超絶必殺技
何とか地竜のお姉さんの助けもあり勇者3人を倒す事に成功。倒すといっても殺してはいない訳なんだけどね。取り敢えず気絶している勇者が目覚める前にっと、丁度イイのでヤツらが持っていた魔力を封じるロープらしいモノと鎖で縛り上げました。
勇者3人を縛り上げるまで闘技場内静寂だったんだけど縛り上げて確保した途端、大歓声と言うか自分達が勝利した事に皆さん喜びの歓喜を上げていた。
安堵し、その場でへたり込む者、お互いの無事を確かめ合う者、安心して負傷者を回復する者様々な様だ。
「地竜のお姉さん、なんか悪いね俺の事情に巻き込んじゃって。でも助かったよ流石に俺1人じゃ同時に3人相手はキツイからね」
『気にするでない、我の気まぐれよ。しかしお主の能力がどれ程のモノかは解らぬがお主1人でも余裕で倒せるのではないのか?我にしてみればこ奴らが本当に勇者なのかも疑わし力よ』
「余裕なんてないよ」
まぁ一応勇者見たいだけどね。地竜のお姉さんが強すぎるんだよ。
『ふむ……我にはお主が力を制限して闘っていた様にも映ったのだが……』
そうこう2人で話していると俺と地竜のお姉さんの元へ――
「アスラよ!イヤ伝説の賢者殿よ!よくぞワシらの窮地を救いだしてくれた!」
伝説の賢者?誰だよそれ!俺は伝説の賢者でも勇者でも無いっつーの!さてはマリーさんだな?皆んなに余計な事を吹き込んだのは?
「アスラく〜ん!来てくれると信じてたわ〜流石、伝説の賢者様!」
「伝説の賢者!来るの遅い。でもありがと!」
「アスラ君!フフやはり君が伝説の賢者様か」
「アシュラ!お前は伝説の賢者だったんだな。アノ闘い振りを見れば納得ダ」
「違います!」
マリーさん……ポアンさん……ホント勘弁してくれよ〜。
訳の分からない事を言いながら獣王様に続きワラワラ集まって来ましたよ。レオン王子とオウガなんてマリーさんとポアンさんの肩を借りて来てるし……片足無いんだから休んでたらイイのに。アレ?この2人の片足が見当たらない……どこいったんだ?まぁイイか。
獣王自らがアスラの元へ駆け寄るので他の者も勇者を倒したアスラと謎の女性の元へ近づきたいのだが獣王に続きレオン王子達までアスラの元へ向かった為、遠慮して遠巻きに窺うようだ。
「やはり貴方は伝説の賢者だったのですね!必ず来てくれると信じていました!」
「あ、ああ……」
シィーナさんまで……マリーさん本当に後で説教だな。そしてシィーナさんゴメン。本当は来る気は無かったんだけど……ハハ黙っておこう。
「アスラさん、そちらのお方は?」
「ウム、ワシも其方の御仁が何者なのか気になるのジャ。其の方と同様、我等の窮地を救ってくれた方なのジャからな。感謝の気持ちを述べなくてはならぬ故、紹介して欲しいものジャ」
「え〜と……」
どうしたもんかな、このまま普通に紹介してイイものなのか?変に紹介して厄介なコトにならないかな?
