魔力喰い
ゲーハー国の遥か上空を飛行しパレードが終わるのを眺めながら千里眼で目的地を確認し瞬間移動 ” シュン ” 移動した先は王都の人気の無い裏路地、瞬時に着替え素知らぬ顔で裏路地から出る。
コレって不法入国だよね?などと考えながらゲーハー城がある方へ向かった。
城へ着き門番に声を掛けると曽て2カ月程滞在していたのとバールドからも手配が回っていたし…門番の兵も俺の事を憶えていてくれて、すんなり城へ入れた。
そしてこちらの城でもお馴染みの侍女さんの案内で…今まで入った事も無い知らない部屋の前に案内された?ここはどこ?
「バールド、緊急に話したい事とは何だ?今集まっている顔触れでは、まるで家族会議では無いか?」
「陛下もう少しお待ち下さい」
「先程の方が来られるのですね」
「先程の方とは!アッシュバーン殿の事か!?バールド、あの者と友と言うのは本当なのか?」
「ほ、本当です陛下!」
「ム!では暫し待つとしよう、リチャード悪いが暫し付き合ってくれるか」
「うむ構わぬ我もアッシュバーン殿に会い話したい事があるのでな」
” コンコン ”
「お客様がお出でに成られました」
「お通ししろ」
ガチャ
「失礼しまーす」
扉を開け中へ入るとヴァルトリアとゲーハー国の王族ばかりじゃないの!一斉にこちらを見てる!?アレレ?来るトコ間違ったのかな?ルナ姫はいない様だ…お!ユーリアがこっちを見て微笑んでいる!可愛い〜
「エッ!?アスラ君何でここに?」
「エッ!?何でと言われても何でだろう?」
「アスラ殿、久しいの!バールドに用でも有って来たのか?いや祝言に来たのだな!済まぬ今は立て込んでいる、暫く別の部屋で寛いでいてくれ」
「あっそ!それは失礼じゃあまた!」
「父上!!!待っていたのはアスラだ!」
「んん?アッシュバーン殿を待っているのでは無いのか?」
「あっ!それ俺な」
「「「「エエッ!!!」」」」
「やはりアスラ殿で合ったか」
「ワシと姫様は解っておったのじゃ」
「はい、一目見てアスラ様だと解っておりました」
「爺 何で教えてくれなかったんだ?」
「すみませぬ王子、確信が無かったのですじゃ」
「ちょっと〜私も気付かなかったわ!」
暫く皆さんが落ち着くのを待って話を始めよう。色々聞かれるんだろうな、この際だから今いる俺の事を知らないメンバーに異世界人だと告げておこう。
「今集まっているメンバーに俺について色々聞きたいだろうと思う。そこで王様、今いるゲーハー国の王族以外のメンバーは信用も信頼も出来る人達かな?」
「うむ、間違い無い余が保証しよう」
「じゃあ話すな、俺は異世界から来た異世界人だ」
ザワ ザワ
「なっ誠か!?」
「本当の事だヴルース。アスラ殿は異世界人だ」
「アスラは異世界人だったのか!?だからアノ治療とかワイバーンに対しても強かったんだ」
「治療?」
「いや何でも無い、アスラ続けてくれ」
「じゃあまず一人ずつ順番に質問してくれ!あっ!それとワイバーンに対しては死ぬ程修行したからだぞ」
「皆さん差し出がましいようじゃがワシからで良いですかな?」
コク コク
「最初は爺さんか…で、何だ?」
まぁ聞かれる事は解っているけど
「一年近くも連絡無しで何処をほっつき回っておったんじゃ?どれだけ皆んなが心配した事か!特に姫様が!」
「爺や!今はアスラ様が無事にこうして帰られたのですから…ごにょごにょ」カー
エエ!俺って一年近くも帰って無かったんだ!クソー全てあの駄竜が悪い!
「あー…それは悪い事をしたと思ってる、話は長くなると思うけど言い訳じゃないから聞いてくれ」
そして俺は、あの日エルフの事は伏せてマナの森から駄竜に攫われた事を話した。
最初駄竜に攫われと言った時 皆んな驚きと同時に凄く興味深々な感じで食い入る様に聞いていたよ、そりゃだってお伽話に出る伝説の竜だし、まぁ本当はお伽話じゃ無く本当に実在する竜だからね。
そこで色々話を端折ったけど死ぬほど死の特訓をさせられた事はシッカリ話しました!次いでだから信じてもらえるようバックから駄竜の鱗を見せたら、皆さんの目がスゲーこと!凝視してますよ、そんなに珍しいのかね?漫画好きな竜の鱗なんか?
