我が家
翌日
一夜明け前日に何事も無かったかのように朝食を王様達と一緒に食べた後に城を出た。
勿論昨夜ユーリアと会話をした後 与えられた部屋に戻り就寝。
途中いい雰囲気になったんだけどユーリアが”妹さん達の事をお聞かせ下さい”とか言われたので一瞬思考が停止したけど直ぐに復活!別に隠すつもりは無いけど何故その事を知っているのか!?
犯人は爺さんだった……アノお喋り爺め!
まぁ結果的に、いい雰囲気のままユーリアと何かあったら鼻の利く妹達にバレバレだったから良かったのかもしれないけど。
ユーリアとは学園が休みの時にでも会いに来ると伝えた。ユーリアも学園以外城から気軽に連れ出せれるなら王都を散歩しながらデートも出来るんだけど、もし何かあったら大変だからね、仮に外出出来ても護衛付きとか……落ち着いてデートできません!その護衛が爺さんだと余計落ち着きません!
今度王妃様にでも相談してみよう。
ルチハとシャルも心配してるだろうから早く我が家へ帰りましょう。
我が家の前に到着したのだけど……一階の将来店舗部分が喫茶店風な店になってるよ?でも休みなのか開店前なのかドアノブに【close】の札が掛かっている。
ルチハが店でも始めたのかな?とか思いながら玄関先へ行こうとした時!
「ウォン!ウォン!」
ヴォルフの鳴き声の後ドタバタと音がしバン!と扉が開けば二人と一匹が俺に飛び込んで来る!抵抗せずに抱き付かれておこう。
「お兄ちゃあああん!」
「アシュラにぃー!」
「ウォンウォン!」
「ただいま。急に居なくなってゴメンな」
俺の胸の中でポロポロ涙を流すルチハ。ニコニコ腕にしがみ付くシャル。俺たち三人の周りをクルクル回るヴォルフついでに尾っポもクルクル回っている。
不謹慎だけど気持ちが和むね、ご近所さんに見られたら恥ずかしいから取り敢えず我が家へ入りましょう。
我が家へ入り喫茶店風の店へ移動しテーブル席へ着く。ほぅ〜中々良い感じの店じゃないの、みんなが..ルチハが落ち着くのを待ってから話を始めましょう。
「アスラお兄ちゃん、おかえりなさい」
「アシュラにぃおかえりー!」
「ウォン!」
「あー、ただいま」
二人と一匹には急に何故居なくなった理由を分かりやすく説明した。
一応地図を出しヴァルトリアの位置を示し次にマナの森、そして駄竜の居る山へと指で指し示すように二人と一匹に話した。
多分…いや確実にヴォルフには理解出来てないと思う。逆に理解してたら凄いを通り越して怖い!
そして駄竜のトコから樹海、アマゾーン国、最後にランバー国を経路として瞬間移動で帰って来た事を告げる。
駄竜に攫われた事は強調したけどアマゾーン国、ランバー国での出来事は省略した。
「ここからヴァルトリアに飛んで帰って来たんだ」
「きのーかえってきたんだね。シャルみてたよーアシュラにぃがスパーンって斬ってたとこー!」
「えっ!?」
ヴォルフ以外にシャルにまでバレてたのか……恐るべし我が家族!バカ達にはバレてなかったのに。
「うん理由は分かったよ、お兄ちゃん竜に捕まって怪我はしてない?」
「あー全然怪我なんかしてないぞ。仮に怪我しても自分で治せるしな」
ルチハは心配症だからアマゾーン国で耳チョンパしたのは言わないでおこう。
ホッ「良かった!どこか怪我をして帰ってこれないのか心配してたんだよ?でもいつもの元気なお兄ちゃんを見てホッとした」ニコ
「アシュラにぃ!りゅーと たたかったー?」ワクワク
「シャル、流石の俺でも竜には勝てないよ」
「えー!アシュラにぃでも かてないのー?きのーつよかったのにー」
「それは竜に修行させられてたからだ。だから少し強くなったんだ」
「えー!りゅーと しゅぎょーしたのー?すごーい!」キラキラ
「ウォンウォン」
シャルが急にワクワクしだして目がキラキラしてる……コイツもしかして戦闘狂なのか?俺の育て方が悪かったのか!?
「それでな今回は旅に出ていた訳じゃないから お土産らしい物が無いんだ」
「ウン、アスラお兄ちゃんが無事に帰って来たから お土産なんか無くてもいいよ」
「ルチハは優しいな、でもなこんな物を貰ったんだ」
バックから頂いた お菓子を取り出す!
