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得も言えぬ…

アスラとタカシの闘いを傍観していたタクとユーゴも遂に動き出す。


「さぁ〜俺らもソロソロ動こうやないか?」

「了解っす!サッサと姫さん攫ってきますわ」

「ほな、虐殺再開やな。骸骨兵どもッ!虐殺開始やああ───────ッ!気合い入れて行きやああ───────ッ!」

 眼帯の兄〜ちゃんはアホのタカシに任せてたらエエし、反撃喰らう前に姫さん攫ってサッサとサイナラや。


 タクの指示の元、獣人連合の前でバリケードの様に待機していた骸骨兵(スケルトン)が一斉に獣人達に襲い掛かる!


 ズボッ!ズボッ!スポッ!ズボッ!スポッ!


 獣人連合も、いつ襲い掛かられても大丈夫な様に待機していたが、骸骨兵(スケルトン)達が動き出した瞬間、突如落とし穴に嵌ったかの様にスッポリ穴の中へ落ちて行くではないか。

 アスラが事前にノームに頼み準備していた落とし穴が功を奏し成果を上げる。


「なっ、なんや?」

「タクさん!なんすかアレ?骸骨兵たち穴にハマってますやん!?」


 突如動き出すと同時に穴に嵌り出す骸骨兵(スケルトン)!獣人連合もタク、ユーゴも一瞬思考が停止した。


 獣人連合は何かの罠と思い攻撃を攻めあぐね、タク、ユーゴは何事かと思考を巡らしていた。それもそのはず獣人連合は誰1人動く素振りすらなかったのだから。穴を掘る者、魔法を使った者など怪しい動きを誰1人として。


 そこへ1人の長身の女性が突如何処からとも無くタクとユーゴの背後へ現れ大声で叫んだ!?


〔〔獣人(けものびと)よ!スケルトンの頭部を攻撃するのじゃ!〕〕


 それは声と言うより唸りに近い響きのような声音だったが、それを聞いた瞬間、ハッ!っと我に帰る獣人連合。謎の女性の指示通り一斉に頭部のみの骸骨兵(スケルトン)に攻撃を仕掛ける!!!

 その叫びはタカシと戦闘中のアスラにも届き、一瞬ニヤリと笑みを浮かべたようにも見えた。


 タクとユーゴも直ぐさま後方を振り返る、振り返ったものの驚きに顔を隠せない状態だ。目の前には2mを超える長身の女性、そして鎖と魔封じのロープで縛り上げた人質4人が居ないのだから、有るのは切れた鎖と魔封じのロープ……そして無惨にもタカシが斬り落としたレオンとオウガの片足のみ。


 アスラが能力を使い静かに鎖と魔封じのロープを切断しタカシとの戦闘で全員目が釘付け状態の中、拘束を解かれたマリーとポアンの手によりレオンとオウガを連れ出し安全な場所へ避難したのだ。


「あっちゃぁ〜やってくれるの〜アノ眼帯兄ちゃんは囮かいなぁ〜?」

「まんまとヤラレましたね〜でも大丈夫っすタクさん、コッチにはコレが有りますから」ニコニコ


 ニコニコ笑いながら手に持つ偽卵を突き出し満面な笑顔のユーゴ。


「そやな」

「コレが有る以上獣人達は僕たちに手も足も出せません」ニコニコ

「そ〜ゆ〜コトやノッポの姉ちゃん。ケガしたくなかったらサッサと(うち)帰りやぁ〜」ニヤニヤ


 オッ!あのニヤけ具合、またタクさん、何か悪巧みでも企んでますね。基本タカシさんもタクさんも女の人に容赦無いのは解っています。


*****(貴様ら煩いぞ)

「はぁ?何()〜てんねん。ブーゴ今の聞き取れたか?」

「僕も全然、聞き取れなかったっす」

***(我の言葉も)******(理解出来ぬとはな)……』

 フム、やはりコノ者達は選ばれし者では無いのだな。仮に選ばれし者ならば勇者で有ろうが無かろうが、我らの言葉を自然と理解出来る。

 アノ者(アスラ)と初めて会うた時は怒りでそれを忘れていたのだからな、あの時 冷静に考えれば今更ながら笑いが込み上げるわ。フフ


 アスラ自身が選ばれし者であるかどうかは定かでは無いが、アスラ本人は自分の能力で地竜の言葉を理解し解釈していた。


「はぁ?何語やそれ?」

「ノッポの姉さん僕らに解る言葉で喋ってくれます?」

 しかし、このデカイ姉さん見れば見るほど僕好みの姉さんですわ。僕のコレクションにしたいっすわ。


〔ギャーギャー煩いぞ羽虫ども〕ジロリ

「はぁ?やんやと〜」

 ヒュンッ!”バシッ”

