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魔王

今話は少し短め…

 ゲーハー国から一路バハムートの元へやって来た俺なんだけど、バハムートから俺の知らない魔剣について聞き、あまりにも衝撃過ぎた俺には とてもその後、魔剣について聞く勇気が無かった。


 その後、話題を変えたくて聞いた質問は、地竜のお姉さんについだ。別にどうでもイイ話題なんだけどね。


「バハムートは、地竜のコト小娘って言ってたけど、一体どーゆー関係なんだ?」

「関係?偶々あの小娘が幼竜の頃から知っておっただけだ。当時幼竜にも拘らず我に行き成り勝負しろと果敢に挑んで来ておったな、その小娘がよもや地底を統べる主になるとは思いもしなんだ!ワッハッハ!」

「なるほどね」

 幼竜の頃から知っているんじゃ小娘だよな。


「そー言えば!バハムートお前!俺に加護を与えただろう」

「ウム、そうだがそれがどうかしたのか?」

「お前の加護って、どんな効果があるんだ?」

 どうかしたのかじゃあねーよ?事前に説明しろって!


「大雑把に言えばアスラを見護っていると解釈すれば良い」

「なんだそれ?意味が分かるような分からないような?」

 なんだ〜その自慢気な顔はっ!?

(ぬし)の頭では理解出来ぬか?例えば知性の有る我と同じ竜種ならば我の加護でアスラは襲われ難いだろう」

「ふむふむ、じゃあさぁ知性がない竜なら?」

「間違いなくアスラを襲って来るであろう」

「なんだそれ」

 なんかどうでもいい加護のような?まぁ知性がある竜って、相当強そうだし襲われ難くなるならイイか!――そう言えば地竜のお姉さんもダハムートの加護を見て俺と闘うのやめたしな。


(ぬし)のような か弱いモノが我の加護で護られている事を光栄に思うが良い!」

「か弱いって……」

 そりゃ〜お前からしたら人間かんか全員か弱いっつーの!


「ところでジェットを見かけないけど狩にでも行ってるのか?」

 ん〜さっきから辺りを見回してるけど姿が見えないぞ?いつもはダハムートの側をウロウロしてるんだけど……

「もうココには居ないぞ」

「エッ?」

「アスラがこの地を去り暫くした後、巣立って行きよったわ」

「巣立って行っちゃったのか……」

 もう一度ジェットに会いたかったな……


「いずれ何処かで会えるだろう」

「なぁバハムート、バハムートはジェットが俺の従魔だって事知ってたんだろ?ジェットって何で俺の従魔なんだ?正直俺も最初に気づかなかったんだけど」

「それはアスラが小僧に名を付け、餌を与えたからであろう」

「えっ?それだけで?」

 犬や猫じゃああるまいしそんなバカな?


「一番の決め手は小僧の折れた翼を回復したからであろう」

「そー言えばそんなコトもあったなぁ……」


 最初にジェットに出会った時 ダハムートに、お前の子供か?って聞いたら、魔獣に襲われていたから拾って来たって、言ってたな……いくらパピーだからって飛ばない、いや飛ぼうとしないのが不思議で、何でだろうと思っていたら、翼の骨が曲がっていたからヒーリングで治してやった記憶がある。


「多種多様な条件が重なりアスラを主人(あるじ)と認めたのであろうな」

「そうか……次に会った時に、どれくらい成長しているか楽しみだな」

「案外アスラの窮地に突如 現れるのかも知れないぞ?ファッハッハ」

「あー、そうかもな……」

 おっ!イイねー!今のはお約束的な発言だな。でも窮地に立たされるとかってカンベンな。


 その後もダハムートに色々聞こうと思ったんだけど何を聞こうか考えていたら、ダハムートがお約束どおり物語を聞きたいと言ってきたので、取り敢えず漫画のストーリーを話す事に――だけど完結している漫画を思いださなきゃならないので、この際だからアニメや小説でもイイかな。


 今回は以前見たアニメの物語をダハムートに話す事にした。異世界モノのアニメだ!普通に日本で暮らす青年が不慮の事故に遭い死亡して転生した先が異世界と言うお話。


 異世界へ転生したものの人間や亜人に転生したのではなく魔族として生前の記憶を持ったまま転生し波乱万丈の生き様、そう彼の生き様とは勿論!魔王としての生き様だ!


