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真意

「その様な者は居らん!!!」

「エェッ!!!」


 何だってエッ!リオンヌ(姫様)の悩みとか俺の苦労は一体何だったんだあ!?


「…いや、正確にはリオンヌにも誰にも話て居ないのが正しい……」

「エッ!?つーことは本当は婚約者が居るって事だよな?」

「ウムッ。リオンヌの病の原因の一つがその事にも関係しておるようならアスラには話そう……」


「俺なんかに話しても大丈夫なのか?」

「構わぬ、アスラは5年前の出来事は知っておるか?」

「あー姫様から一応は聞いた。地竜が行き成り獣国を狂った様に襲って来たとか……」


「フム……では話が早い、その時に竜に致命傷を与え退け……この世を去ったのが、ワシの友……腹心の()()()と言う(おとこ)なのだ……」

「そこまでは姫様から聞いた…」

「そのクウガと嘗て奴が生前しておる時に約束をしていたのだ……」


「ん?約束?」

 今回の話と何の関係があるんだ?


「リオンヌが成人する年に奴の息子にリオンヌを嫁がせるとな……」

「エッ?」

 じゃあ 話が早いじゃん!姫様の想い人って確か、そのクウガって奴の息子だよな?一件落着じゃないの?


「じゃあその事を姫様に話せば問題解決じゃないの?そんな事なら悩む必要も無かったのに……」

「それは成らん!」

「へ?」

「友との約束は守る!だが()()()()ではリオンヌはやらぬ!」

「あのさ、その城を出て行ったクウガって奴の息子に何か条件的なモノでも出したのか?」


「ウム!簡単な事よ、リオンヌを護れるだけの漢に成って来いと」

「ふ〜ん、つまり早い話が強くなって帰って来いって事だな」

「その通り、アスラはワシの信念を知っておるか?」

「ん〜普通に聞いたら誤解を招く意味だけど 《力こそ正義》かな?」

「その通りだ!武力で制圧しろでは無い、その力で愛する者達を護り切れと言う意味ジャ」


 分かり難いって!


「で、どんな条件を出したんだ?」

「リオンヌが成人をする年までに闘技大会で三度優勝をして来いと言ったのジャ!」

「エッ?闘技大会で三度優勝して来いって!?そいつって城を出た時いくつだったんだ?」

「リオンヌより5歳上なので当時の年だと15歳と記憶しておる」


「エッ!?」

 ちょっと待てよ15歳から5年間で3度優勝して来いって!どんだけ過酷なんだ?ハードルたけー!それと獣人の国じゃ15が成人の年なんだな……


 アレ?ん?……今年の闘技大会は間近だけど……現王者ってオウガだよな……エッ!?まさか……クウガにオウガ……メチャ名前似てるんですけど!


「獣王様、因みに死んだクウガの息子ってオウガじゃないよな?」

「オウガはクウガの息子ジャ!」


 どひゃああああ!コレまた衝撃な事実!


「じゃあさ、オウガって今 何度優勝してんだ?」

「2度ジャ!今年が試練の年ジャ!奴の気持ちが本物ならリオンヌを奴にやろう」

「その言い方だとオウガも姫様と同じ様に惹かれ合っているのか?」

 やろうって姫様は物じゃないだろ


「そうだな、オウガはリオンヌが姫と言う事に一線引いていたが奴の様子を見れば分かる。ましてクウガとワシの約束をオウガには話ておるからな、たかが外れて心の整理もついておる様ジャ」


「ですよね〜」

 じゃないと闘技大会で王者に成らないもんな。


「オウガがリオンヌを迎えに来るのは時間の問題ジャ……だが、そこまで闘技大会は生温くはない」

「正直オウガの実力がどれ程のモノか知らないけど大丈夫なんじゃないか?」

「フフ…それは例年までの話ジャ!今年は息子レオンにも出場してもらう」


「エッ!?」

 どういう事?


「これがオウガにリオンヌをやる最後の試練ジャ!見事レオンを倒し優勝すれば誰もが認める最強の王者ジャ!」

「因みにレオン王子って強いの?」

「フフ強い!オウガが闘技大会へ出場する前の年で、僅か16歳で優勝し最年少記録を叩き出しその場で王者の証を返上しておる。そして未だ一度もオウガはレオンには勝った事がない!」


「マジかよ〜オウガ大丈夫か?」

 あの兄貴って見た目以上に強いんだな……オウガに勝機はあるのか?


