敢えて沈黙…でもバカ笑い
ランバー国を発ちヴァルトリアに帰るまでバタバタし、問題も解決したのかはイマイチ解らない……それでもやれる事はやったと思う。
そんな事を考えながらゲーハー国を後にしヴァルトリアに転移魔方陣を利用して到着!
さっきは、ワイバーン騎兵と一戦交えていたから結局王都内には立ち入らなかったんだよな……しかも魔族に間違えられてたし。
緊急な事もあり速攻ゲーハーに飛んだから、しかし朝からアッチコッチ飛び回ってるよな……まぁいいか、最終的にヴァルトリアに帰って来れたんだから。
ヴァルトリアに帰って来たのは良いんだけど王様達全員に今日1日は城で寛いで行ってくれと半ば強引に城へ引き留められてしまった。
どのみち転移を使わずに表から正規な手続きで入国しようと思っても今日の騒動で一時的に門は閉鎖してるような事を聞いた。
門が解放されるのは明日だとか……俺もそこまでバカじゃ無いから、そう予想して転移魔方陣で一緒に帰って来たんだけどね……そして王妃様にニコニコ笑顔で睨まれてユーリアを任せられてしまった。
これがアレだな蛇に睨まれたカエル状態ってヤツなんだろね、素直に返事をしましたよ。
「ユーリア 言うの遅れたけど、ただいま」
「はい、お帰りなさいアスラ様」ニコ
「竜に攫われたとは言え心配かけたな、ごめん」
「そんな アスラ様が謝る事では無いです」モジモジ
ユーリアに会えて、こうして話をするのは嬉しいけど、いざ二人っきりで話をするのは緊張すると言うかテレるね、何を話していいのか頭の中に浮かんでこない……
「私 アスラ様がアマゾーン国でアマゾネスの女性達からのお誘い……彼方の事情もお有りのようですけど、それでも お誘いを断って頂き私は嬉しいです」モジモジ
「正直俺も男だからそういう事に興味がない訳じゃ無い。だけど最初捕らえられた時セシリアと言う感染者に色々事情を聞いていたからな……」
男の子だと奴隷とか嫌だし、もし仮にやったとしても俺って嘘が顔に出易いからな、絶対バレてユーリアに減滅されるのも嫌だしな。
「クス アスラ様らしいですね」
「そうか?」
他の人から言わせたら唯のヘタレと言われそうだけど……
「アスラ様 もう一度お話をお聞かせ下さい。出来ましたら英雄イナリのお話と隻眼の賢者のお話をお聞かせ下さい」ニコ
「え〜そんな話が聞きたいの?なんか自慢話見たいで嫌だなぁ」
「私にとってアスラ様は、英雄であり賢者様です。私アスラ様の事をもっと知りたいのです」
「そ、そうか?じゃあ―――」
それから暫くユーリアに英雄イナリ、隻眼の賢者の話をランバー国で頂いた お菓子を摘みながらした、だって昼メシ抜きでバタバタ戦闘してたからね。
そして予想してた通り夕食の席に呼ばれてしまいましたよ。
最近王族絡みから食事を一緒に食べるケースが増えてるんですけど、まぁマナーに気にする事無いと言われているから少しは気が楽だよね。
夕食後王様が話があるとかで……ユーリアを嫁に貰ってくれとかかな?なんてね、呼ばれた部屋に行けばアラ!いつもの重鎮ばかりじゃないの!アレ?知らないオジさんも一人居る?一体何の話をするんだ?
「アスラ殿そこの席へ座って寛いでくれ。アスラ殿はラァゥドゥは初めてだったな、アスラ殿には悪いと思ったのだが今後の事を考慮しラァゥドゥにはアスラ殿の事を話したのだ済まぬな」
「王様が信頼おける人物なら話すのは構わないぜ、その人物が他言さえしなければな!」
「ほぅお主が異世界から来た者か?わしは先ほど陛下から紹介があったラァゥドゥじゃ!お主の噂は予々聞いておるぞ!聞いたのはさっきだけどな ワッハッハ!」
「噂?」
って、さっき聞いたとか何なんだ?このオッサン?調子狂うな……
「姫様の事だ!お主が治したのだろう?」
「はぁまーそうだけど」
「姫様を治療した者の事を陛下に聞いても誰に聞いても口を割らないのだ!」
「ラァゥドゥ殿、お主は口が堅いが声がデカイのじゃ!その声のデカさで秘密が漏れかねんのじゃ!」
「ムム!声のデカさは生まれつきだ!ヨハン殿 ワッハッハ!」
この声の大きいバカ笑いオッサンはヴァルトリアの軍事の偉いさんだって、詰まり将軍様らしいよ……ユーリアを治療した時期に他ごとで王都を離れていたようで俺との面識は無かったようだ。
しかし大丈夫なのか?このオッサン…
「話と言うのは今日襲撃して来たダミアン王国のワイバーン騎兵の事なのだ」
「捕らえた捕虜から何か情報でも掴めたのか?」
「うむ その事なのだが捕らえた捕虜全て牢の中で自害した……」
