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特訓と秘策

 そして姫様には獣王様と話した事は黙ったまま、獣国へ来た当初と変わらぬ対応のまま治療をし続けた、それにしても獣人の生命力と言うのか良く分からないけど日に日に良くなって行くのが分かりやすい。


 ルチハとシャルもこんな感じだったっけ?


「あの〜アスラ先生、その後の進展はありませんか?」

「ん〜全く進展無し、当時姫様って子供だったから聞き違いじゃないのか?」

「その様な事は……」

「姫様、心配しなくても大丈夫だからさ!それに俺の治療も今回で完了だ、後は姫様の気持ち次第さ」

「はい……ありがとうございます」


 なんかねー嘘をついてるようで凄く罪悪感があるんですけど……まぁ実際嘘をついて肝心な事を話してないんだけど。


「アスラ先生、今からどちらへ?」

「今日もオウガ達の訓練の相手をしに行くんだ。今日で最終仕上げかな、いよいよ大会も3日後に迫って来た訳だしな」

「アスラ先生!是非オウガに頑張ってと伝えて頂けますか!それと余り無茶だけは、しない様にと……」

「あー大丈夫だ!無茶して怪我しても俺が即 治してやるしな」

「アスラ先生よろしくお願いします」ペコ



 姫様にはワザとらしくオウガの名前を聞いて ” なんだ〜俺オウガとは知り合いなんだ”と上手く誤魔化し話を進めやすくしている。実際知り合いなんだけど。


 そして姫様の治療後に城を外出しオウガ達の訓練の相手をアレから毎日続けている訳だけど……





 ◇ ◇ ◇


「ハァハァ コレ以上はムリダ、少し休憩させてくれハァハァ」

「なんだ〜もうヘバッたのか?情ないなぁ仕方ない休憩するか」


 闘技大会に出場するメンバー全員 順番に1人ずつ対戦形式で訓練しているんだけど全員ヘバッている。


「オマエが異常過ぎるんダ!ハァハァ」

「あんちゃん、どう鍛えたらオレ達 獣人より体力つくんすか?」

「そんなもん己の限界まで只管鍛えるんだ!いや己の限界を超えるんだ!」


「「「「「死ぬわ!!!!!」」」」」



 俺もね〜最初は訓練の相手をするのは凄く乗り気じゃ無かったんだ。

 だって獣人と比べたら身体能力の差が歴然だと思っていたから………。

 でもいざ始めるとコイツら全然体力無いし、いや俺が強くなっているんだろうな……これも駄竜との鍛錬の成果とランバー国でのトレーニングの成果なんだろうね。

 それとヴァルトリアとゲーハーでワイバーンを大量に殲滅したからレベルアップしたのかな?



「しかしアシュラがコレほど強いとは思わなかったゾ?」

「そうか?お前達の鍛え方が足らないのと違うか?」

「ナンだろう?無茶苦茶ハラ立つのだけど反論出来ないオレがイル」

「確かに大将の言うように反論出来やせん」

「俺も」

「アッシも」

「「ウンウン」」


 もしコイツが出場していればオレの優勝も可なり危ういモノダ……アシュラとも本気で闘いたい自分もイル……複雑な心境ダ。


「俺の考えでは己の限界を知り更にその上を目指せば自ずと答えは出ると思うけどな」

「フッ 簡単に言ってくれるゼ」


「それより俺の本当の名前教えたのに何故まだアシュラなんだ?」

「アーそれで慣れてしまったからナ」

「そうでやんすよ、あんちゃん」

「「「「「ウンウン」」」」」


 コイツらには商売をする時の名はアシュラにしていると誤魔化し本当の名前を教えたんだけどアスラもアシュラも一緒だろうと、言われアシュラのままだ。

 まぁどっちでもいいか、ルチハとシャルがいい例だからね。


「で、例の秘策の方は大丈夫なのか?」

「大丈夫ダ!完全獣化までは程遠いが三段階まではイケル!」

「三段階って意識は保っているんだろうな?」

「アー問題ない!二段階では唯の狂人化だからな三段階までイケバ己の意志で動ける」


 この世界の獣人は全部が全部では無いのだけど一部獣化が可能らしい。


 ルチハやシャルも獣化出来るのだろうか?あの二人なら獣化してもメチャ可愛くなりそう……帰ったら聞いてみよう。


 まぁ例に挙げればポアンさんの変身だな、一段階で容姿も変わりより身体能力が向上するとか、魔法で言う身体強化の更に強化版みたいなモノかな?


 二段階目で更に身体能力もアップするが殆どの獣人がバーサクモードになる、つまり狂人化だ自分の意志も理性も無く目の前に居る者全て敵と判断してしまうとか……怖!