取り出した途端 二人と一匹は驚いた後に大喜びだ!
「アスラお兄ちゃん、ありがとう!少し待ってね お茶淹れるから」
「おう、サンキュー!」
ルチハがカウンターの中へ入り、ゴリゴリしてる……コーシーを淹れてくれるんだ!そうかやはり喫茶店なんだ。
その事はコーシーを飲みながら聞こう、その前に…
「シャル、ちょっと両手を突き出してくれ、パーでいいから」
「パー?こう?アシュラにぃ?」
「それはグーだ!パーは、こう。因みにチョキは、こうな」
「ウンわかったー!パー!」
シャルがパーをしているのを見ながらバックからメリケンサックを取り出す。
「シャル、これはメリケンサックって言う武器だ。こうやって握るように装備する、分かるな?」
「うん」
「コレで殴ったら強力だから人には攻撃しないようにな、頭とか殴ったたら即死間違い無しだから、魔獣とかならいいかもだけど。残りのメリケンサックも渡しておくからサイズが合わなくなったら交換するように、ついでに木製のトンファー(ランバー製)も渡しておく。後日稽古も見てやるからな」
「うんアシュラにぃありがとー」
わーいわーい武器だー!シャルの武器だー!わーい!けいこけいこ、やたー!
「ハイお兄ちゃんお待たせ。シャルったら凄く喜んでクス」
「お〜ルチハが淹れてくれたコーシーか、どれどれ」
ゴク
「う、美味い……」
なんだこれは?以前コーシーファームで作ったコーシーより美味いじゃないのか!?
「お兄ちゃん気づいた?」
「コーシーファームのモノより断然美味い……」
「クス 今お兄ちゃんが飲んだコーシーもコーシーファームのモノだよ」
「なるほどな、あっちでも皆んながんばってるんだ〜……所でこの店は?」
「このお店は―――――――」
ルチハの話だと俺が居なくなってから暫くしてアルンさんの勧めで店を出したようだ。
アルンさん的にもコーシーの宣伝を兼ねているとかでコーシー豆の仕入れも優先的に回してくれてるみたいだ。
マスターからも客に出す料理の腕も合格点をもらったようだ。
店は軽食喫茶みたいな感じの店で軽食と言っても食事は店の席分 昼20食限定で出してるようだ、考えたな。
夕方前には店を閉めてるとか。
「アルンさんにも一度挨拶に行った方が良いな……それにしても、お前たち暫く会わないうちに成長したな…」
「エッ?」
「ルチハは少し身長が伸びて前より可愛らしくなって、いや女性らしく綺麗になってきてるな。シャルも身長が結構伸びたな成長期かな?可愛らしさはそのままだな。ヴォルフも以前よりデカくなってるよ」
「!!!」
アスラお兄ちゃんに綺麗になったって!ポッ
「シャルねーいっぱいケイコして いっぱい食べてるー!」
「ウォンウォン!」
「そりゃそうか一年も会わなかったんだからな」
「え?アスラお兄ちゃんが居なくなってからまだ一年経ってないよ?」
「エッ?爺さんに一年近くって言われてたような?ルチハ、俺が居なくなってどれ位経つ?」
「ん〜とね、8ヶ月位かな」
「8ヶ月!?……あの耄碌ジジー大袈裟に一年とかいいやがって!」
まぁそれでも8ヶ月は長いよな……前回の旅でも半年ほどだったから。
「ルチハ、店をやってるって事は、もうマスターの所へは行ってないのか?」
「うん今は偶に忙しい時に お手伝い行くよ」
「シャルもーシャルもー!おてつだいしてるー!」
「そっか。今日はこの店 開けるのか?」
「今日はアスラお兄ちゃんが帰って来ると思ったから お休みにするつもりだったの」
「じゃあ昼食を食べた後 ”やすらぎ亭”へ行こうか。ルチハの料理久々だからな美味いの期待してるぜ」
「うん」ニコニコ
アスラお兄ちゃんに美味しい昼食を用意するんだ!
さ〜てと、攫われたとはいえ連絡も無しで8ヶ月も家を空けてた訳だからマスターにドヤされそうだな、今から怒られる覚悟だけはしておこう。
しかし……こんな事が頻繁に起きるのも困るけど何かあった事を考えて通信手段が欲しいな…誰かに聞くか?今度城へ行った時にでも王様に相談してみようかな。