 色々な波乱がある中、善の魔王を目指すという、とんでもない物語だ。


 物語を話す途中に夕飯を挟み、話の再開!ダハムートは仙人の姿のまま静かに物語に聞き入っている。マナミも普段はコックリコックリしながら寝ているのだけど今回は、ダハムートと同じ様に俺の話す物語を静かに聞いている。


「――そして世界の平和と言う名の均衡を保つ為に敢えて死を選ぶ。自らの想いを勇者に託し、親友となった勇者と闘い この世を去った。終わり」


「う〜む。中々興味深い良い物語ではあるが、ワザワザ死を選ぶ必要は無いのではないか?」

「いや〜俺に聞かれても そーゆー物語だし、いくら善ある魔王でも魔王が居たら、特に人間には理解も納得も、できないんじゃあないか?」

「勇者は魔王の事を理解したのであろう?何故に親友に成ったにもかかわらず闘い殺すのだ?魔王も魔王だ!力が有るのならば君臨すれば良いではないか!面白い物語では有るが我には納得出来ん!」

「魔王に転生する前が人間だったから人間の、特に悪い部分と言うか弱い部分を知っているからこそ、この世を去る事に決めたんだろ?人間って卑屈で臆病な面があるから魔王が存在してたら、いくら平和な世の中でもオチオチ寝れないんだと思うぜ?」


「う〜む」


 ダハムートのヤツ珍しく納得いかないようだ。まぁ作者は俺じゃないから納得いく説明は出来ないけど。


(ぬし)はアスラなら、もし物語の魔王の立場ならどうするのだ?」

「俺?俺が魔王の立場なら死なんて選ばないぜ!一度しか無い人生なんだから満喫しまくるぜ!」

「ワッハッハ!そうであろう!死ぬまで楽しまなくては面白くない!」

「さぁ〜ってと、物語も終わったし、ソロソロ寝てイイか?結構遅くまで話し込んだから眠くなったよ」

「おーそうか、寝ても良いぞ我が許す。明日も新しい物語を期待しておる!」


「あ、あー……」

 我が許すとかナニ?それに期待されてもな……明日は何の話をしようかな?ハッピーエンドで終わる物語の方が良いね、変に突っ込まれても面倒だし、寝ながら明日の物語を何にするか考えよう。


「…マスター…」

「どうしたマナミ?マナミも一緒に寝るか?」

「…お腹…空いた…」

「お腹空いたのか?俺はもう寝るだけだから好きなだけ食べてイイぞ」

 "コクコク"


「イ"ィ"」コテン!

 意識を失うように眠りにつくアスラ。





「う〜む。アスラの意識が保てぬほど容赦なく吸い上げたものだな……だがアスラが眠りにつくのは都合が良い」

「……」

「久しいの巫女姫よ。その姿で会うのは何年振りか?700年振りであるか?」

「…もう…巫女姫違う…」

「ワッハッハ!そうであったな、今は()()()(ぬし)の名であったな」

 "コクコク"


「その様子からして(ぬし)は記憶を保てているように伺えるが?」

「…色々な…思い出は…忘れた…」

「そうであるか。幼な子であった(ぬし)が当時の魔王を倒す為、その身を犠牲にし魔剣に成ってから早700年にもなるのだからな……」


「…魔王を…仕留め…損ねた…」


(ぬし)のせいでは無い!当時の勇者が(ぬし)を扱いきれなかったのだ。だが心配せずとも良い。その魔王が200年後、つまり今から500年前に眠りから覚め復活したが、異界より来りし新たな勇者達と我が屠ってやったわワッハッハ!」


「…ありがと…」


「礼には及ばん。(魔王)は我に配下に下れとバカな事を言っておったからな、我としても邪魔な存在だったのだ!過ぎた昔話は、これくらいにして少し待っておれ」

 気を失い眠りに就いたアスラを覗き込むバハムート。


「…マスターに…なにを…するの?…」


「心配か?心配せずとも危害は加えぬ。あの小娘が処置しきれなかった事をするまでよ。アスラが勇者に掛けられた呪いは完全には消えておらぬ、仮に竜眼を失えば呪いは再発するであろう!」

「…!…」

「案ずるな。我ならこの呪い打ち消す事が可能だ!今アスラを死なせては我の楽しみも減るのでな。(ぬし)もアスラが再度起きぬよう、可能な限りアスラの魔力を吸い上げるのだ!」

 "コクコク"


 バハムートの指示の下、アスラの魔力を吸い上げるマナミ、それを確認するようバハムートは勇者に掛けられた死の呪いを完全に打ち消す為、解呪に励んだ。


「――ふぅ。もう大丈夫である!死の呪いは完全に打ち消したぞワッハッハ!」

「…ありがと…」




「では本題に移ろうでは無いか巫女姫……今はマナミであったな」

「…?…」

(ぬし)はアスラを葬りに顕現(目覚めた)したのであるまいな?」


「…!?…」


 突然のバハムートの問いかけに戸惑いを隠せないマナミであった。

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