勇者討伐!?
アスラと精霊ノームの手により既に竜の卵が奪還された事など露知らず闇商と勇者達は……
「親分さん、金庫から竜の卵出してもらえまっか?」
「ユーゴさん、それは構わねーが本当に闘技場へ持って行くのか?」
「その方が安心でっしゃろ?ドロボーに入られて持ってかれて無くなってもーたらシャレにならへんし」
「ブーゴ!持って行くのは構へんけど落として割るなや」
「ホンマやでブーゴ鈍臭いからな」
「ユーゴさん、取り敢えず この籠に入れて運んでくだせぇ後コレで覆い隠してもらえねぇか?」
こんな物騒なモノ 素手で運ばれちゃ目立ってしょうがない。
「親分おおきに。タカシさんタクさん大丈夫ですって、ついでに王さんと交渉して姫さんと交換してもらいますから」
「お前なぁ〜姫さん言ーても、まだ14.5のガキちゃうんかい!」
「ホンマやで日本やと普通に犯罪やからなぁ」
「大丈夫っす!ココ日本ちゃいますから。この世界では、やりたい放題ですわ!」
ホンマこの世界に召喚されて感謝っすわ。タカシさんとタクさんも好き放題やってるクセにホンマうっさい!
「ホンマ好っきやの〜それでアレやろ?日本に居った時みたいに またしょーもない女に騙されて金だけ請求されるんやろ?」
「ホンマやで懲りんやっちゃ」
「ちょ!それは禁句ですから!」
「また詐欺に遭うぞ?ホンであの時なんぼ請求されたんや?」
「10万っす。もうその話はいいじゃないすか」
「ほんまアッホやの〜ホンで、その女に診断書見せても〜たんか?」
「いや見てないっす」
「普通に詐欺におーたんやな」アッホやの〜
「エエ社会勉強代なって良かったやん」
ほんまこの二人に僕の黒歴史を話すんやなかった……
「でもアレッしょタカシさん」
「なんやブーゴ?」
「闘技大会終わってからダミアン攻め落としますやん?ホンでその後にヴァルトリアに攻めて姫さん攫うんでしょ?」
「そうやぁ、なんか文句あるんか?」
「僕と一緒ですやん」
「うっさいんじゃボケ!!お前と一緒にすな!!」
「でもアレやでサッサと攫わんと もう一人の姫さん見たいに他所の国へ嫁に行きよるからな、なぁタカシ」
「そーゆー事やで。大体ブーのせいでヴァルトリア攻めるの遅れたんやぞ!」
責任とれ!
「そやでブーゴが、しょーもない女攫ってくるから遅れたんやで」
「イヤイヤ二人共メッサ喜んでたじゃないっすか〜自分好みのドストライクやって言ーて」
二人共メッサ喜んでたのに何それ?
「何言ーてんねん!お前のお陰で病気感染ったんやぞ!治るのメッサ時間掛かるし」
「日本に居った時も病気なった事なかったのに初めてや」
この世界には専門の病院も無いし参ったするわ〜。
「そないなコト言ーても知りませんやん!まさか病気持ちやと思いませんやん。もう治ったしいいですやん」
ホンマひつこいわ〜この二人!我のコトは直ぐに棚に上げるクセに……僕のやるコトに文句ばっか!
