病の原因
今話は少し短めです。
「……………」
「そんな黙っていても仕様がないんじゃないの?反論しないと言う事は正解ってことかな?」
「……アスラ先生は、お若いのに噂通りの名医ですね……」
やっと口を開いたか…
「姫様、一つ訂正していいかな?」
「なんでしょう?アスラ先生」
「若いのは認めるけど俺 医術師じゃないから。全く医術に関して知識ないし」
「ではアノ噂は?ヴァルトリアの王女を治療し完治させた噂は嘘なのですか?」
「それは本当の事。ただ医術師じゃないってだけ、なぁ姫様 丁度今、俺たち2人だけだし悩みがあるなら聞いてやるからさぁー胸の奥に抱えているモノブチまけてみたら?」
「……それは……アスラ先生が如何に優れた名医でも言えません!」
「だから名医じゃないって」
「…………」
手強いなぁ……少しだけ覗くか…
「仕様がない」
「………?」
「!!!!?ちょっ!姫様〜それは無いんじゃない!」
「エッ!?」
「姫様の拒食症の原因って……マジか!」
「エッエッ!?」
「唯の恋煩いじゃん!」
「エエエエエエエエッ!」
何故それを!?誰にも打ち明けた事などないのに!!!
”ドンドンッ!”「リオンヌ様!どうかニャされましたか!?」
「なんでもないの!部屋には入らないで!」
「分かりました!ニャにかあれば呼んで下さいニャ!」
「心配して損した!アホらし俺帰るわ!じゃあな」
ガシッ「ちょっとお待ちになって!アスラ先生!!!」
しっかり掴まれたんですけど、しかもガリガリの割に力が強い!?
「あのね姫様、俺 人の恋話とか全く興味ないの!解る?だから姫様が恋に悩んで拒食症になったとか俺には関係ない事だから」
「まっ待って下さい!アスラ先生!」
「あのね、引き止めてもダメ!さっきも言ったように人の恋話なんか全く興味ないから、それに姫様も言ってただろ?身体が治らなくても何ら問題も無いって!」
「そ、それは……」
「心配しなくても、姫様が恋煩いで拒食症になってるなんて誰にも言わないからさ、安心して俺を見送ってくれ」
「こうなっては仕方ありません!私の秘密をどのように お調べになったのかは問いません。ですがアスラ先生!私の悩みを聞いて下さい!」
あーあ お願いされたら仕方ないけど、ハッキリ言って面倒だなぁ……仕様がない、折角時間を掛けてここまで来たんだから悩みくらい聞いてやるか。
「一つ確認だけど ”闘技大会”と”誕生日”も悩みの一つだよね」
「はい……その通りです。良くご存じですね?」
「さっきエーナさんが喋っていた時、反応してただろ?」
「そ、そうですね…」
「じゃあ邪魔が入らない内に聞かせてもらおうか」
「はい、分かりました。私の悩みは―――」
ハァ〜俺は恋の悩み相談室じゃないんだけどなぁ〜逆に俺の方が悩みを聞いて欲しいよ。
ヴァルトリアに帰ってからユーリアの両親に話をしなくちゃダメなのに……ハァ〜なんて切り出そう。
取り敢えず、こっちの姫様の悩みを聞いて……聞くのはいいけど解決出来るかな?まぁ無理だろうな、今回は聞くだけのカウンセリングで。
「なるほどね、それで顔も名前すら知らない許婚?婚約者?と結婚させられると……まぁ貴族とか王族なら仕方ないんじゃないの?(ハイ終了)」
ガ―――ン「アスラ先生!私の悩みを聞いてくれるのでは……」
「ん?今聞いたよ?その解決方法は無いな、諦めて婚約者を好きになるしか無いでしょ!!!」
「アスラせんせー!もっと真剣に聞いて相談に乗って下さい!」
「はいはい」
なんでも姫様リオンヌが好きになった片思いの相手が毎年開催される闘技大会の出場者とか、その好きになった相手は毎年出場していて まだ想いを告げておらず毎年遠くから見ているんだと。
まぁそりゃそうだわな一国の姫が軽はずみに そんな事出来る訳ないしな。
そして顔も知らない名前すら知らない婚約者と成人を迎えたら結婚しないといけないとか……ハァ〜なんかB級的な物語の主人公とヒロインの展開だね。
その婚約者の事は子供の頃偶々 獣王様とそいつの会話を立ち聞きしてしまい知ったらしい、ただその時に誰と会話していたのかは確認していなかったとか。
そして月日は流れ、その事は子供の頃の記憶と言う事もあって、すっかり忘れていた。
そして毎年開催される闘技大会に王族の貴賓席で観戦していた事に、その想いを寄せる者を見た瞬間 恋に落ちたとか…。そいつは毎年出場していて毎年開催される闘技大会が楽しみになったんだと。
昨年の闘技大会を観戦している時に誰かが ”王女様も来年は成人の年ですね” の一言で今まですっかり忘れていた記憶が急に蘇ったらしい……。
一国の王女様としては、そんな事誰にも相談出来ず 顔も名前も知らない婚約者に会った時 嫌われるよう拒食になり病人のフリをしたって訳か。
「ふ〜ん話は一応聞いたけど…なぁ姫様、それじゃ何の解決にもなってないと思うけど」
「そんな事は分かっております。ですが私には……」
「で、その顔も名前も知らない婚約者の事は獣王様に聞いたのか?」
「獣王様!?……お父様の事ですね。いえ聞くのが怖くて一度も確認しておりません」
「なぁさっきも言ったが それじゃ解決出来ないと思うぜ?余計悪化するんじゃないの?今の姿を片思いの奴に見られた事を考えてないの?」
「あ……」
「その顔は全く考えてないな、先走りすぎたよ姫様」
「では私はどうしたら……」
「仕様が無い、話を聞いた以上 解決出来るかどうか分からないけど力になってやるよ」
さてと どうしたらものかね……力になると言ったものの どう力になろうか……色々調べ上げる必要もありそうだね、最悪駆け落ちの手助けを……いやそれはダメか姫様が好きになった相手が姫様の事を好きだとは限らないし逆に迷惑だろうしな。
神様〜何事も無いように お願いしたのに俺に試練を与えるとは!!!
ホント勘弁して下さいよ〜。