 三段階目がそれを自分の意志でコントロールし制御出来るモードのようだ。

 その形態に獣化しても5分〜10分保てるかどうか、そして次に獣化しようとしてもインターバルで30分〜1時間掛かる。

 個人差はあるみたいだけど。


 そして四段階目 つまり最終形態は、獣人最強モード(覚醒)らしいのだが諸刃の剣とか……個人差にもよるが10分〜30分程その形態で戦闘出来るようだが、タイムリミットが来た瞬間、戦闘不能に陥るらしい。


 流石に俺も獣化状態のコイツらと手合わせは遠慮したよ、心の中でもう1人の俺が”闘ってみようぜ!”って言ってたけど止めました!だって怖いじゃん。


「オウガは最終形態まで獣化出来るのか?」

「マダダ、後一歩で到達出来そうだが、アシュラの言うように己の限界を知り更に上を目指せば……」

「まぁ無理して最終形態まで持って行っても その後闘えない状態になってもな、そのうち本当の危機に陥ったら覚醒すると思うぜ」


 その後もビシビシ出場者全員を鍛え上げ、その日で訓練は終了!闘技大会までカラダを休ませるなり好きにしたらいい。

 さて帰ろ。


 一つ気になるのがレオン王子だ。どれほどの実力を兼ね備え居るのかサッパリ分かりません!恐らくオウガと同じように獣化三段階目は行くんだろうね。

 俺としては当たって砕けろ!って、しか言いようが無いんだけどね。



 ”次は大会の日にな!”って言いオウガ達と別れ一人ブラブラと街を歩いていると背後から俺の事を呼ぶ奴がいる……聞き覚えがある声だ……気付かないフリをしておこう……


「ちょっと〜貴方アスラ君でしょ〜何で無視するの〜?」

「アスラ!無視良くない!?」


 この喋り方とこの声は……仕方ない。


「アレ〜?誰かと思えばマリーさんにポアンさんじゃないか〜久しぶり!って何でベスティアに居るの?」

「なんかね〜白々しい話し方ね〜?」

「アスラ!久しぶり!」

「アスラ君こそ どうしてベスティアに居るの〜それよりも今まで何処行ってたのよ〜」

「アスラが行方不明になってから大変だった!」

「じゃあさ、そこの店で茶しながら詳しく話そうか」


 久々に会えたのは嬉しいけど正直面倒だな……まぁ何れ話さないとダメだし……話しておこう。


 二人には一から十まで話すのが面倒だったので駄竜に攫われて必死の思いで帰って来た事だけを話した……信じてくれたかな?


「ふ〜ん……そう言う事なの〜」

「そうそう そう言う事」

「アスラ!ヴァルトリアがワイバーンに襲われた」

「らしいな、丁度その時 俺はゲーハー国でパレードを観ていたからな……」

「ゲーハー国も大変だったんでしょ〜?」

「あー凄かったぜ!行き成りゲーハーにもワイバーンが現れて、でもその時 ”アッシュバーン”て人が現れて皆んなを助けてくれたんだ!パレード以上にスゲー盛り上がっていたぞ」


「エッ!?アッシュバーン?」

「誰それ?」

「ん?知らないのか?」

「アスラ君、その人って〜どんな人?」

「全身赤紫の装備してた人だぜ」

「へ〜アノ人はアッシュバーンって言うの〜」

「ルチハとシャルにも聞いたけどヴァルトリアにも現れてたらしいな、その時 名乗らなかったのか?」

「全然!直ぐどっか行った!」

「そうなんだ……」


 ……サッサと話題を変えたい。


「アスラ君は〜パレードの後どうやってヴァルトリアまで帰って来たの〜?」

「あの騒動の時 ヨハン爺さん達に会って一緒に帰って来たんだ」

「ふ〜ん」

「じゃあさ〜ルチハちゃんとシャルちゃん、マスター達にもちゃんと行方不明の説明はしたの〜?」

「あーさっきもルチハとシャルの名前出しただろ?ちゃんと会って事情は説明したよ」


「アスラ!私達に説明無い!」

「そ〜よ〜私達も〜心配したんだから〜どうして直ぐに知らせてくれなかったの〜」

「それはマリン婆さんに言ってくれ!帰って来て直ぐにコキ使われたんだから」

「え〜マリン婆ちゃんアスラ君が帰って来たの知ってたの〜!?」

「聞いてなかったのか?」

「「まったく!」」


「それより〜どうして〜アスラ君がベスティアに居るの〜?」

「ちょっと二人共耳を近付けて………ヴァルトリア王の依頼でアル人物の治療だ!他言しないように」

 コクコク


「それよりマリーさんとポアンさんも どうしてベスティアへ?後の二人は?」

「私はポアンの付き添いよ〜」

「ボブとバカはヴァルトリア!」

「付き添い?」

「ポアンが闘技大会に出場するから〜付き添い?観光かな〜」

「ポアンさん!出場するの?」

「ウン!去年の優勝者!」

「エッ!?優勝者?王者ってオウガじゃ無いの?」


「アスラ君、ポアンは女性の部の優勝者よ〜オウガって人は〜無差別級の真の王者よ〜」

「なるほど〜階級とか色々あるんだな全然知らなかった」

「アスラ!出ないの?」

「出ません!観る専門です!」

「アスラ君 強そうなのに〜」

「仕方ないさ、今回は仕事で来てるから」



 まぁ仕事じゃなくても出ないけどね。

 この後も久々に会ったと言う事で他愛も無い話をしていたんだけど、結局 駄竜に攫われた後の話も白状させられるハメになってしまった……でもしっかり魔剣の事は伏せたけどネ!


 そうかポアンさんも出場するのかぁ〜

 これは楽しみが一つ増えたぞ!早く闘技大会始まらないかな。





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