王妃様の威圧
前話でベスティア王国からベスティア獣国へ変更しました。
王都から獣都へ変更しました。
翌日
早朝いつもより早く起き我が家の裏庭でシャルにトンファーの扱い方を伝授している。
流石に朝早くからカンコンと音を鳴らしての稽古は、ご近所に迷惑だからね、スローで型を見せ捌き方とか攻撃の仕方とかを教えた。
メリケンサックに関しては使用した反動がモロに手首から肩にかけて返って来るのでその辺も鍛える事を告げた。
普通シャルくらいの小さい女の子には戦闘の稽古なんて辛い筈なんだけどなぁ〜シャルはニコニコ笑いながら俺の教えを乞うている。
俺に教わるのが好きなのか何か目標でも有るのか……全く不思議な妹だ。
今度ランバー国へ行くことがあればシャル用に安全靴擬きのブーツでも作ってもらおうかな。
シャルに一通りの型を教え俺がいない間のトレーニングメニューも教えた頃、ルチハから朝食ができたと お呼びがかかった。
終始大人しく俺とシャルの稽古を見ていたヴォルフだがルチハの声にいの一番に反応して駆けてった……食いしん坊だなぁ。
朝食を食べ終えた後 次はルチハの番だ。ルチハには喫茶店で出すメニューの一つを伝授する。
ルチハにホットケーキは作れるか聞いてみたところ、ホットケーキって何?って言う返事が返って来た……なるほど……次にパンケーキならどうだと聞いたところ、それは作れるそうだ。
疑問が一つ解消したぜ!恐らく俺の知るホットケーキとはパンケーキのことなんだろう多分。
取り敢えず一枚作ってもらい試食…甘くない。
パンケーキ自体は本来甘くないのかも?次に生クリームを作ってもらう。運がイイ事に、この世界にも生クリームの元らしいものが存在していて生クリームは作れるようだ。
そして生クリームが完成したら、さっきのパンケーキを作る要領で薄く丸く両面焼いてもらい、それに生クリームを塗るように乗せ 季節のフルーツ(甘くて柔らかいモノ)を乗せ焼いた生地を折りたためば完成!
「アスラお兄ちゃんコレは?」
「クレープだ」
「クレープ?」
「食べてみ!」
ルチハが食べシャルも食べる!二人共満面な笑顔だ。
「ウォンウォン」
「ルチハ、さっきのパンケーキをヴォルフに焼いてくれ」
「うん分かった」
焼きあがったパンケーキに生クリームをタップリ乗せ季節のフルーツも乗せ完成!それをヴォルフに与えたらメチャクチャ喜んで食べてるよ。
「ルチハ、このメニューを伝授するから後は自分で改良するなり好きなようにしてくれ!」
「うん分かった!ありがとうアスラお兄ちゃん」
「因みにクレープは甘いモノじゃなく違うモノでもいいぞ、まぁそれもルチハの勉強の為色々試すのも有りかな?」
「うん!」
後は……この世界にバニラビーンズがあればカスタードクリームも作れそうなんだけどな……俺が小さい頃 母さんが昔シュークリーム(クリームパフ)をオヤツに作ってくれたことがあったのを思い出したけど……あの時は嬉しさと楽しさで、母さんが作るのを一から見ていたからな…。
バニラビーンズ自体存在しないのか…または別の名前かも知れない…今度マスターかケーキやお菓子を作る料理人にでも聞いて見よう。
次に王都へ帰って来る頃までにはシュー生地の作り方を思い出さないと…子供の頃の記憶だから曖昧なんだよな、でも思い出したらシュークリームも食べれる!生クリーム入りやカスタード!ダブルクリームもイイね〜。
少し喫茶店の開店時間が遅れたけど、仕方ないよね今回は。
そしてカウンター越しの隅っこでコーシーを飲んでいたらマリン婆さんが来店して来たよ。一応事情があってベスティア獣国へ行く事になった事を話し、帰って来たら妊婦さんの様子を見る約束をした。
この後少しして20食限定の昼食を食べた後お城へ向かった。お城へ着きゲパルドさんのトコへ行きベスティア獣国へ一緒に行く事を伝えた。
出発は明日の早朝だ!そう言えば獣人の国といったらアイツ、ゲーハー国で腕相撲をしたオウガの居る国だな。
「ゲパルドさん」
「なんでしょうかアスラ殿?」
「ゲパルドさんはオウガって奴の事 知ってる?」
「アスラ殿はオウガの事をご存知なんですか?」
「前に一度ゲーハー国で知り合って獣人の国に来るような事があれば案内するとか言っていたな……」
「ほう…あのオウガが……」
「ん?何かあるのか?」
「いえ何でもありません。オウガは強い者しか認めないモノで…アスラ殿はもしかして相当の手練れでは?」
「ハハ強くないよ。オウガにもコテンパンにやられたし」
「そうでしょう あのオウガは闘技大会で王者になってから まだ一度も敗北をしていませんからね」
「へ〜そうなんだ」
まぁアイツとは別に因縁がある訳でもないからカラダを張って闘う事はないでしょう。
「そうそう丁度アスラ殿がベスティアに着く頃には今年の闘技大会も開催される時期にあたります。姫様も今はあのような様子ですが、毎年闘技大会は楽しみにしておられましたね」
ちょ!丁度闘技大会とかヤメテ!フラグ立つから!!!