思案しながら地竜のお姉さんの方をチラッと見れば。
『お主の好きにするが良い。こ奴らが我を敵として見るなば、我もそれ相応な態度を示すまでよ』
エーッ!それって可なりヤバくて超面倒くさいコトじゃないの?もうトラブルは遠慮したいんだけど。
「アスラ君、私たちにも紹介しなさいよ〜。どこで知り合ったの〜?でも今の彼女の話す言葉って〜聞き覚えのない言葉よね〜?」
「え〜と、それは……」
取り敢えずマリーさんにアイコンタクトを送り……
『マリーさん聞こえるか?返事は心の中で』
『急に、どうしたの〜アスラ君?』
『今から話すコトについて、聞いても驚かないように。彼女は地竜なんだよ、地竜が人の姿に変化してるんだよ』
「!?」
『エッ!?ホントに〜?彼女って〜竜なの〜?』
『だからどう皆んなに紹介しようかと……』
「どうしたアスラ?マリーと見つめ合って?」
「いやポアンさん何でもないよ」
「そ〜よ〜見つめ合ってなんかいないわよ〜。それよりポアン〜、ちょっと話があるからコッチいらっしゃい」
「ん?分かった」
ポアンさんのコトはマリーさんに任せてと……獣王様達にどう説明するかなぁ――などと思案していると。
「お前らエエ気なモンやな、こんなんで俺らに勝った気でおるとはメデタイやっちゃで」ニヤニヤ
勇者の1人が目覚めて、こちらに何か言っている。取り敢えず紹介は後回しだな。確かコイツの名前はタクだったはず……
先程まで闘技場内は歓喜に沸いていたが勇者の1人が目覚めるや否や一瞬で静寂に包まれる。
「おい、ブー!いつまで寝てんや」
” ゴンッ ”
縛られた状態なので頭突きでユーゴを起こすタク。
「いっつー!タクさん痛いですってッ!僕、ケガ人っすよ。もう少し労って下さいよ〜」
気絶したフリがバレましたやん。
「うっさいんの〜。頭突きしたコッチの方が痛いんじゃドアホ」
勇者の1人が目覚めるや、獣王自ら勇者の前に立つ。それに続き傍らで見ていた者達は勇者が如何に拘束されているとはいえ万が一獣王に何か有っては成らないと獣王を警護するように臨戦態勢を取る。
「貴様らの真の目的とは何ジャ?どういった目的を持ち、この地ベスティアに来たのダ?」
真の目的を勇者に問いただす獣王、王女1人を奪う為にコレだけの騒動を起こすのは俄かに信じ難い獣王であるようだ。それは獣王に限った事ではなく、ここへ勇者討伐の為 集まった全ての者もそう感じているようだ。
「ハァ?なに言〜てんねん。交渉の時言〜てたやろ?コイツが姫さん欲しいって。ボケてんかオッさん?」
「そおっすよ、姫さんは僕たちが作るハーレムの一員っすよ」
「……王よ、真意はどうあれこのまま、この者達を生かしておく訳にはいきません!」
獣王様たちと勇者の会話を傍から見て聞いている訳なんだけどコイツらって典型的な異世界人と言うかハーレム願望強すぎ!ハーレム作りたいなら誰にも迷惑かけずに作れっつーの!真っ当に勇者していたら女性にモテるだろうに。多分
「貴様らの下劣な理由など、もうどうでもよい。このまま処刑を行うのジャ!」
あーあ、悪しき勇者とはいえ同じ異世界人が目の前で殺されるのは余り見たくないなぁ〜。目に焼き付く前に、皆さんに気づかれないよう少し離れておこう。
「俺ら勇者に、そんなコトしたら後でエライ後悔すんで。まぁしゃ〜ないな最後にコイツらと話させて〜な」
「ほんまっすよ。タカシさんタカシさん、早よ〜起きて下さいよ。ヤバイっすよ」ユサユサ
って、タカっすぁん!?髪の毛一本も有りませんやん!!!
「――うっさいんじゃボケ!横でガチャガチャぬかさんでも起きとるわいボケッ!」
「なんや?起きとったんすか」ニコニコ
絶対ウソや!この人、今の今まで絶対気ィ〜失の〜てたハズや。しっかし見事にハゲ上がりましたね〜。
「なに人の頭見てニヤニヤしてんじゃボケ!」
「いや、だってね〜。ねータクさん」
「そやな。タカシ、おまえ髪の毛一本も無いぞ。どないしたん?」
「ハァ?なに言〜てんや?髪の毛無いんはブーゴやないかい」
「タカシおまえ、そこの眼帯にいちゃんとバトってた時に髪の毛無くなったんとちゃうか?」
「ハァ?バトってた時?(ハッ!)そや!このガキィ俺のアタマ燃やしやがったんや!殺すぞクソガキィ!」
勇者タカシが鬱陶しかったらしく知らん顔をするアスラ。
「聞いとんか、ワレ!」
急に俺に向かって怒鳴るから、離れそびれたじゃないかよ〜。
「……それだけ喋れば充分ジャろう。もう思い残すコトは無いな?では処刑を行う」
「ちょ!まって〜な早いって!タカシおまえ、そこの眼帯にいちゃんに話したいコトあるやろ?」
「そやな最後に言っておきたいコトがあるなぁ」
「賢者殿、この様なコトを申しておるが其の方はいかが致す?」
うわぁ皆さん注目しないで!獣王様もコッチに話振らないで〜視線が痛い!仕方ない……最後に話くらい聞いてやるか――タカシと言う名のハゲ勇者の前に行き話を聞く事に……あー超面倒クセー!って俺は賢者じゃ無いっつーの!
