神様頼みますよ〜
俺は今ベスティア獣国の使者ゲパルドさんに同行し馬車の中にいる。
昨夜あのまま雰囲気と勢いのまま……ついにユーリアと一夜を過ごしてしまったああああ…
朝目覚めた時ユーリアも目覚めていて少し恥じらう顔が目に焼き付いて……やってしまったものは仕方が無い。
ベスティア獣国での要件が終わり次第ヴァルトリアに帰って王様と王妃様に しっかりユーリアの事を伝えよう。
大丈夫だよね?王様達の意味深な引き留め方とか王妃様のアノ言葉の意味……俺の勘違いじゃ無いよね?でなければ夜に一国の王女様の部屋なんかに俺なんか入れないよな?
その事はヴァルトリアに帰った時に考えよう。
今の所問題も無く移動をしている訳なんだが同行しているメンバーが御者が二人、ラクーンさんとボアさん。
この二人は御者と護衛を兼ねている。
そして馬車の両脇をガードする様に馬に騎乗しているのがエーナさん、ビィーナさん、馬車の後方に馬を走らせているのがシィーナさん。
この3人は馬車をガードしながら周りの警戒を行っている、恐らく身なりからして冒険者では無く騎士だと思う。
そして馬車内に乗っているのがゲパルドさんと俺だ。
御者台に乗っている二人は男の獣人なんだけど馬に乗って護衛しているのが女性の獣人……護衛と言うからには相当強いんだろうな。
ヴァルトリアを出発し数週間が過ぎ、今現段階では何事も無く順調に進んでいた。
変わった事は今の所ないのだけど護衛の女性獣人が病気の姫様直属の親衛隊とか……姫様の護衛を離れて大丈夫なのか?と思ったけど、それだけ心配して医術師を無事に連れて帰りたいのだろうと思い直した。
しかもこの3人姉妹らしい……確かに最初名前を聞いた時には そんな感じはしたんだけどね……。
もう一つ凄い発見が!いや凄くはないけど、偶に三姉妹と話をする時 語尾に”ニャ”が付いている!そう三姉妹は猫人族なのだ!
ヴァルトリアの冒険者ギルドで受付嬢のミーケさんも猫人族だけど語尾に”ニャ”は付いていなかった。
初めてミーケさんと会話をした時 漫画やアニメのように期待はしたけど、普通の会話で…所詮漫画やアニメは作り物の世界と納得していたんだよなぁ。
だけど三姉妹から”ニャ”が出た時 思わず顔がニヤけそうだったのを必死に堪えたよ。
なんて事を思い出していたら馬車がゆっくり速度を落とし…そして止まった!?
「どうかしましたか?」
「ゲパルド殿、恐らく前方に賊が潜んでおりますニャ」
「ボアとラクーンは、このまま待機しゲパルド殿とアスラ殿をお護りするよう…」
「「へい了解!」」
「シィーニャは私達と一緒に賊を狩るニャ」
「任せて!」
「皆さん、気をつけて!」
盗賊か…凄いな俺には全然気配すら感じられず気づかなかった…ここは出しゃばらず三姉妹のお手並みでも拝見しようかな。
馬から降りた三姉妹はダッシュで賊が潜んでいる辺りに駆け出して行く!
馬車から賊がいる辺りにまでザッと1㎞位あるだろうか…俺は千里眼を発動しその様子を伺う。
三姉妹とも猫科の獣人なので動きが機敏だな速い!賊の数は15人前後くらいか……。
それにしても容赦無く賊を斬り殺している……うわぁ〜人が殺されるのをモロに見るのって、ひくわ〜マジひくわ〜…相手が賊だからか人族だからか知らないがホント容赦無いね……千里眼で見ているから余計良く見えるグロいわ〜。
俺もこの世界に来てからは覚悟は決めたけど流石に目の前で人が死んで行くのは、引くな…ワイバーン騎兵戦の時もなるべく騎兵では無くワイバーンを狙い攻撃していたからな。
だけどそんな甘い考えは捨てた方がいいかもしれない……その甘い考えで大切なモノを失い後悔するなら……
「終わったようだな」
「エッ!?アスラ殿には見えるのですか?」
「なんとなくね、俺視力いいから」
あぶね!まぁ誤魔化せれるか。
三姉妹が帰って来ました。流石に賊15人に対して3人で対応だから無傷では無理があったかな、まぁ切り傷擦り傷程度で済んだ訳だけど。
「3人共お疲れさん!ちょっとコッチ来て」
「アスラ殿どうかしましたか?」
ゾロゾロ
「癒しの女神様〜この者達を癒したまえ〜」
「おっ!傷が治ったニャ」
「本当だ!傷が治ってる…」
「アスラ殿、治療ありがとう」
「アスラ殿、3人の治療ありがとうございます」
「気にする事はないさ!これが俺の役目だろ?それで始末した奴らは?」
「盗賊ニャ!私達の姿が見えるなり武器を抜いていたニャ!」
「しかし容赦なく斬り捨てたな」
「あんな奴等野放しにしてら被害が増えるだけニャ!」
「なるほどね、それもそうだな」
そうだな変に情けをかけ見逃しても、どうせ違う者を襲いかねかいしな。
しかしエーナさんはハッキリ語尾に”ニャ”がつくね、ビィーナさんからは微かに聞こえる程度、シィーナさんは普通に会話してるし。
盗賊を倒した地点から暫く離れ休憩をする、急ぎだけど無理をすれば どこかで代償は返ってくるからね、気休め程度だけど馬たちにもヒーリングをし癒してやる。
馬たちにヒーリングをしてやると喜んでる風に見える、何故か俺に対して人懐っこいようにも感じる……やっぱり俺って動物に好かれやすいのかな?
それからも順調とは言わないけれど(魔獣や盗賊が出たりしたからね)それでもなんとかベスティア獣国の国境付近まで辿り着く事が出来た。
何せ三姉妹が俺の回復を当てにして魔獣や賊が出ても怯む事なく暴れ回ったからね。
馬たちにも随時ヒーリングを掛け癒したお陰で馬車での移動だけど、なんと2カ月でここまで進めたよ。
そして国境も無事に通過する事が出来、漸く獣人の国 ベスティア獣国に到着しましたぁ!
ゲパルドさん達も一緒なので入国も問題無く出来 後は城へと向かうばかり、獣都の街並みを馬車で通過しながら眺めているけどヴァルトリアとは違って、こちらは獣人ばかりだね。当たり前だけど。
人もいる事はいるけど、やはり獣人の数が多い!それに冒険者らしいエルフ達もチラホラと見かける。
人の住む国とは違って、ここではエルフも大丈夫な国なのか?
機会があれば会って話を聞いてみたいものだね。
そうこうしてる内にベスティア獣国の城へ到着しました!何事も無く問題が解決すれば良いのだけど……いらんトラブルにどうか巻き込まれませんように、お願いしますよ神様!
そう言えば この世界において神様の存在自体を信仰しているのだろうか?まぁ俺は神様の存在を信じているからな。
ん〜信仰しているかどうか分からないけど……以前ミリーネさんとかクレアさんとかが ”神”と言う名を呟いていた筈。宗教国家とかもあったりして……ヴァルトリアに帰った時にでも爺さんに聞いてみるか。忘れなかったら。
「アスラ殿、暫くこの部屋でお待ち下さい。謁見の準備が整い次第お呼びしますので」
「あー分かった!」
考え事をしてたら もう謁見かよ!俺ってこの世界に来て、その国の偉いさんと謁見ばかりしてるような……
何事も無く問題が解決しますように!本当に頼みますよ神様!