「はぁ?自害した?」
「恐らくゲーハー国でも同じであろう」
「牢屋の中だろ?どうやって?」
「口の中 恐らく歯の部分であろうな、仕込みの毒を飲み自害したのだろう。牢へ入れる時に所持品関係のチェックは、したようだが口の中までは、してなかったようだ」
「じゃあ情報を掴めずサヨナラかよ……それにしても徹底してる国だなダミアン王国って」
「そう言う国なのだダミアン王国とは」
「そこでじゃ小僧、お主 兵からゲーハー国を襲うと情報を掴んでおったな?他には何か情報を得ておらんか?」
「一応得ているぞ」
「何!?それはどんな情報じゃ?」
「え〜と何でも今回の襲撃はワイバーン騎兵の予行演習だった筈だ」
ザワ ザワ
「小僧よく、そのような貴重な情報を掴めたの?拷問でもして吐かせたのか?」
「まぁそんなもんだ」
バカ笑いのオッサンも居る事だし面倒だからテレパシーの事は黙っておこう。
「しかしワイバーンをよく手懐けたものですね……」
「あっ!王子様、それはコレを使っていたからだと思うぜ?」
バックから輪っかを取り出して皆さんの前に置いた……俺のリュックは既に身体の一部だなコレ。
ザワ ザワ
「コレは!?」
「奴隷紋か何かの魔道具じゃね?それでワイバーンを強制的に使役してたんじゃないの?初めは戦闘に夢中で気づかなかったけど 最後の一体倒す時に気づいて回収したんだ」
「小僧でかしたぞ!コレは預かっても良いかの?」
「要らない。俺んじゃないしあげるよ」
「流石異世界人!ワイバーンをただ倒すだけでは無く貴重なモノまで回収するとはワッハッハ!」
このバカ笑い将軍ワザと言ってるんじゃないだろうな?思考読むぞゴラアァァ!
そして、あーでも無い こーでも無いと、話し合ってるね、軍事的な事も政治も俺には全然解らないから出来たら解放して欲しいんですが……
「小僧、小僧!聞いておるか?」
「……ん?何の話?」
「アスラ殿の意見を聞きたいのだ?」
「異世界から来た お主の意見も聞いておきたい、ダミアン王国に対してどう行動を取るかだ!」
だから異世界からとか強調して喋るなって!ホントやり難いな このオッサン
「俺の意見が参考になるのか?まぁ一応言うけど、俺が敵だとしたら何も行動を起こされない方が不気味だと思うけどな、自分トコの兵が誰一人帰らないんだから撃退されたのは直ぐに判る訳だし、仮に密偵がこの国に居たら襲撃の影響も無く普段通りの王都だと敵からしたら凄く不気味で不安になると思うぞ?
演習とかだから、あの魔道具の効果を試したかったんだろ?普通ワイバーン騎兵で攻めてくれば脅威だと思うけど、そんなの来てもヘッチャラだって沈黙し毅然とした態度の方がいいと思うぞ?」
「ふむ、なるほど」
「お主!中々面白い事を思いつくなワッハッハ!」
「アスラ殿の意見 参考になった」
「小僧も偶には良い意見を言うの〜」
「そりゃどうも!俺ちょっと疲れたから部屋に戻ってもいいかな?」
全然疲れてないけど。
「あー構わぬ!アスラ殿 貴重な情報感謝する」
「じゃあ皆さん失礼します」
難しい話は大人達に任せてユーリアの元へ行こう。王様より先にユーリアと約束してたからね待たせたら悪いし。
◇ ◇ ◇
「シャル、本当にアスラお兄ちゃんだったの?」
「ウン!そーだよぉー!アレは絶対に絶対に、アシュラにぃーだよぉー!」
「シャルが見間違える訳じゃないだろうけど…」
「ヴォルフも見たよねー?アレはにぃだよねー?」
「ウォン!」
「ほら、ヴォルフも見たってゆってるよ。でもねーおうとへ入れる門がしまってるからアシュラにぃ入れないのかな?」
「きっとそうだよね シャルの話が本当なら明日 アスラお兄ちゃん帰ってくるよね」
うんきっとそうだ、今日は門が閉鎖されてるけど明日には開門するって皆んな言ってたから……今頃アスラお兄ちゃん王都の外で野宿してるのかな?
ちゃんとご飯食べてるのかな?
◇ ◇ ◇
「ニーナ」
「なーに?お父さん」
「ニーナとシャル嬢ちゃんの話はお父さんは信じる。だけどワイバーンを倒した奴がにいちゃんだと人には言ったらダメだぞ?」
「ウン!お兄ちゃん目立つの嫌いだっていつも言ってるもんね」
「そう言う事よニーナ」ニコ
「スヤスヤ」
「あっ!ヤマト寝ちゃったんだ」アハ
そうだよね、お兄ちゃん目立つの嫌だから髪の色変えて変な眼帯してるしヘンテコなお面 着けてたもんね、今日も全身凄い格好だったし……でもニーナだけは知ってるんだ!
お兄ちゃんが伝説の賢者様だってこと。