「グヘッ!?」バタン

 勇者2人に理解出来る言葉を発した瞬間、タクを片手で虫でも(はた)くかのように叩き伏せる人の姿に変化した地竜。


「ハヘッ!?」

 なっ、なんですとッ!?タクさんが一発シバかれただけで白目を剥いて沈んでますやん!なっ、なんなんすかコノ姉さんはッ!?



 突如何処からとも無く現れた謎の女性の事を見ていた数名の面々は警戒と共に心配もしていた。それもその筈、この闘技場に戦いへ(つど)った者より女性であるが誰よりも長身、しかも戦場に似つかわしく無い衣服、武器防具など一切着用していない場違いな格好なのだから。

 然し謎の女性が勇者と対峙し一瞬の出来事で驚愕へと変わったようだ。



 なっ、なんジャとッ!?誰ジャ、アノ女子(おなご)は?突如現れたアスラに続き、骸骨兵に戸惑う兵どもに喝を入れたかと思いきやアレほど苦戦していた勇者の一人を容易く沈めおったワ!!!アスラが連れて来た助っ人なのか?アノ素振りからして敵では無いのは事実ジャが……




〔おい貴様。その卵を如何するつもりなのだ?〕

「ホヘッ!?」

〔その卵を如何するのか聞いておるのだ?言葉が理解出来ぬのか?〕

「そりゃ決まってますやん、この卵を持っていたら獣人達は襲ってこれませんやん。僕を攻撃したら卵は割れてしまいまっせ、タクさんはラッキーパンチで伸されたかも知れへんけど僕には効きませんよ」

 基本タクさんは武闘派とちゃいますからねラッキーパンチで気絶したかも知れへんけど僕は打たれ強いっすよ。


〔ほぅ……やはり卵を使い獣人どもを脅していたのは事実と言う事よな。仮に竜が襲って来ぬ場合は如何するつもりなのじゃ?〕

「そんなもん喰べるに決まってますやん」

〔我の、いや竜の卵を喰べるとな?〕

「ちょいグロいけど僕の捕食強化の糧になるなら竜の卵も本望でしょう」

 見た目キショくてグロい卵でも竜の卵やから、それなりに僕の力になるっしょ。


〔ほぅ……竜の卵をバカにした上に、それを喰うて己の力の糧にするとな……〕


 そう地竜は言い放ち”ムンズ”と、ユーゴの頭部を掴んだ!

 不意の出来事で躱す事が出来なかったユーゴは頭部を摑まれ地面から足が離れて行く。片手のみで持ち上げられ宙ぶらりん状態になった。


「イダダダダッ!!!」

 マッ、マジっすか!?僕は、コレでも体重三桁は有るんすよ〜それを片手で持ち上げるやなんて!?


〔もう一度聞く。その卵を如何するのじゃ?〕

「イダダダダッ!(食い込んでる食い込んでる指が頭に食い込んでる!!!)そんなの決まってますやん!喰べるんすよ。こうやって!」

 現状の危機を察知したユーゴは【捕食強化】のスキルを発動し手に持っていた偽の卵を蛇のように大口を開けて喰べた!いや飲み込んだ。


【捕食強化】読んで字の如く捕らえた生き物を喰べる事により、その生物の特性を一時的に取り込む能力。捕食する時に人では有り得ないほど大口に成る様だ。


「ゲプッ!」

〔ほぅ我の前で()()を躊躇なく捕食するとはな、見上げた度胸よな〕

 何か分からへんけど姉さんに褒められましたよ?


