朗報な情報
アマゾネス達に先導され、アマゾーン国へ無事に入国したんだけど、ちょっと引いてしまうくらい熱烈な歓迎を受けました!
まぁ拒否られて "帰れ" って言われるよりも全然ましなんだけどね。
クレアさんが出迎えの代表として現れたので軽い挨拶をし、お土産にこの地ではそんなに珍しくもないだろうけどバックから数羽デリバを取り出して渡そうと思った。要らないと言われたらお持ち帰りすればいいしね、ところがビックリするくらい驚かれた。
なんでも、この樹海のような森に生息して珍しくもないデリバだが、そう滅多に狩れないようだ。
群れで行動していて狩りやすいイメージはあるようだけど、よく話を聞いてみればデリバ自体の巣などは、森ではなく崖とかの壁画に自然にできた切れ目や窪みらしいので、そこへ行くのは困難、そして小形の小動物をエサに森へ現れても上空を猛スピードで動き回り旋回しているので中々狩りに苦戦するとか。
なるほどね、森の上空を群れをなして飛んでたからてっきり森の木とかに生息してると思ったよ。崖か……崖をクライミングしてたら格好の餌食だろうね。あのクチバシに抵抗も出来ず突かれたら…想像するだけで恐ろしい。
アマゾネスの狩猟方法を聞けば。
群れに対してアマゾネスの弓使いが一斉に矢を射るとか、だけど一斉に矢を射ったとしても数羽程度しか捕獲できず、外れた矢を回収するのにも相当な時間と労力を要するとか……まぁそうだよな、木とかに止まっている獲物じゃなく上空を猛スピードで動き回る標的だもんな。
そんなデリバをバックから一羽二羽じゃなく、数え切れない数を取り出すもんだから集まったアマゾネスの面々が口を開けたまま固まっている。
「アスラ殿!一体何羽仕留めたんですか!?」
「群れをいくつか仕留めたから千羽くらいいるんじゃないかな?」
「千羽!!!!」
一斉にアマゾネス達がまたまた硬直しちゃたよ……
だけどそのあと、凄く喜ばれたのも事実。
さすが救世主様とか、やっぱり救世主様とかボソボソと囁かれだけど……前回ここへ来た時に弓使い達の削ぎ落とされた胸を治療したのもあって、その後オッパイを削ぎ落とす悪しき風習が無くなり弓使いが一気に増えたとか、増えたのは良い傾向らしいけど今度は射る矢が不足して困っている時に俺がお土産で持って来た大猟のデリバ!
美味しく召し上げれるうえにクチバシや羽などは弓矢の素材。
ナイスタイミング俺!
そして案の定マナミの事を聞かれたよ。
一応俺の妹という事で紹介したんだけど、最初に俺を見かけた者の報告では一人で覇竜様の元へ向かったと報告を受けたとか……そう言えばあの時は一人だったなぁ〜と思い出し、危ないから身を隠していたんだとウソくさい言い訳をして納得してもらった。
なるほど、それで見回りのアマゾネスに妹と紹介した時に妙な顔をしてたんだ。
長旅お疲れでしょう。と言う事で以前寝泊まりしていた部屋へ案内された。部屋へ入るなりマナミはスヤスヤと寝てしまった。
疲れてたのかな?まぁイイか、いつものことだし。そんなことより入国して少し気になった事があるんだ、まぁクレアさんにでも聞いてみるかな。
コンコン!
ん?ノックの音。誰だろう?エロイかな?
「どうぞ」
ガチャ!
「失礼しますアスラ殿。お茶をご用意しました」
部屋へ入って来たのはクレアさん。この香りは紅茶かな?ここにはまだコーシーが普及してないんだ。多分
「クレアさん、ワザワザありがとう」
「いえ、遠い所から来ていただいていますので、お礼を言うのは私どもです。アスラ殿の妹君は、お疲れで、おやすみのようですね。フフ」
クレアさんがマナミの事を長旅で疲れて眠ったと勘違いしてる、いつものコトだから俺には良く分からないや。
一応クレアさんにはマナミが俺の本当の妹じゃ無いことは伝えておこう、まぁ魔剣って事は言わないけど、縁あって俺が引き取って妹にしているって事でイイかな。
んー……話したはイイが、身寄りのない子を引き取ったと勘違いされた。オマケにアスラ殿は本当に心の優しいし方なのですね。って!
