新たなる伝説
◇ ◇ ◇
ゲーハー国
その頃ゲーハー国では最後のパレード、城へ向けてのメインストリートへ進んでいる最中であった。
「ふむ、解った。報告が入り次第即座に伝令を頼む」
「ハ!」
「リチャード、状況はどうなんだ?」
「ヴァルトリアに現れた魔族らしき者が全てのワイバーン騎兵を殲滅したと報告が入ってきた」
「ふむ…一先ず一安心と言う事か…で、その魔族らしき者の その後の動きは?」
「ワイバーン騎兵を殲滅後 即座にその場から立ち去ったと聞く」
「一体その魔族らしき者とは何者なのだ?リチャード心当たりは無いのか?」
「ふ〜む、心当たりは有るには有るのだが…あの者は決して魔族などでは無い」
「ふむ…」
ザワ ザワ ザワ ザワ ザワ
パレードの最中何やら民衆達がザワザワ騒ぎだした…まさか!?ヴァルトリアばかりかゲーハー国にまで仕掛けてきよったのか!?
馬車から騒ぎ出す民衆を確認するよう見れば空へ指差し何か呟いている。
そして空を見れば遠目に黒い影が見えるではないか!?
「ヴルース!」
「問題無い!お主の国が襲撃されたと報告が入って直ぐに手は打って置いた、よもや余の国にも押し入ってこようとは!」
「対策の方は、どうなのだ!?」
「各所に魔術兵団を配備した…もし結界が破られようなら魔法で応戦しか対処のしようもないのでな」
「バールド!」
「エリーゼ!大丈夫だ僕が付いている!心配しなくていい 君は僕が護る!」
「はい!あなた」ポッ
「ユーリアお姉様!」
「大丈夫ですよルナちゃん」
「ユーリアもルナも心配しなくていい!私が必ず二人を護る!いや護り切るから」ニコ
「うん」
「ルナちゃん、ディーンお兄様は、こう見えても強いから大丈夫よ」ニコ
「ユーリア!こう見えてもは酷いなぁ〜ハハ必ず護る!ユーリアに傷でも付けたらアスラ君に怒られるからな」
「エッ!お兄様!」ポッ
「ディーンお兄様とユーリアお姉様はアスラの事知ってるの?」
「勿論知ってるよ」
「聞かせて!アスラの事聞かせて?」
「ユーリア、ルナの事は頼む!」
「はい!お兄様」
「王子、無茶はせぬ様に、いざとなれば この爺 御三方の盾となり!お護りしますじゃ!」ニヤ
「爺も年なんだから無茶だけは、するなよ」ニヤ
「痩せても枯れても一度は賢者の称号を得た身、そう易々とは死にませんぞ」
「お兄様も爺やも無茶だけは、しないでね」
バールド王子とエリーゼお姉様の大事なパレードに黒い巨大な魔物がゲーハー国へ近づいてくる、それは夢でも無く まして幻でも無い現実…アスラ様助けて…貴方は今何処へ…神様どうか この国の民達だけでも護って…
ザワ ザワ なんだアレは!? 何アレ?
魔物の群れの後方に何か飛んでるぞー?
ザワ ザワ 人か!? バカな人が空を飛ぶか!? でもアレ!? ザワ ザワ
パレードに訪れていた民衆が、いやゲーハー国に居る全ての人々が今正に信じられないモノを目の当たりにした!
ワイバーン騎兵十体の遥か後方から信じられない速さでワイバーンに追い付き次々とワイバーンを斬り捨てて行くでは無いか!
それは正しくヴァルトリアで起きた光景そのもの!が然しゲーハー国の全ての者(一部は除き)は、その事を知らない!
ヴァルトリアでは魔族と間違えられたアスラであったがゲーハー国では、どの様に映ったのだろう?
恐怖の象徴?それとも…
ザワ ザワ ザワ
す、すごい… なんだアレは? スゲー
ザワ
あの武器なに? 凄く大きい剣…
ザワ ザワ
やれー! 倒せー! いけー! ワー! ワー!
俺たちを私たちを助けてー! ワー!
そこだ行けー! やった!
