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家族

 久々の我が家で昼食を食べ終わった後 ルチハ、シャル、ヴォルフを連れ ”やすらぎ亭” へ向かった。


 ルチハの作ってくれた料理が美味しかったので素直に褒めたら凄く照れてたよ、ホント可愛らしくなったね。

 最初に会った時はマトモな食事すら与えられていなかったようだからガリガリで年齢の割に成長が止まってた感じだったからね、シャルもそうだけど。


 そんな事を思い出し考えていたら やすらぎ亭へ到着!今は多分昼食も終わり次の仕込みまで休憩している筈。

 よし!覚悟は決めた行ってみよう。


「女将さん、お久しぶりです」

「あら!アスラさん、やっぱり帰って来ていたのねフフ」

「なにい!アスラだとー!」

 ドタバタ

「よっ!マスター久しぶり!」

「テメー!にいちゃん、いやアスラ!心配させやがって!どこ行ってやがった!」

「あっ!お兄ちゃん お帰りなさいー」

「アスラ!ちょっとこい!急に居なくなった理由説明しやかれ」

「お父さん声大きいよ、ヤマト起きちゃう」

「あっ!すまん」


 案の定怒られました。

 まぁ予想はしてたけどね、周りに誰も居ないのを確認し、これで何度目かになる失踪の説明をすることに…話せばマスター達も納得してくれるだろう。


「するってーとアレか、人違いで竜に攫われたんだな?疑う訳じゃないが本当に竜なのか?しかも伝説の竜ときてる……」

「あー本当だ。嘘とか誤魔化しじゃない、信じてくれ。一応コレも見せておくよ」

 バックから駄竜の鱗を取り出し見せる。


「確かに竜の鱗と言われたら そう見えるが……」

「一応ヨハン爺さんにも見せて納得してもらったぞ」

「ヨハンさんが言うのなら信じるしかないな……しかしよく竜に攫われて怪我をしなかっなぁ」

「俺って悪運だけは、いいみたいだな」

「何はともあれ良く無事で帰って来てくれたアスラ!連絡も無く急に居なくなるからメチャクチャ心配したぞ」


「本当に皆んなには迷惑かけて済まないと思っている。まさか竜に捕まって攫われた先が竜の巣だとは思わなかったからな〜それにしてもマスター 俺の呼び方が変わったような気がするけど?」

「バカやろー!お前も嬢ちゃん達も俺の家族の一員だと思ってるんだ!」

「ハハすまない、いやマスターありがとう」


「しかし竜の野郎 誰と間違えてアスラを攫ったんだ?」

「ん〜誰っていうんじゃなく、話題と言うか共通の会話相手が欲しかったんだと思うぞ」

「共通の会話?どんな事を話をしたんだ?」

「他愛も無い話なんだけど、誰にも言えない内容なんだゴメン」

「そうか…伝説の竜との会話だから話せない内容なんだな。物騒な話じゃないだろうな?」

「全然」


 ホント話せない内容なんだ、まぁ相手が伝説の竜だから誤魔化せそうだけど。


「ねぇーお兄ちゃん、竜の所からどうやって帰って来たの?」

「おう俺もそこんトコ気になるな」

「それはなニーナちゃん」


 ルチハ達に説明した時のように地図を取り出し駄竜⇨樹海⇨アマゾーン国⇨ランバー国へと順に少しだけ端折りながら話を進めようと思った。


 最初は俺の事を心配して凄い剣幕だったマスターも話を聞くうちに何かの物語を聞くような感じでワクワクドキドキしながら”次はどうなった?次は?”とか聞いて来て ニーナちゃんに”お父さん少しは静かにして!”って言われてた。

 ワクワクドキドキ聞いていたのはマスターだけじゃ無いのだけどね。


「そして苦労して帰って来たらヴァルトリアがワイバーンに襲撃されてるじゃないの!それで戦闘で目立つなら俺って分からないように装備した訳さ!そしてその時に使っていた大剣がコレ!何でも魔剣”マナイーター”だって。俺も最初知らなかったんだけど」

「凄い剣だなそれ!」

 おー!コレが魔剣か!初めて魔剣なをてモノ見たなぁ。


「でも他の人には俺ってバレなかったのにニーナちゃん、シャル、ヴォルフには俺ってバレてたんだ、ちょっとショック」

「アッハッハ!それが家族ってもんよ」

「お父さん声大きいよ」

 実はシャルちゃんに言われるまで気づかなかったんだエヘ!