「で、話って何?」
「お前ぇガキのクセに結構やるやん」
「そりゃどうも」
「なぁ俺らの仲間になれへんか?」
「ハァ?バカじゃねーの?」
「ハン!シャレも通じへんのかい、ジョーダンに決まってるやろ。最後にエエもん見せたるわ」ニヤリ
「ハァ?エエもん?」
タカシと言うハゲ勇者がニヤっと笑った瞬間、ヤツの額が横に裂けた!?
エッ?なにコレ?超ヤバくない?
タカシの額が裂け咄嗟に身構えるアスラ!アスラとタカシの様子を離れた位置で見ていた地竜が叫ぶ!!!
『アスラッ!其奴の眼を見るで無いッ!!!』
「エッ!眼?」
タカシの額が裂け覗き出てきたモノは第三の眼、特殊スキル魔眼である様だ。必死で叫ぶ地竜であったが事すでに遅し、タカシが何かをすると思い咄嗟にカラダを庇うが……タカシの魔眼をアスラはシッカリと見てしまった。
急な事態にアスラの周りに居た者達は勇者に対して身構える。
「アッホやの〜クソガキィ!シッカリ見てくれて感謝するわ。タク、ブーゴ後は頼んだぞ、じゃあ俺は寝るからなオヤスミさん……」
特殊スキル魔眼を発動したタカシは、その場で死んだ様に眠りにつく。
「貴様ァ!賢者殿に何をしたァ!?」
タカシを揺さぶり起こそうとする獣王、しかしスキル発動後のタカシは最低一週間は起きないという。
「獣人の王さん、スキル発動しても〜たから、そいつ何をしても起きへんで」
「何ジャと?スキル……ジャと?」
「僕が説明してあげますわ。タカシさんの超絶必殺技!呪いのスキル、題して死の魔眼ですわ。一度魔眼を直視しても〜たら36時間後つまり3日後には完全に、この世とオサラバですわ」
死の刻印を押す対象者は1人限定見たいですけどね。
「あ〜それとなぁタカシを殺しても呪いは解けんへんから。眼帯にいちゃんご愁傷様ぁ〜」ニヤニヤ
「ほんまタカシさんにお似合いのエゲツないスキルっすわ」ニコニコ
「ナッ!?」
何ジャと……
獣人連合を救ってくれた英雄の1人が悪しき勇者の発動した呪いのスキルに掛かり、先程の戦い同様なす術が無いまま一同騒然となる。
一旦勇者達から離れ直視した片目を押さえ蹲るアスラ。マリー、ポアンも心配しアスラの元へ駆け寄る。
「アスラ君……」
「アスラ、大丈夫?」
「あー心配ない大丈夫だ」
「アスラ君!あなた目が真っ赤よッ!」
「アスラ!自分で治せないの?」
「それが……」
さっきからヒーリング掛けているんだけど目の奥がジンジンするんだよな……
〔どれ、我が見よう〕
地竜もアスラの元へ訪れ魔眼に犯された眼を見る。
「地竜のお姉さん、どうかな?」
〔フム……既に手遅れよ。お主は先程ヤツらが言ったように呪いで確実に死ぬ〕
「ハァ〜マジかよ〜」
何となく分かっていたけど俺のヒーリングじゃ呪いは癒せないんだな……
「時間は無いけど〜まだ間に合うわ〜解呪の呪文を使える者を探しましょう」
〔無駄ジャ!如何に優れた解呪の使い手とて魔眼による呪いを解く事は儘ならぬ!〕
「それじゃあ〜アスラ君は……」
「アスラ……」
「まぁそれが運命なら受け入れるしかないのかぁ……」
あぁ〜……まだやりたい事もいっぱいあったんだけどなぁ……ユーリア、ルチハ、シャル、そしてヴォルフに何て説明しよう……