらうのも大変だろう?それとも都合が悪いのか?」

「いえ、そのような事は……ではお願いします」

「オーケー!」


 綿菓子作りも落ち着いたので急遽妊婦さんたちの検診をすることに、妊婦さんたちにどこかカラダの調子が悪い所はないですか?と確認したところ、肩凝りや腰痛、足のむくみやらを言っていた。

 ヴァルトリアで診た妊婦さんたちと同じ意見だ。なるほど大きなお腹でカラダのあちこちに負担がかかるんだね。

 まぁ聞いたところで俺のやる事は一緒だけど、妊婦さんたちも10人1組でヒーリングをかけていき一気に終わらせた。


 セシリアから今晩新しくできたボイスチェンジャーを持って来てくれるらしい、そして今回のミッションも問題なく終わったし、明日ランバー国へ向けて出発だな。




 ◇ ◇ ◇


 マナミと一緒に夕飯(マナミは魔力入り炭酸飲料)を食べ終えてのんびりしていると、クレアさんがやって来た。

 ちなみにマナミはいつものようにコックリしながら寝ちゃった、相変わらずマイペース。

 クレアさんの後ろには仮面を着けた妊婦さんがモジモジしながら居る。なんだろう?


「アスラ殿、大変申し訳ないのですが、この者を検診して頂けないでしょうか?」

「それは構わないけど、今日の検診後に体調でも悪くなったのか?」

「いえそれがその――今日の検診に顔を出してなかったんです。申し訳ありません」

「なるほど、急だったもんな。他には検診受けてない人が彼女以外にも居るかな?」

「いえ、この者だけです」

「了解。じゃあサッと終わらそうか」

「アスラ殿お願いします」

「ところで何故にこの人仮面をしているんだ?」

「ハイ、この者が極度な恥ずかしがり屋なので……おまけに口下手で……」


 エロイーナ様の口調矯正が間に合わなかったので思わず誤魔化す様に言い訳しちゃったじゃないですかー!ホントに、あれ程 口調を直して下さいって散々言ったのに……


「へ〜そうなんだぁ」

 恥ずかしがり屋で口下手か、よくそんなんで男性と性行為できたね?まぁアマゾネスの中には、そんな人もいるのかな?


「どこか体調が悪いとことかあるかな?」

 俺がそう、仮面の妊婦さんに尋ねると、クレアさんにコソコソと小声で囁いている。


「至って健康らしいです」

「そ、そうか」

 クレアさんが代弁して応えてるよ……なんかやりにくいな。あっ!またクレアさんに囁いてる


「ア、アスラ殿。少し迷惑だと思いますが、この者のお腹を摩って頂けないでしょうか」

「えっ!?イヤまぁー構わないけど……」


 俺はクレアさんの注文どおり妊婦さんのお腹を優しく摩りながらヒーリングをかけた――一瞬、お腹の子がピクっと動いた様な気がしたけど気のせいだよね。


 しかし――恥ずかしがり屋と言う割には…摩る俺の手をしっかり上から被せて放してくれない……


「え〜と、もう終わったんだけど」

 まだ握ってる……

「アスラ殿、ありがとうございます。いつまで手を握ってるんですか!さぁ行きますよ」

「も、もう少し」

「もう少しって、アスラ殿も困ったるじゃないですか」

「ハハ、俺は全然構わないよ」

 一応普通に喋れるんだ

「アスラ殿、本当に申し訳ありません。ホント困った人で……」

 本当にエロイーナ様は困った方ですね。


「ところでクレアさん。彼女って、仮面を着けているけど何となくエロイナに雰囲気似てるね?」

 声は別人だけど

「ッ!」

「さっ、流石アスラ殿!気づかれましたか。この者は以前エロイーナ様の替え玉を務めていたのですが、幾分恥ずかしがり屋なもので……」

 あーエロイーナ様のせいでアスラ殿にまた嘘を言ったじゃないですかー!


「なるほどね」


 昔の日本の戦国武将にも影武者が居たと聞いたことがあるし女帝の影武者とか居てもおかしくはないよな。

 しかし恥ずかしがり屋じゃ影武者も務まらないか。


 俺の手を握ったまま放してくれない妊婦さんを無視してクレアさんと話を進めた。

 今日で無事にアマゾネスの人達の検診も終了したので明日にはアマゾーン国を発つことを告げた。

 告げた直後クレアさんと妊婦さんが寂しそうな雰囲気を醸し出していたけど直ぐに笑顔でクレアさんが了解してくれた。


 2人が部屋を出る前に綿菓子をバックから取り出し妊婦さんにあげ、いつ帰って来るか分からないけどエロイの分も数個クレアさんに渡した。

 何故か異常に妊婦さんが喜んでるような気がしたけど気のせいだよね。



 クレアさんと妊婦さんが部屋から出て行ってしばらくしたら "コンコン" と、ノックの音がしたのでドアを開けると、お待ちかねのセシリアでした。


「アスラさん。お待たせしましたー」

 セシリアが手荷物を持って訪れて来た!