「でもアレやろ?ダミアン言ーたら一度ヴァルトリアにワイバーン騎兵で攻めて撃沈したんやろ?」
「それ僕も聞きましたよ。何でも突如魔族が現れて暴れまくったとか。戦争好きな国やからどっかで魔族の反感でも買ったんちゃいますかね?」
「そりゃダミアンからしたら災難やの〜でもそのお陰でダミアン攻めやすーなって俺らには超ラッキーちゃう?」
どーせ どっかのアホが魔族にちょっかいだしんやろな。アホや
「ホンマやな」
「タカシさんタクさんヴァルトリア攻める時、ダミアン潰した魔族現れてますかね?」
「居らんやろ〜?もし居ったかて魔族の一匹や二匹現れても俺らには関係ないやろ?なんせ俺ら勇者やから」
「そやな、流石に魔王が現れたら考えるけど唯の魔族なら大丈夫やろ。魔王もそこまで暇やないやろうし」
「そーっすね問題無いっしょ。なんせ僕ら勇者やから無敵っすよね」
「そー言ー事やで」
「ほんでブーゴ、今日の試合は何時からやねん?」
「僕の試合は午後からっすわ。それまで観戦っすね。僕の試合が始まるまで食って飲んで観戦楽しみましょ」
「なんや昼からかいな」
「しゃーない、付きお〜たるわ」
「あざーす!」
相変わらず訳の解んねー会話しやがって……しかもコイツらダミアン攻めるとかヴァルトリア攻めるとか……頭おかしすぎる。
イヤそれよりコイツらマジで王と交渉する気か?それよりも竜が襲って来ないかが心配だ……魔道金庫の中だと 粗方なモノは遮断出来るが卵が表に出たら……最悪の場合 竜はクズ勇者に押し付けて逃走を図ろう。
◇ ◇ ◇
闘技場
「現在勇者一行が闘技場へ入るのを確認取れました!」
「ヨシ!手筈通り全ての門を封鎖しろ!」
「ハッ!」
「決して勇者達に気づかられぬよう閉門するのだ!」
「了解しました!」
「他の者は闘技場を囲う様 周辺に待機!」
「ハッ!」
闘技場では獣国の兵士達が一般客を装い既に観客席全てに紛れていた。
全て昨夜のうちに獣王の指示の元 準備が進められており勇者達以外の者達には本日の闘技大会は順延している事は既に伝達されている。
本戦に参加している出場者に関しては本人が希望すれば勇者討伐に参加出来るようだ。
報酬として勇者一人の首に対し闘技大会優勝賞金額の何と!10倍の金額が付いた!
そして 殆どの大会出場者が勇者討伐の為参加する事に。
通常世界を救う象徴である勇者討伐など考えられぬ事の様に聞こえるが、この勇者達の素行の悪さは既に各国にまで拡がっており、自ずと勇者討伐に参加する者が増えたという。
そして獣国内に存在する冒険者ギルドにも昨夜の内に通達され勇者討伐の依頼が発注されていた。
◇ ◇ ◇
「なぁタカシ昨日までと何か闘技場の雰囲気違わへん?」
「そやな、何かちゃうなぁ……えらいシーンとしとるしな……」
「そうすか?今日は準決が行われるから皆んな静かに待ってるんと ちゃいます?」
「だとエエねんけどな……」
俺らの周りだけ観客が居てへん……なんかあるかもしれへんな……
勇者達と遠く離れた観客席では
「オウガの大将、奴らが勇者でやんす」
「アー、あの人族三人だな」
「そして その周りに居る獣人の奴らが例の五年前に起きた事件の犯人でやんす!アイツら表向き普通の商人のフリをして裏では悪どい闇商人らしーっスね」
「奴らが竜の卵を持ち込んだが為に!」ギリギリ
「しかしエーナの姐御も良くそんな情報を俺たちに流してくれましたね」
「元同僚としてオレに配慮してくれたんだろう」
「それとエーナの姐御の伝言では、勇者は殺しても構わないらしーんスけど、獣人の奴らは全て生け捕りらしーっスよ」
「アー解っている。生きたまま罪を償わすのだろうな」
「大将、どっちを狙いやス?」
「オレは勇者をヤル!お前たち六人は闇商を生け捕りとして狙え!決して油断はスルな!勇者が近付けば直ぐに離脱シロ!無茶は絶対スルな!死ぬコトは許さん!」
「「「「「「ヘイ!」」」」」」
「そー言えばオウガの大将、アシュラのあんちゃん見かけませんね?」
「フッ奴のコトだ、何処かで勇者の首でも狙っているんだろう」
「そーっスね、アシュラのあんちゃんメチャ強いっスからね」
「アスラ君に勇者と関わるな〜って言われたけど大丈夫かな〜?どうポアン?」
「勇者と離れて攻撃!」
「そ〜よね〜接近戦は私の管轄外だもんね〜。最後に勇者が弱った所でポアンお願いね〜?」
「あたいに任せる!討伐報酬は頂く!」
「でもアスラ君の姿 見ないわね〜?」
キョロキョロ
「アスラのコト!絶対来る!」
「そ〜よね〜アスラ君は絶対来るよね〜」
そ〜よね〜アスラ君本人は全く気付いていないけど……彼の行動は伝説の賢者そのものだもんね〜私達が窮地に陥った時……必ず来てくれるわ〜。
「王よ!全ての準備が整いました!」
「ウム。レオンすまんな、勇者との対戦 楽しみにしていただろうに」ニヤ
「イエ全く!一人を殺るのから三人を殺るのに変わっただけです!」ニヤリ
「ウム。決して侮るで無いゾ!誰一人死なせても成らぬ!」
「ハッ!充分理解して居ります」
「それならば良い」
静まり返る闘技場に拡声魔道具を使い獣王がアナウンスを流す。
〔〔皆の者よく聞くのジャ!!!既に周知している者も居るだろうが、五年前に起きた悲劇がアル手の者により再び起きようとしてオル!〕〕
ザワ ザワ ザワ ザワ
何だとぉ!?五年前の仕業が俺たちだとバレたのかぁ!?
