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魔剣あれこれ

 

 アスラがゲーハー城を去ったある一室では――


「ねーあなた(バールド)〜。アスラ君が居る時にルナちゃんも一緒に居ていたから聞かなかったけど、アスラ君の片目の色が違うのは、どうしてなの?」

「エリーゼも気づいていたのかい。僕も君と一緒でルナがいたから聞きそびれてしまったんだよ、恐らく彼の能力の一片だと思うんだ。でも僕はアスラの事を本気で親友だと思っている、だから好奇心で根掘り葉掘り聞くのをよそうと思っているんだ」

「フフあなた(バールド)らしいわ」

「それに誰が聞き耳を立てているか分からないしね」

「それもそうねフフ」


 アスラの片眼の色が変わっていることに気づいた二人であったが異世界人であるアスラの能力の一片だと思ったようだ。






 ◇ ◇ ◇


 その頃アスラはゲーハー国から瞬間移動で到着した地で、懐かしさを楽しむ暇も無く飛んだ歓迎を受けているようだ。


 ゲーハー国からルチハ達の待つ我が家に帰らず、駄竜に会いにやって来たんだけど麓へ到着するなり行き成り魔獣に襲われましたよ!

 すかさずバックからトンファーを取り出し応戦!以前訪れた時よりレベルもステータスも格段に上がっているので麓付近の魔獣なら楽勝で蹴散らすことに成功した。そして山の中腹付近では魔獣も魔物もドンドン強くなって行く。


「ったく!ドラゴンの棲家が近いのにホント モンスターの多いコト!()ハムートの奴め〜野放しにし過ぎだって!」


 まぁ今の俺なら何とか倒せるけど数が数だけに厄介だね、そしてもう一つ面倒な事は、ある程度の魔獣や魔物とかとは闘っている訳だけど未だ闘ったことの無い敵に対しては少し苦戦をしてる訳さ。


 これも修行の一貫だと割り切ったアスラは次々と襲って来るモンスターを倒しバハムートの待つ頂上へと歩みを進めて行く。


 漸く駄竜の待つ崖の上を駆け上がれば目当ての駄竜が居るじゃないの。留守じゃなくて良かった!まぁ何となく居る気配は感じていたけど。




 漸く巡りついた地は嘗てアスラが覇竜バハムートに攫われ数ヶ月過ごした地、毎日が修行と漫画の語りをし過ごした懐かしい場所であった。


『よー!バハムート久しぶり!』

『漸く我の元へ辿り着いたようだなアスラよ』

『えっ?俺が来てるコト知ってたのか?』

『フム、(ぬし)の気配が麓付近で感じられておる時から(ぬし)の闘いぶりを眺めておてったわ!』

『そうなの?じゃあ迎えに来てくれれば良かったのに……』

『一瞬我もそう考えておったが、(ぬし)から(ただ)ならぬ気配を感じ暫く様子を伺っておった』

『ハァ?たたならぬ気配?』

 なんだそれ?もしかしてマナミの事か?いやマナミはバックの中だし……

『フム、分からぬか?その眼だ!』


『なるほど。そーゆーコトね』

 凄いね駄竜!流石ドラゴンの頂点に立つだけの事はあるじゃん!ここから麓まで結構な距離があるのに俺の気配だけじゃなく竜眼の気配まで感じるなんて。マナミの事じゃなくて良かった。


『アスラよ、その眼はどうしたのだ。ヌッ!?』

『どうしたんだバハムート?』

 慣れてるとは言え急に睨まれたら怖いって!

(ぬし)は、その眼を通し呪われておるではないか!一体何があったのだ?』

『えっ?なに言ってんだ?もう呪いは解けてるだろ?取り敢えず順を追って話をするからさぁ一応聞いてくれ――』

 俺はバハムートに獣国で起きた騒動を詳しく説明し最後に地竜に自分の眼を犠牲にして俺の呪いを解呪してくれた事をバハムートに伝えた。


『ほぅ……では、あの小娘が己の竜眼を使い(ぬし)の呪いを解いたと言う事であるのだな?』

『そうそう。そーゆーコト!』

 地竜のお姉さんのコト、小娘だって!それに話している時に、駄竜って今回の勇者に対してあまり興味がなさそうな気がするのは気のせい?