「ふむ俄かに信じ難い話じゃったが覇竜様の鱗を拝見しては、小僧の話信じよう」
「え〜俺を疑ってたのか?でもまだ続きがあるんだよ〜聞いてくれるか?」
「うむ、早く話すのじゃ」
アレレ?気のせいか皆さんスゲー目がキラキラしてる様に見えるんですが…もしかして俺の話が面白いとか?…まさかね〜。
何とか駄竜を言いくるめて脱出出来た事を話 早くヴァルトリアに帰ろうと樹海の様な森へ入り次にアマゾネスに捕まった事を話した。
爺さんが驚きブツブツと何か呟いている、100年前に当時の女帝が乱心し全ての民を皆殺しにし自害してアマゾネスの国は滅んだと…半分合ってるけど半分間違ってるね、仕方ないので補正してやろう。
もしかしたら地図上にアマゾーン国が載って無かったのは、間違った歴史がコッチへ流れて存在が消滅したのかな?
爺さんにアマゾーン国の正しい歴史を教え、アマゾネスに捕まった所から話を続けた、アマゾーン国での出来事に男性陣も女性陣も何か引き攣った顔をしてる様だが全て真実です。
「あの〜アスラ様!質問が有ります!」
「どうぞユーリア」
「あの…その…アスラ様はアマゾネスの女帝と…ごにょごにょ」
「もうユーリア!ハッキリ言いなさい!」
「姉ちゃん、ユーリアが言いたい事は解った」
「そ、そう?」
「あー、俺は女帝もだがアマゾネスの女に一切手を出していない」
うん断言出来るぞ!
「本当ですか!?アスラ様!」
「あー本当だ!信じてくれるか?」
「はい!信じます!」
さっき一瞬凄い殺気がヴァルトリア陣営からしたけど、どうやら俺を信じてくれたようだ、俺はユーリアを泣かすような事はしませんよ。
そしてアマゾーン国での話を続け皆さん俺の癒しの能力に驚きと感心が入り乱れているようだ、そしてスカムの登場!皆さん手に汗握ってますよ、何これ?そんなに面白いの?まぁいいか続きを話さないと!アレよコレよで色々あったけど最終的にスカムを捕らえて一件落着!アマゾーン国に別れを告げて森を抜けました。
「いやはや何と言うか壮絶じゃのー」
「アスラ殿で無ければ解決も その地から生きて帰れぬだろうな」
「でもコレで終わった訳じゃ無いからな、所でルナ姫様が居ないようだが?」
何でもバールド達の結婚で子供とは言え一国の姫なので色々あって疲れが溜まっている矢先にワイバーン事件が起き、まぁ早い話が今は昼寝中だって。
「じゃあランバー国編を話すぞ?」
「ちょっと待て小僧!今ランバー国と言ったか?」
「あーそうだぜランバー国だぜ、それがどうかしたか?」
「アスラ君ランバー国と言ったら、この地より遥か遠くにある 地図上では、ヴァルトリア、ゲーハー国から端と端にある場所なんだ」
「そうだな、俺も地図を見てビックリしたからな、ランバー国の人に聞いたらコッチへ移動するのも一年以上掛かるって言われたしな」
「アスラ殿ランバー国編での話を早く聞かせてくれぬか?」ワクワク
「あ〜イイぜ!」
やっぱり俺の話が面白いんだ!だって皆んなワクワク仕出してるし!俺はスゲー大変だったんだぞ!!まぁ仕様が無い巻き込まれ体質の俺が悪いんだから…
ランバー国へ入国し直ぐに目的である身体が不自由な娘を治すべく、そして治療後に速攻でヴァルトリアへ帰ろうとしたのだけど、ランバー国王へ一度挨拶だけしてから帰ろうと思い王様と謁見する事になった事を話した。
王様との謁見はスムーズに流れスカムの処分も確認し、さぁ帰ろうと思った時 次の事柄が発生した!そう戦闘狂バカ王子達の勝負事件だ!ハッキリ面倒だったんで速攻纏めて倒し一件落着したかと思いきやバカ王子達が降参宣言をし、長男のアルフから大剣を頂いた事を話した。
「そうか…そこであのワイバーンを倒した例の大剣を手に入れたのだな…」
「あれ?王様何か意味深な言い方だな?」
「ん?アスラ殿は知らないのか?あの大剣は魔剣なのだぞ!」
「エッ!?魔剣だって?」
「そうだ魔剣、《マナイーター》だ!別名《魔力喰い》とも言われておる!余も若かりし頃オークションで一度目にした事がある!そうかランバー国へ流れていたのだな…」
なんとまー衝撃な事実!そんな凄い剣を俺にくれたのか…今度ランバー国へ行ったらアルフにちゃんと、お礼を言わないとな。