「しかし何で獣王様は二人の恋路を邪魔する様な事をするんだ?二人を祝福してないのか?」

「邪魔などしておらぬ!さっきも言ったがコレは試練ジャ!ワシは二度と大切な者達を失いたく無いのだ……奴には強く成ってリオンヌを護り……護るだけでは駄目ジャ 自分も死なない強さを身に付けて欲しいのジャ」


 なるほどね、嘗ての友を失った獣王様だから凄く説得力ある言葉だね。


「アスラ、済まぬがリオンヌには、この事を伏せてくれぬか」

「あー分かった。逆にオウガには知らせてもいいのか?」

「それは構わぬが余り公にはしないで欲しい」

「俺は、そこまで口は軽くないさ!じゃあ用も済んだし俺は行くな」


 そう言って俺は獣王様と別れた。そして次に向うはオウガの所。












「レオン、そこで隠れて聞いておる事は分かっておる」

「流石父上、バレていましたか……」

「先程アスラに話した内容をどう理解する?」

「フフ…私もリオンヌとオウガには幸せに成ってもらいたい。しかしオウガがリオンヌを護れるだけの漢に成っているか試さないとダメですからね」

「フフでは任したぞ」



 取り敢えず城の人に夕飯は外で食べて来ると伝え外出許可を貰い、例のオウガ達が集まる食事処へ向かった。


 現地に着けば既に陽も落ち夕飯時!丁度良いのだけど、ここって夜は酒場も営業するのね……酔っ払いに絡まれません様に。

 そして店の中へ入ると既にオウガ達が居て食事の真っ最中!俺も軽くオウガ達に挨拶し一緒に食事を摂る事に。


「オウガ、飯の後に二人だけで話があるけどいいか?」

「話し?オレは構わないが……闘技大会にでも出場スルのか?」

「イヤしないって!」


 食事後二人だけ席を離れ隅っこの席へ、他のメンバーには申し訳ないのだけど二人だけけで話しがしたいと言う事で席を外してもらった。


 まず始めに俺が何故ベスティア獣国へ来たのか、そしてコレまでの経緯を順を追って話をした。

 始め俺が医術師として国に招かれた事に驚き 次に誰の治療に来たのかも告げた時 更に驚き心配をしていた。


 変に心配を掛けさすのも悪いので治療も順調で日に日に良くなっている事もしっかり伝え、本当は俺が伝えるモノじゃないんだけど今の姫様の気持ちも伝えた。


 そしてココからが本番、今日の獣王様との会話を話した時、先程まで静かに聞いていたオウガの目がレオンの時の様に凄くギラ付いているんですが……怖い!そんな目で俺を睨まないで正直怖いから!


 しかしその後ニヤっと笑うように ”望むところだと” 小声で呟いているのが聞こえた。


 だけど最後に話し終えた後、オウガに姫様の治療と姫様の気持ちを伝えた事に凄く感謝されたよ。


 俺の話しが終えた所で急にオウガが語り出した。


 何でも小さい頃から一緒に過ごす日々があったのだけど、それは君主と家臣の立場的な関係 それ以上の感情を一国の姫に対して持ってはいけないし見せてはダメと……


 その時に姫様の方もオウガに対して兄の様に慕うが恋愛対象として見ていないのはオウガ自身にも分かっていたとか……


 まぁ当時は姫様も子供だからな、ませガキじゃなかったんだね。


 そして5年前の事件が起こり目の前で自分の親父が死ぬ直面に居合わせる……そして最後に言い残した言葉が『自分の大切な者を最後まで護り切れ』と……


 親父の死は辛かった様だが最後まで諦めず一緒に戦った仲間達を護り切り死んだ姿は辛さよりも誇る方が上だった様だ。

 動揺こそあったが、親父の死に対して落胆は無かったのだとか……心が強いな。


 だがしかし親父の死を犠牲にし地竜を退けたとは言え全くの被害が無かった訳ではない。

 怪我人とかを収容し治療をする施設で当時10歳の少女が汗まみれ泥まみれに成りながら怪我人達を看護する姿を見て今まで抑えていた感情が抑え切れなく成った様だ。

(姫様まで率先して看護する位だから当時相当な被害だったのかな?)


 その少女とは姫様の事だからね、傷付いた者達に分け隔てなく看護する姿が余程 オウガには眩しかったんだろうな。


 そして獣王様からオウガの親父との約束を聞き 更に姫様に相応しい漢に成るべく闘志が燃えたのだと言う。

 その時 恐らく姫様は二人の会話を聞いて勘違いしたんだろうな、獣王様が誰と会話してたか知らないって言ってたから……


 だけど城を出て冷静に考え見れば姫様の気持ちが分からないままだと言う事に気付く、それでもヤル事は変わらない……三度闘技大会で王者に成る事は。



 そこでさっきの俺の話しだ!姫様の気持ちが俺経由でも知れた事に凄く感謝しているとか。



「アシュラ、もちろんオレが優勝するのに最後まで協力してくれるのだろう?」

「協力はするけどズルは無しな」

「もちろんだ、実力で勝ち取る!」

「で、何を協力すればいいんだ?」

「もちろんオレの訓練の相手だ!」

「エエ!!!」



 ですよね〜流れ的に そうですよね〜

 まして他の出場者の実力は知らんけど恐らくオウガの優勝を阻む者はレオンだろうから特訓してもっと力をつけないとな……



 仕方ない首を突っ込んだ以上オウガに優勝してもらわないとな!

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