イナリ先生再び
アルンさんにも俺が急に居なくなった理由を説明し、帰りの道中ゲーハー国でパレードをしているのを聞きつけパレードを見物している最中偶々ヨハン爺さんに会い一緒に帰って来た事を伝えた。
勿論ルチハとシャルには事前に嘘を言うのは話してある、ちょっと後ろめたいけどアッシュバーンが俺じゃない事がバレない為だ。
でもそんな心配は要らなかったみたい、アルンさんの奥さんが娘の着なくなった服を仕立て直してルチハとシャルにって、ミリーネさんに連れられて別の部屋に行っちゃった。
だから今はアルンさんと二人だけ、因みにヴォルフはやすらぎ亭の裏庭で昼寝中だろう。
「そうだったんですか……アスラさんの力をもってしても瞬時に帰れなかった訳なんですね」
「アルンさんが思っている以上に俺の力は、まだまだ完全じゃないなぁハハ」
「所でアスラさん、不躾な質問なんですが、旅いえ その災難に巻き込まれた帰りの道中、アマゾーン国やランバー国で何か珍しいモノでも手に入れてませんか?」
「あ〜スミマセン。今回は旅が目的じゃなかったから…それに早く帰りたかったのもあって、お土産らしい物産は無いんですよ」
「そうですか、アスラさんの事だからもしやと思ったのですけど残念です」
「こんな物で良かったら皆んなで食べて下さい」
お馴染みのランバー国王から頂いたお菓子を取り出す。
「おおー!コレは珍しいお菓子ばかりじゃないですか!しかもこんなに沢山!アスラさん是非買い取らせて下さい」
「遠慮なくどうぞ。そのお菓子はランバー国の王様に貰った物だから商売目的な品じゃないので、もしお金欲しさに売ったなんて知れたら俺が怒られますよ」
「そうですか?では有難く頂戴します」
「もし商品として商売になるようならランバー国へ行った時にでも大量に仕入れておきますよ」
「その時は宜しくお願いします」
「アルンさん、ちょっと聞きたい事があるんだけど」
「なんでしょう?」
「通信魔道具なんてモノ、どこで手に入れたらいいかな?」
「コレはまた とんでもない事を言いますね。ハッキリ言いますと一般には売っていません。普通そのようなモノを使用するのは国家もしくはギルドなど規模の大きい組織でしょうか……後は貴族とか…」
「それは お金の問題とか?」
「それもありますが、より遠方からの情報を得ようとしたら魔道具自体が大きくなるのですよ、それともう一つ魔力を大量に消費します」
「なるほど」
まぁそこまで期待はしてなかったけどね、この件は王様にでも聞いてみるか。
魔力で思い出したけど駄竜の所で修行していて手に入った魔石の事も この際だから聞いてみよう。
「アルンさんは、魔石の売買とかしてるかな?」
「勿論取り扱っていますよ。アスラさんは魔石をお持ちなんですか?」
「これなんだけど」
バックから無造作に取り出しテーブルに置いた。
「エッ!?アスラさんちょっと!何なんですかコレは!」
「え!?魔石じゃないの?」
「いえ魔石ですけど、こんな大きな魔石がゴロゴロと!どこで手に入れたんですか!?」
「別に盗んでないですよ。普通に魔物を狩って解体して取り出したんだけど…」
「アスラさん!聞いてもいいですか?どんな魔物とか?」
「え〜っと ワイバーンとかだけど…」
「エエ!?ワイバーンを一人で狩れるんですか?」
「そんな訳はないですよ!竜と一緒に狩ったんですよ!」
コレはヤバいと思って咄嗟に竜と狩ったって言っちゃったよ〜でも満更嘘じゃないよな、ジェットも一緒だったから。
「なるほどアスラさんを攫った竜となんですね。あ〜ビックリしました」
「まぁ他にも魔物を狩ったんですけどね」
「アスラさん!是非買い取らせて下さい!問題無ければ全部です!」
「全然イイですよ。俺も魔石の使い道とか知らないから、今更知ってもね〜」
「そうですね〜色々な使い方がありますが代表的なのがやはり魔道具の魔力供給ですね」
「やっぱり。他には?」