ま、まさかクズ勇者が情報を漏らした?いやコイツらも動揺している……クソッ誰が情報を漏らした!?こんな所で捕まってたまるか!?
〔〔皆の者!アノ悲劇を繰り返しては成らぬ!!!直ちに火種を殲滅せよ!〕〕
ウオオオオオオオオオオオオオオ!!!
遂に勇者討伐と言う開戦の火蓋は切って落とされた!!!
「ウソやろ?クソッ!タク!ブーゴ!迎え撃つで!」
「オッケータカシ!」
「ちょ!マジっすか?僕卵持ってるんすけど!」
「そんなモンほかしてまえっ!」
「あかんスあかんス!持ったまま戦います!最終切り札にします!」
「ほなそないせー!」
ある者は勇者へ、そしてある者は闇商へと狙いを定め闘技場は戦場へと変わったのであった!!!
◇ ◇ ◇
その頃アスラは……
「なぁノームさん、まだ地竜のトコには着かないのか?」
スゲー眠いんですけど
『もうすぐじゃ』
『あと少しじゃ』
『もうちょっとで着くのじゃ』
「もう少しで着くのか……」
結構な時間、移動してるけど今何時だ?もう朝と違うのか?
今度ちゃんと正確な時間をスマホにセットし直しておこう。それとアレだなアルンさんに頼んで予備に時計を購入しとかないとな。
こっちの世界の時計ってどんなのあるんだろう?時計塔とかは見たことあるけど、そう言えばマスターの宿にはデカイ置き型の時計が置いてあったな……流石に腕時計とか小さいタイプの時計は無いだろうな?やっぱアレかな小さいタイプは懐中時計とかかな?
『どうしたんじゃ人間アスラ?』
『人間アスラ、疲れたのか?』
『既に陽も昇っておる頃合い、疲れておるんじゃろう。人間はひ弱じゃからな』
「そうかもう朝か……」
人間は、ひ弱って!ちょっとショック!しかし精霊ノーム、ジジーのクセに元気だなぁ俺も鍛え直そうかな。
『よし!最後の休憩じゃ!』
『人間アスラ!休憩じゃ!』
『人間アスラ!コーシー!』
「ハイハイ」
結局自分達がコーシー飲みたいんじゃ無いのか?
まぁいいや。俺は残り少ないルチハの携帯食で朝メシだ!
ちっこいオッさんにコーシーを淹れ俺はバックから携帯食を取り出し食べる……ん〜ちっこいオッさん達の視線を凄く感じるんですが……でも無視無視!ん〜ルチハの携帯食うまーい!
『人間アスラ!』
『ワシらの分は?』
『ワシらの分が無いぞ!何故一人で食べておる!』
「……」
基本食事はしねーんじゃないのかよ!無視してたらワイワイ騒ぎ出すし……仕方ない。
「ハイハイ解りました。コレ三人で仲良く食べろよ。残さず食べないと次は、やらんからな」
そう言って貴重な携帯食を一食与えてやった。何処からか取り出したのか能力で作ったのか分からないけど、ちっこいフォークとナイフを器用に使い携帯食を食べ出している。
今の内に俺も携帯食を食べてしまおう。
ちっこいオッさん余っ程 携帯食が美味しかったのか舌鼓を打っている。
フフ ルチハの料理は美味いだろう。
さてと朝メシも食べたし眠気覚しにコーシーでも飲んで地竜に卵を返しに行きますかー!