「待ってたぜ」

 セシリアから渡された物は、ボイスチェンジャーではなく、俺の所持している狐面に似た仮面だ。

 ちなみに今回は仮面は依頼してない。


「アハ!ビックリしましたー?アスラさん」

「どゆこと?」

「その仮面に魔道具を仕込んでいるんですよー」

「あーなるほど。そーゆーコトね」


 今回のニューバージョンは仮面型のボイスチェンジャーでした。

 早速仮面を着け確認すると、自分でも分かるくらい声が変わっていた。

 毎度のことながら良い物を頂いた。セシリア感謝しています。


 少し雑談した後にセシリアは帰って行った。


 若干寝不足なので早めに就寝しようと思った時、また "コンコン" とノックの音がした。

 アレ?今度は誰だろう?セシリアが忘れ物でもしたのかな?


 そして部屋へ入って来たのはエロイのお婆ちゃん、先先代様でした。


「おじゃまするよ」

「あーどうぞ」

 先先代様が俺に一体何の用だろ?


「アスラよ。この度は民達の健康状態を診てくれて、孫に代わって感謝するよ」

「あーそのことか。全然大丈夫だぜ、俺もここには用もあったしな」

 エロイに代わって感謝を言いに来たのか。別に構わないのに。


「アスラよ」

「何かな先先代様?」

「この地にとどまって、お主の子を作らぬか?」

「えっ!」

「どうじゃ?」

「いや、前にもクレアさんとかに言ったけど、俺はこの国で子供を作る気ないぜ!申し出は嬉しいけど流石に好きでもない子と子供は作れないって、まして男の子は奴隷行きとかだし……」

「そのことは心配要らぬ」


「心配要らぬって……」

 余計心配だっつーの!


「お主にだけは説明するが他言せぬようにじゃ」

「えっ?」

 なんの説明?


「この地で産まれた男の子は奴隷などで売り飛ばして居らぬ」

「えっえっ?」

 奴隷行きじゃないの?えっ!ま、まさか密かに処分してるのか!?


「心配せずとも殺してなど居らぬ」

「えっ?」

 ますます分からん!


「お主も気づいておろう?孫の母、つまり私ゃの娘の先代が居らぬ事を!」

「ああ……それは気づいていたけど」

「心配せずとも死んでは居らぬ」

「そ、そうなのか。てっきり病死か何らかの事故で、この世から居ないと思って聞くのも控えていたんだ」

 って、アレ?エロイの母ちゃん生きているの?アレ?じゃあどこに?


「あの子の母、私ゃの娘は、表向きは男の尻を追いかけて、この国を棄てたとされておる」

「えっ!」

 なにそれ?


「まだ一部の者しか知らぬが、我が娘はこの地より産まれた男の子を引き取り育てておるのじゃよ」

「ええ!そんな重大なコト!俺に話してイイのか?それってエロイナとかクレアさんとか知っているのか?」

「知らぬ。先程も言ったが極一部の者じゃよ。お主になら真実を打ち明けても良いと思ったんじゃ――」


 先先代様は自分の母のやり方とアマゾネスに伝わる忌まわしき仕来り、風習がトコトン嫌いだったようだ。

 それを間近で見ていた娘(先代様)にも伝わり、エロイが産まれ幼少期に実行に移ったらしい。

 この国で男の子に産まれた子を奴隷などにする事などとんでもないと……可愛い娘と離れ離れにはなるが罪も無い男の子の赤子を育てるべきと何処かの地で孤児院を設立しているらしい。


 俺には理解できない世界だけど、この国の女帝の一族で徐々に忌まわしき風習をなくして欲しいもんだね。


「それでエロイナにも真実を伝えるのか?」

「時が来れば話そうと思っておる。だが今ではない、あの子は少し衝動的に行動を移すところがあるのでな」

「確かに」

「で、どうじゃ!男の子が産まれても奴隷じゃないと分かったのなら、お主の子をこの地で作らぬか?」

「イヤイヤそれとこれは別だって!」

「そうか残念じゃ」


 先先代様は「残念じゃ」と言いながら部屋を出て行った。出て行く間際に「気が変わったらいつでも言うんじゃよ」と言いながら。



 どうしてそんなに俺の子供をこの国で産ませたいのだろう?……もしかして俺の能力を受け継いだ子が欲しいとか!?

 でもねーそうだとしてもそれはムリかも。超能力は遺伝じゃないし、運良く受け継ぐかもしれないけど……なんとも言えない。


 さぁーマジで寝よう、明日はランバー国だ!





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