「後は武器とかの専用の特殊装備品に その属性を付与さすと言った方が良いですかね〜例えば火属性の魔石を剣にセットし使用するとか……但し魔石自体の魔力が切れれば唯の剣ですけどね」
なるほどね〜戦況を切り開く時に使うかココイチで使うかだね、沢山魔石を所持してたら有利なのかな?どっちみち俺には関係ないし。
取り敢えず魔石は全てアルンさんに買い取ってもらい、ルチハとシャル達が帰って来るまでアルンさんと雑談した。
最後にアルンさんとミリーネさんにルチハとシャルの服を頂いた事に礼をしアルン商会を出た。
やすらぎ亭へ着く頃には丁度良く夕飯時だったので、久々にマスターの料理に舌鼓し その後マスター達と軽く雑談をしている時にヤマトが起き出した。
いつも寝ているイメージしかなかったんだけどね、女将さんが”ヤマトを抱っこしてみる?”って言ってくれたので初めてヤマトを抱っこしたよ!前は首が座ってなかったから抱っこするの怖かったからね。
初めて赤ちゃんを抱っこするのは少し感動したかな、ヤマトも”ダーダー”と言って泣かなかったし、ちょっと安心。
そして完全に日が暮れる前に我が家へ帰り寛いだ後に就寝タイム!
予想はしてたけどシャルが一緒に寝たいと言い出し続けてルチハも…オマケでヴォルフまで……シャルとヴォルフは、いいとして……ルチハはね……体つきが女性の体つきになってきてるから……でも変に意識しないように、あくまで妹だから。
お願いだから密着しないでねルチハさん。お兄ちゃんホント困るから。
◇ ◇ ◇
翌日
翌日の朝 喫茶店でルチハが作ってくれた軽い朝食とコーシーを頂く。
元いた世界風に言えば喫茶店でモーニングをしているみたい。
今日は開店するとか オープン時間が来たようなので邪魔にならないようカウンターの隅っこへ行きコーシーを飲んでいると……やはりお約束登場です。
分かってましたよ昨日にフラグ立ったので……
”カランコロン”元いた世界の喫茶店でよくある、扉を開け閉めしたら鳴る鐘がカランコロンと鳴り入って来たお客さんは……
「いらっしゃいマリンお婆ちゃん」
「お邪魔するよ……おや?若いの帰って来たのかい」
「やぁマリンお婆さん久しぶり」
「おばーちゃんごちゅーもんは?」
「シャルちゃん、コーシーをひとつね」
「はーい!ルチハねーコーシーひとつー!」
シャルも中々板に付いてるじゃん。
マリンお婆さんとは敢えて目を合わさないでおこう。
「若いの分かっておるの?」
「何の事だろう?」
「皆んながイナリ先生を待って居るぞ?それにの若いの、妹達が朝から働いて兄貴が定職もなくブラブラとはの?」
ああ スッゲー痛いトコ突かれたよ……俺もその事は少し考えてたよ。
「アスラお兄ちゃん、いいんだよ。お兄ちゃんは好きに自由にしてていいから」ニコ
「ハァ〜仕方ないなぁ 」
流石に兄貴として妹達に働かしてブラブラとはね〜
「そうか来てくれるか」ニマニマ
「行くのはイイけど、前に貰った白ローブが、ちょっと事情があって着れない状態なんだ」
エロイの血がベットリ付いて洗っても落ちなかったんだな。
「仮面さえ着けていたら問題なかろう」
ですよね〜。
マリンお婆さんに連れられてイナリ先生の復活です。別に死んでないけど。
一応仮面は着けて往診するけど日替わりで面の交換をし往診を行った。
日替わりで仮面を変える事によって本物のイナリ先生だと特定出来ないのと、ランバー国の一件もあるからね、また狐面を着けて悪さする奴も現れるかもしれないし、だから日替わりで仮面を変えてる訳さ。
往診が休みの日にアルン商会へ行き、アルンさんに適当に予備の仮面を注文したり、他にも必要な物購入したり今後に置いての準備もバッチリ。
しかしワイバーン事件が有ったにも関わらず王都は平常通りだな、俺の言った事を実行しているのか?
さてと明日はユーリアの学園が休日だから城にでも行ってみるか。