『……アスラよ。(ぬし)は、何か勘違いしているようだぞ?勇者に掛けられておる呪いは……()()無いようだが……先程説明された勇者の呪いとは違う別の呪いは未だ残っておる。どのように説明を受けたか分からぬが我の眼は誤魔化せぬ、真実である。恐らくあの小娘が呪いを掛けたのであろう』

『えー!マジかよ。でもなんで地竜は自分の眼を犠牲にしてワザワザ俺に呪いなんか掛けたんだ?全く意味分からん!』

『普通に考えれば、勇者の死をも告げる呪いが思いのほか強力だったのでないか?あの小娘の力では解呪出来ぬ程な、そしてあの小娘の取った手がその呪いよりも強力な呪いの上書き、そして更に完全なモノにする為に竜眼を使ったのであろう』


『呪いの上書き……』

 アレ?なんか聞き覚えがあるような?


『そう上書きだ。そう考えるならば納得出来るが、我からすれば竜眼を使い強制的に封印と言う方が納得出来る』

『上書きじゃなく封印……? なぁ〜バハムート、今のバハムートの言い方なら勇者に掛けられた呪いをバハムートは、解呪出来たのか?』

『当たり前であろう!我に不可能は無い!しかし解呪にあたり(ぬし)の肉体と精神が我の解呪に耐えれるかにもよる。(あなが)ちあの小娘の取った手は間違いでは無いと我は思うぞ』

『マジかよ!じゃあさー今掛かっている地竜の呪なら解けるのか?』

『ウム解ける。だがやめておけ、あの小娘の意図は分からぬが(ぬし)を想ってやったのであろう、それに(ぬし)の肉体を脅かし害ある呪いではないようだ。理由はどうあれ(ぬし)が手に入れた竜眼は有って損は無いぞ、()()()()


『損がない?』

 なんつーか意味深な言い方だな?


『例えば……「今まで(ぬし)とは、念話で話しておったが、ホレ我の声が聞き取れるであろう」

「あっ!ホントだ。バハムートの声って、こんな感じの声だったんだな」

 地竜のお姉さんが人語を話す声って、どちらかと言うとスマホとかのAIっぽいカタコト的な喋りだったからな、コレは聞き取りやすい。

「今はまだ完全ではないようだが、その(竜眼)がもっと馴染む頃、意識せずとも遠方まで見えるであろうしな」

「ホ〜色々特典が付いてくるんだな」

 ラッキー!まぁ遠方を見れるのは千里眼を使えば見れるからイイんだけど、普通に会話が出来るのはイイね!


「ところでアスラよ、今日はどの様な用件で来たのだ?(ぬし)がこの地を離れてから然程月日も経って居らぬようだが?」

「エッ!?そろそろ来た方が良かったかなぁ〜って思って来たんだけど……」

 そうか!コイツに対して数ヶ月は数日みたいなもんなんだね、気を利かせて来るんじゃなかった。けど、マナミの事とか色々と聞きたかったし、まぁイイか!


「なぁバハムート。バハムートも地竜みたいに人の姿になれたりするのか?」

 まぁなれるんだろうね。

「フハハハ!当たり前であろう。我に不可能は無い!」

 俺を吹き飛ばすんじゃないかと思うくらい豪快に笑いながら人の姿に変化していくバハムート……一体どんな人の姿になるのかドキドキしながら見ていると――杖をついた白髪白ひげの老人の姿に変化した……どう見ても仙人じゃん!


「どうしたのだ、何を呆けておる?」

「イヤ〜なんかイメージと違って……バハムートなら、こう何というかムキムキの戦士タイプの人型になると思っていたからさ」

「フハハハ!偶に人里に赴く際は、いつもこの姿だ!老人の姿に変化すれば怪しまれなく済む、それに本来の姿では怯えられて困るのでな」

「へ〜バハムートでも人里に行くことがあるんだ」

 そりゃあドラゴンの姿で現れたら敵意なくても大パニックになるよ。ウン仙人スタイルで正解!

「当たり前であろう、空の上からでは見えぬモノもあるのでな」

「へ〜そうなんだ」


 ちょっと意外だなドラゴンの頂点に立つような奴だから、いつも高みの見物とかしていると思ったよ。ドラゴンの姿の奴と話をするより少し話しやすいかな?