「コレで僕も一時的とはいえ竜の力が手に入りましたよ。エエ加減、この手を放してくれません?今なら僕に働いたオイタとして許してあげますよ」

〔ほぅコノ状態で、まだ減らず口を叩けるとは大したものよ〕

「何なら姉さんは僕の女にしてあげますよ。だからコノ手を放してくれません?」

 ホンマに凄く痛いんですが?頭からメリメリ音が鳴ってるんですが!?



 (はた)から見る者達には、女性一人が勇者に対峙しているとはいえ、何か近寄り難い異様な光景に映ったようだ。



「な〜に、あの(女性)?アスラ君が連れて来たの〜?」

「あのデブを片手で軽々と持ち上げてる……」

「イヤそれも凄いが勇者一人を一撃で沈めたアノ強さ……」

「アシュラの仲間なのか?しかしコレだけ離れているのに彼女から凄い殺気がコチラまで届いているゾ!?」

「そ〜ね〜?勇者に対して何か恨みでも有るのかしら〜?」

「目が離せない!」


 勇者3人の魔の手から脱出したマリー達は安全な場所で謎の女性とユーゴから目が離せなくなっていた。


 一方タカシと闘っているアスラはタカシに対して少し手を焼いている。愛剣ブラッディソードを手にしたタカシは呪い増幅の為、狂った様に駆けずり回り、目に付く敵を奇声を上げながら切り裂き駆け回っていた。


「マジかよ……何なんだアイツ!?ただの狂った切り裂き魔と言うか通り魔じゃね?」


 勇者タカシが切り裂き魔に変貌し走り抜けた後には無惨にも切り裂かれた者達の屍が!イヤその後を追うようにアスラがヒールを掛け、切り裂かれた者達は一命を取り戻して行く。信じられない事に獣王の ”誰一人死なせてはならない” の一言が現実に成って行っているではないか。

 タカシに切り裂かれた者達は一瞬絶命したかと思いきや瞬時に回復している自分の姿に本人も、それを見ていた者達も何が何だか解らず戸惑うばかりだ。


 タカシの方はと言うと、確実に切り殺した若しくは致命傷を与えたと確信していた筈なのだが、誰一人地に伏せる者が居ない事に苛立ちが隠せない。瞬時にアスラの仕業と判断し再度アスラに襲い掛かりバトルを再開した。




〔我に貴様のモノになれと申すか?〕

「そうっすよ。僕の女になれば毎日イイ思いをさせて上げますよ」

〔戯けがッ!!!〕

 ズゴゴゴゴッ!

「ブヘェッ!」

 容赦なく掴まれた頭ごと地面に叩き込まれるユーゴ!そして追い打ちをかけられるように鳩尾(みぞおち)へ蹴りが入る!!!

「ブヒィッ!」

〔貴様は人間のクセにオークのように鳴くのじゃな〕ケラケラ


 容赦ない地竜は鳩尾(みぞおち)を蹴った後にユーゴの股間をグリグリ踏み付ける。


「プギャッ!イダイイッ!やっ!止めて!マジでイダイからッ!!!」

 こんなご褒美、僕チンは要求してへんし注文してませんって!ぼっ僕チンの大事な息子がああああッ!!!


余りの痛さに元居た世界の口癖に戻ってしまったようだ。


〔貴様のような輩にはオークの雌がお似合いじゃ!〕

 グリグリ


 プギィイイイイイイッ!普段温厚な僕チンでも怒りMAXっす!こんな足、僕チンの力で退かしますよ!

 アレレ?僕チンの息子を踏み付ける足が全く動かないですやん!?

「ブヒィイイイイッ!!!」

 マジすか?竜の卵を喰べたハズやのに、効果が無いですやん!?っと言うか喰べる喰べない関係なしに姉さんの力が強すぎますやん!?


〔まだ気付かぬか?貴様が喰べた竜の卵は偽りの卵じゃ!〕ケラケラ

「なんですとーッ!」


 地竜から真実を知らされたユーゴは驚きの後、ゾクッと戦慄が走った。

 ユーゴの股間をグリグリ踏み付けていた地竜の凄まじい殺気を帯びた笑みに……


 ”プチッ!!!”

「プギャああああああああああああああああああああああああああああッ!?」



 ユーゴと謎の女性の戦闘を傍観していた全ての男性陣は股間を押さえ得も言えぬ顔をしていたという……

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