「あっ!すまん」


 魔剣を出しっぱなしは危ないから仕舞ってと。


「それからワイバーンに乗っていた騎兵からゲーハー国も攻めているって聞いてスッ飛んで行って来たんだ」

「なに!?ゲーハー国もだと!?」

「大丈夫大丈夫、全て片付けて来た!」

「そ、そうか」


 コイツ…アスラのやろー簡単に言ってるが とんでもねーやろーだな……今までアスラのやってきた事を間近で見ているがニーナがアスラを見て偶に呟く”伝説の賢者様”……もしかしたら……いやまさかな……でも……いや今は考えるのは止そう、コイツが何者だろうと俺の家族の一員なんだ。


「マスター聞いてるか?」

「あ、すまん!なんだ?」

「今からアルンさんトコにも挨拶行って来るから、夕飯三人分と一匹分頼むな」

「おう!任そとけ。まだまだ嬢ちゃんには負けないぞってトコ見せてやるぜ!」

「だってさ!ルチハ」

「私もいつか師匠を追い抜きます!」

「ガハ!オッと!ヤマトが起きちまう」

「クスクス あなたったら」


 取り敢えず夕飯の約束をした後 次に向かうはアルン商会!俺の居ない間、マスター達と同じ様にルチハ達を見守ってくれた。

 お礼を言わないとな。


 アルン商会へ到着し店員さんにアスラが会いたいと言付けしてもらい、奥からアルンがやって来た。


「アスラさん!帰られて来たんですね!心配しましたよ!」

「すみません!色々ご心配かけました!」ペコ

「サッ 詳しい話は奥で、サッ早く早く!ルチハちゃんもシャルちゃん入って入って」

「はいアルンおじさん」ニコ

「アルンおじちゃん、こんにちはー」ニコ


 はて?アルンさん何をそんなに急かすんだろう?ルチハとシャルの意味深な笑み……


 応接室に招かれて改めてお礼を言う。


「アルンさん、俺が居ない間 ルチハとシャルの事見守ってくれてありがとう。そして店の支援ありがとう」ペコ

「いえいえ私は少しだけ助力しただけですよ。それに応えてくれたのがルチハちゃんです、勿論シャルちゃんもね」

「アルンさん費用は、どれ位掛かりました?掛かった分お支払いします」

「そんなの要りませんよ。コーシーの宣伝を兼ねていますから」ニコ

「でもそれじゃ」


「ルチハちゃんのお陰でかなりコーシーがこの王都にも広まって来ています。それにアスラさん 王族の方にもコーシーの事をお話しませんでしたか?」

「ん?王様達にコーシーを飲んでもらった事はあるけど……」

「はい、そのお陰で直接王宮より取り引きをさせて頂きました。全て貴方のお陰ですよアスラさん」ニコニコ


 なるほどね、アルンさんは商人、商人にとって信用は大切なモノ。

  王宮から信用と言うモノを得た訳だな。

 ふむふむと そんな事を考えていたら


「アスラさん、いらっしゃい」

「お久しぶりで!エッ」

はい、(ミリーネ)アスラさんのお陰で無事、男の子を出産しました」ニコニコ

「エッ!産まれたんですか!?って俺は何もしてないけど?」

いえいえ(アルン)アスラさんのお陰で無事家族が増えました!待望の男の子です」ニコ

「寝ていても可愛い〜」ニコ

「かーいーねー」ニコ


 ははぁ〜さっきの意味深な笑みは、こう言う事か……俺をビックリさせようと。


「しかし俺のお陰と言うのがイマイチ分からないけど?」

お陰(アルン)と言うのは、アスラさんが出産前に健診した妊婦さん達は安産で健やかな子供が産まれるのですよ。身に覚えがありませんか?」

「あ…」


 そうか……逆子の治療が目的だったけど最終的には妊婦さん全員に保険としてヒーリングをしたんだ……それでか?


アスラ(アルン)さん、また忙しくなりそうですね。貴方をいえイナリ先生を待つ多くの妊婦さん達がイナリ先生が再び王都に現れるのを待っていますよ」

フフ(ミリーネ)無事出産した女性達がイナリ先生に診てもらったら安産になるって噂をしていますからね」


「アスラお兄ちゃん」

「どうしたルチハ?」

 まさか赤ちゃんが欲しいとか言うんじゃないだろうな!?誰の?俺の?イヤイヤやめて!

「マリンお婆ちゃん、ウチの店の常連なの、イナリ先生が帰って来たら伝えてほしいって」


「エッ!?」

 あっ!今 完全にフラグ立ちましたよ!絶対フラグ立ったよ!そうじゃなくても巻き込まれ体質化しつつあるのに!












 アスラは知りもしなかった。この世界に足を踏み入れた瞬間から巻き込まれ体質になっている事を……

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