「リチャード!アノ者は!?」
「うむヴァルトリアに現れた魔族であろう」
「然し!ヴァルトリアから此処までどうやって来たのだ?幾ら何でも速すぎはしないか!?」
「人では そうかも知れぬが魔族なら可能なのかも知れぬ」
「然し仮に魔族であった場合何故ヴァルトリアとゲーハーを救うのだ?」
「それは解らぬ直接本人に聞いて見るしかなかろう?それよりこの戦いの行く末を見守ろうではないか」
「ふむ、そうだな戦況が終結次第 本人から直接聞くとしよう…」
然し何者なのだ一体?リチャードは心当たりが有ると言っておったが今のリチャードを見る限りアノ者とは知り合いの様でも無さそうだ…余が不安な顔をすれば民も不安に成る、ここは毅然とした態度を取っておこう。
然し何という強さなのだ!?もし仮に人であった場合尋常では無い!常軌を逸するものだ…その強さ敵で無い事を願うだけだ。
そして今!ゲーハー国の見ている人々の前で最後のワイバーン騎兵を圧倒的強さで葬った!!!
「爺!アノ者は一体!?」
「わ、解りませぬじゃ!?」
じゃが姫様がアノ者を見る様子からして…もしや!?いや今は騒がず事の行く末を見守るしなかないのじゃ…
民衆が歓喜に沸く中 魔族らしいその者は空をいや結界による障壁の上に乗っている…敵が残っていないか確認した後 結界を解除させ その魔族らしい者を招き入れた。
そうでもしないと歓喜に沸く民衆を抑え切れぬのでな…全く困った民達だ。
そしてその者は花びらが舞う様静かに余の元へ降り立った。
「ゲーハー王並びにヴァルトリア王!お初にお目に掛かる!大事なパレードの最中騒がして申し訳ない」ペコ
「頭を上げられよ!恩人に頭を下げさす事などとんでも無い!この国を民を救ってくれた事感謝いたす。だが!お主は一体何者なのだ!?まさか…」
「フッ 心配しなくても私は魔族では無い!人間だ」
「ふむ 今はその言葉を信じよう。せめて名だけも お主の名は何と申す?」
「私の名は…」
しまった!名前なんか考えてねーよ!マジヤバイ!名前名前名前?…!!ワイバーン亜種の装備だから!
「私の名は、アッシュバーン!」
「ふむ、アッシュバーン殿か!してアッシュバーン殿、お主は何故この国を救ってくれたのだ?」
「フッ その前に」
俺は敵意が無いのを確認して貰う為にアルフから頂いた大剣を地に刺し、バールドの前に赴いた。
この国を救ってくれたアッシュバーンと名乗る者は静かに見守る民衆の中 僕と妃であるエリーゼの前にやってきて優雅に膝を着き!そして
「バールド王子、エリーゼ姫!御結婚おめでとう!」
「あ、ありがとう」
「アッシュバーン様…あ、ありがとうございます」
「アッシュバーン殿 君は…」
「バールド心配しすぎると、また毛根に障るぞ、友の窮地に助けに来るのが真の親友だろ?不安に駆られる民を上手く纏め上げるんだ頼んだぞ」
「えっ?あっ!き、君は!そうなだな解った!」
おー!我が友よ!私とエリーゼの為に!いやこの国の為に駆け付けてくれたんだな!
「ここに集まる民達よ!不安に駆られる事は無い!我が友アッシュバーンが我等の愛する国!ゲーハー国の窮地に駆け付けてくれた!もう安心してくれ我等は苦境を乗り切ったのだ!」
《ワアァァァァァァァァァァァァァ!》
大歓声が起こり今回の騒動は終結した。
「じゃあ私は行く」
「待ってくれアッシュバーン!城へ入れるよう手配はしておく!」
「じゃあまた後でな」
そして彼は僕達の前から静かに離れてく。
「あなた?あの方とは知り合いなの?」
「あー真の親友だ!」
王達の元へ行き剣を回収し一言告げる。
城壁の門の前にワイバーンに騎乗していた兵、気絶させた騎兵を纏めていると。
「では私は行く!」
「待たれよアッシュバーン殿!このまま城へ」
「機会があればまた会える、では!」
大空へ舞うようにアッシュバーンは、ゲーハー国を飛び去って行く!後に今日の出来事が新たなる伝説を作った事を今のアスラは考えもしなかった。
そうゲーハー国へ舞い降りた【救世主伝説】など…