 喉も乾いたし落ち着いて話をするなら飲み物の用意をしよう。取り敢えずコーシーを飲むか分からないけど、コーシーを淹れて勧めた。


「ほぅコレが人の飲み物か?酒以外に我の口に合う飲み物があるとは意外ではあるな」

 バハムートも酒を飲むのか?もしかして人里に現れるのは酒目当て?まぁイイや、話を進めよう。


「なぁバハムート。コレが何だか分かるか?」

 おもむろにバックから魔剣(マナミ)を取り出しバハムートに見せる。


「ほぅ魔剣ではないか」

「凄いなバハムート、取り出して一瞬で魔剣って見抜くなんて」

「当たり前であろう!我を誰だと心得る!」

「はいはい。天空の覇者だろ?」

「ところで、その魔剣がどうしたのだ?まさか扱い方が分からぬと言うオチではあるまいな?」

「ん〜扱い方と言われたらそうかもな……マナミ、人の姿になってくれ」

「ムッ!人の姿だと!?」


 マナミは "コクコク" 頷いたのかは知らないけれど俺とバハムートの前で魔剣から人の姿に変化した。でも相変わらずスッポンポンなんだよな、地竜のお姉さんとかバハムートのように服も着て変化できないもんかね?


「ヌッ!(ぬし)は、魔剣と契約できたのか!ほぅ魔剣と契約できるモノを見るのはいつ以来か久方ぶりであるな、最後に契約に成功したモノと言えばカツヤが最後だと記憶しておる。今の世で魔剣と契約どころか真面に扱うモノも居なくなっておると思ったが」


「へ〜そうなんだ。カツヤと言えば勇者だったな、ケンジの方はどうなんだ?」

 やっぱ魔剣についての伝承とか廃れちゃったのかな?


「奴は、その手の才能は全くなかったのう」

 何か思い出し懐かしい目をしているバハムート、当時の事を思い出してるんだろう。

「なるほどね、ところでカツヤも魔剣と契約して魔剣が人の姿に顕現してたのか?」

「そこまでには、至らなかったようだ。魔剣との契約にはある程度の才能と条件が一致すれば契約できるが、魔剣が元ある姿に顕現するのには更に条件が厳しくなる!カツヤでさえ武器の形態変化がやっとであった。(ぬし)は更に上の顕現までもって行くとはな、中々に見所があるではないか!」

 まぁカツヤの所持していた魔剣は、そういう類いのモノでは無かったしのう。



 武器の形態変化?なんだそれ?益々魔剣について聞きたくなったじゃないか。マナミは形態変化をすっ飛ばし行き成り人の姿に顕現したのか?それとも形態変化しないタイプとかもあるのか?全く意味不明!


「この子の名前はマナミって言うんだ。最初に色々聞いたけど無言だったし、名前を聞いても返答が無かったから俺が勝手に付けたんだけど、マナミについてと言うか魔剣についてバハムートに色々聞きたかったのさ」

「それはそうであろう。恐らく魔剣になり何百何千年もすれば人であった時の記憶など無くなるであろうて、まして生物としての活動も魔剣になる事により停止し、モノとして存在するのだからな。(ぬし)がどの様な回答を求めておるのか分からぬが我の知りうる範囲に限られる」

「バハムートちょっと待って!今なんつった?()()()()()()()()って言わなかったか?」

「そのように言ったが、それがどうかしたのか?」

「魔剣とかの類いって物に対しての思い入れとかで魂が宿るんじゃないのか?」

 アレ?確か地竜のお姉さんの説明だと、そうだったような気がする?聞き違えた?


「通常のモノはそうだが、そういった類いのモノは形態変化をするモノも有ればしないモノも有る。……だがなアスラよ、そうではない類いのモノは生ある生き物を何らかの方法で武器などに封印し出来上がったモノが魔剣となるのだ。(ぬし)の所持しておる魔剣も元々は生ある時に強制的に若しくは自らが望んで魔剣に成ったのであろう、それが証拠に人の姿として顕現しているのだからな」

「エェッ!?マジかよ……だけどなんで生ある物を武器に封印するんだ?」

「それは生前に強力な力を所有しておったからであろう。その時代災いを齎す力、強力な敵を倒す力、時の権力者が所有したかったのか、理由は様々あるではないか、そういった理由で武器に封印したのであろう」


 なんかスゲー事をサラッと言っているけど……マナミも自分の身を犠牲に魔剣になったのか?もしかして地竜のお姉さんは、敢えてその部分を省いて話をしてたんだろうか?

 マナミが何故魔剣に成ったのか知りたかったけど興味本位で聞くんじゃなかったかな……


「アスラよ、他に魔剣についての質問は有るのか?」

「イヤもうイイよ」

 マナミを見ても自分の事を話されているのに分かっているのか、いないのか顔色も変えず普段通りチョコンと座ったままだ……もうこれ以上は聞きたくない。聞いても何となく悲しい結果になりそうだし。


 もうこの話題はイイや。マナミが例え魔剣であってもマナミはマナミだし。他にもダハムートに聞きたい事は色々あるからね、漫画の物語を話す前に色々と質問してみよう。

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