まぁイイか。
「ところでクレアさん。ここへ来て少し気になった事があるんだけど」
「ハイなんでしょうか?」
「エロイナの姿を見ないんだけど?」
いつもならクレアさんと一緒に『妾じゃ』とか言って入って来るんだけど……
「ハイ、やはり気づきましたか。エロイーナ様は所用で出掛けて居ります」
「えっ?女帝だのに国を空けているの?」
「ハイ、そのとおりです。何処へ出掛けているのかはアスラ殿にも申し上げることは出来ません」
「いつ頃帰って来るの?」
「用事が済み次第お帰りになられると思いますが、はっきりいつとは申し上げれませんね。申し訳ありません」
「そうかタイミング悪かったなぁ、ゴメン不意にやって来て」
「いえいえアスラ殿が謝る事ではありません。先程アスラ殿が仰られたようにタイミングが悪かったのです」
エロイに会えないのは残念だけど、ほんとタイミング悪かったなぁ〜いつ帰って来るか分かならいから帰って来るまで滞在するわけにもいかないしなぁ〜しかし一体どこへ言ってるんだ?俺にも言えないってコトは、アマゾネス特有の仕来りとかで内容は伏せてるんだろな。
何かの儀式でもやってたりして。
「あっ!そうそう、もう一つ気になった事があまったんだ」
「他にも気になる事が?」
「前回来た時に気づかなかったんだけど、今回ここへ来たら子供が沢山居てたね」
「あー!なるほど、その事ですか。あの時は――」
なんでも前回この国を襲った伝染病が発覚して早急に子供たちを安全な施設に収容した
とか、俺の癒しの能力は信じていたみたいだけど事が治るまで外部と隔離してたとのコト。
子供は、この国にとって大切な宝なので何かあってからでは大変ですと言われた。
うん、なるほど。『子供が国の宝』ってフレーズがイイね。
でも、それはこの国の女の子限定って言うのが俺の心の中に引っかかるんだけど、まぁ仕方ない事か……
「アスラ殿はどのくらい滞在される予定ですか?」
「そうだなぁ〜……住民全員を検診しようと思っているから一週間くらいかな?」
「えっ?全員を検診するのですか?」
「ん〜最初はアマゾーン国で手に負えないケガや病気をした人だけ診る予定だったけど、チラホラと妊婦さんが目についたからね、妊婦さんに何かあったらマズイだろ?だから保険のために全員診ようかと考え直した訳さ。それで一週間くらいの予定。それと俺からも依頼があるんだけど」
「依頼?それはどういった内容でしょうか?」
「以前来た時にセシリアから色々貰った品の中に自分の声を変える魔道具を貰ったんだけど、うっかり壊しちゃったんだよ、それでもう一度作ってもらえないかと思って」
「なるほど……分かりました。私の方からセシリアに伝えておきましょう」
それは良い情報を頂きました。
「サンキュー助かるよ」
しばらくクレアさんと雑談しながら治療というか検診は明日からと言う事で色々と段取りを決め、今日はゆっくりと寛ぎカラダを癒して下さいと言われた。
別に疲れてはいないのだけどね、久々にベッドで眠れるのは嬉しいね。マナミなんて可愛い寝顔で眠っちゃってるし、俺もマナミの横で昼寝しようかな。
◇ ◇ ◇
アスラ殿との今後の予定も決まり、アスラ殿から得た朗報ともいえる情報を早速エロイーナ様に報告しなくては!
通路の角を曲がり………
「……エロイーナ様、そんな所に隠れて何をなさっておられるのですか?」
「か、軽い運動をかねての散歩なのじゃ!」
「いくら仮面で顔を隠しているとはいえウロウロしていてはアスラ殿にエロイーナ様だとバレますよ?」
「そんな事よりもじゃクレア!」
「ハイなんでしょう?」
今、誤魔化しましたね……
「アスラの横におった女子は何なのじゃ!」
「何を言いだすかと思えば……彼女はアスラ殿の妹君です。何をあんな幼な子に嫉妬しておられるのですか?」
「そ、そうなのかえ?アスラが女子などを連れておるからビックリするではないか」
「はぁ〜〜エロイーナ様。散歩も良いですがほどほどにして下さいね。アスラ殿に見つかっても私は責任とれませんよ?」
「わ、分かったのじゃ。しばらく部屋で大人しくしておるのじゃ」
本当にエロイーナ様ったら……そんなにアスラ殿にお会いしたいなら正直に打ち明ければ良いものを……その時は計画を立てた私も一緒にアスラ殿に謝罪します。
「エロイーナ様」
「何なのじゃ?」
「アスラ殿に普通とは言えませんが、お会いするチャンスがあります」
「ほ、ほんとかえ?」
「ハイ。とりあえず部屋に戻りましょう、詳しくはエロイーナ様の部屋でお話します」
「分かったのじゃ!早く部屋に戻るのじゃ」
「エロイーナ様!走ってはダメですよ」
私はエロイーナ様の部屋に入りアスラ殿から聞いた声を変える魔道具の事を話しました。さすがに直接お会いする時には仮面を着けていただけないとダメですけど、声を変える事に成功すれば、お話は出来るでしょう。
早速セシリアの元へ行き、アスラ殿が声を変える魔道具が欲しい事を話し、エロイーナ様用にも同じ物を用意するように伝えましょう。
部屋を離れる前にエロイーナ様には声を変える魔道具が出来るまで口調を変える練習をするよう伝えました。
『妾』『〜〜かえ』『〜〜じゃ』『〜〜のぉ』は、一切禁止。
口調が直るまで頑張って下さいと念を押しましたけど……
さて、アスラ殿がこの地を去られる前にお会い出来るでしょうか……全てはエロイーナ様次第ですね。