「明日馬車で出発するんだよな?」
「はい、明日の明け方馬車で出発しベスティアへ向かいます」
「ゲパルドさんの他にも誰かいるのか?もちろん護衛とかいるんだよな?」
「はい勿論います。道中何があるかわかりませんからね。御者と護衛三名が帰り同行しますね」
「護衛がいるなら安心してベスティアに行けそうだな」
暫く明日の出発に関しての話をした後ゲパルドさんと別れ今度は王様の元へ向かった。
「そうか、アスラ殿はベスティアへ行ってくれるか」
「あ〜」
「すまぬな、ハッキリ言って今回の件はアスラ殿には関係ない事なのだが…」
「あ〜いいよ。俺が勝手に行くだけだし、それに俺が行く事によって両国が友好になり恩も売れるだろ?」
「アスラ殿は何でもお見通しだな」
「まぁ王様がハナから政治絡みで命令したら断ってたかも知れないけど、最終的に決めるのは俺だから」
「所でアスラ殿、ベスティアへ行き 王女を治せそうなのか?」
「ん〜どうだろう?病名も症状も聞いてないからな〜」
「全く小僧は よく聞きもしないで引き受けたものじゃの〜」
「まぁ聞いた所で医術の心得がないしな。それで俺の情報はどこまで話した?」
「安心せい。小僧に関しての情報は一切話しておらぬ!ただ姫様を治療したとしか」
「了解!助かるぜ」
「アスラ殿、明日の明朝出発するのであろう?」
「あーそのつもりだけど」
「それならば…都合さえ良ければ今晩泊まって行かれよ」
「そうじゃの明日の朝からバタバタするより良いかもしれんな小僧よ」
「それがいいかもしれないねアスラ君、ゲパルド殿が乗る馬車も城で預かっているし護衛の方達も別室で控えているからね用意は早いと思うよ」
「あ、あー」
なんだ?なにか企んでいるのか?気のせいかな?
まぁいいかルチハ達にも、今日は帰らずそのまま出発するかも知れないと言っているから。
そうこうしてる内にユーリアが学園から帰って来た!いつに無く凄く喜んだ笑顔だね、可愛い…。
俺がちゃんと約束を守っている事が嬉しいのかな?まぁ何にせよ心配な顔をされるよりいいか。
そして今回も食事の席に呼ばれてしまった……なんかね〜マナーは気にするなと言われたけど、凄く緊張するんだよね。
珍しく食卓から離れず お茶を勧められたので お茶請けにと今日ルチハが作ってくれたクレープを取り出し皆さんに勧めた。
まぁ皆さん流石王族!手掴みで食べないで上品にナイフとフォークを使って食ってらっしゃる。
でもえらく食い付いて来て、コレは何ていう食べモノだとか誰が作ったモノだとか、まぁ何にせよ満足して頂けて結構です。
そして食後に王妃様に呼ばれ行って見ると凄い威圧感のある顔で今晩は逃げてはダメですよと言われました……そして もし逃げた場合二度と王宮に来てはダメですと……それってどう言う事!?
◇ ◇ ◇
「アスラ様、お母様と何をお話しされていたのですか?」
「いや何もないよ。ゆっくりして行ってと……」
うわーヤベー王妃様の言っている意味が分かるような分からないような。
この後ユーリアと話をしているけど王妃様の一言が頭にチラついて話が少し上の空になり、ユーリアに私とお話しするのは楽しくないのですか?と冗談交じりに言われて…でも不安そうな顔をしてる……そんな顔も愛おしい
もう限界!
「アスラ様お慕いしております…」
「俺もだユーリア……」
次の朝目覚め我に帰る。
やってしまったああああああああああああ!
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