魔の手
「―――――さてとアノ一回り大きいワイバーンに乗ってる奴が隊の司令官っぽいね、先ずは雑魚二体を倒した後に色々聞いて見るかな」
じゃあ行きますか!前後に並ぶワイバーン二体に照準を合わせアルフから頂いた大剣を振るう!” ズシャ ” 大剣にエアロキネシスを合わせるようワイバーンの片翼を斬り裂く!
そして後方のワイバーンにエアロキネシスで出来たカマイタチが翼に命中!二体のワイバーンは捥くよう必死で飛ぼうとするがクルクルと回転しながら地上へ落ちて行く。
「チッ」
後方から支持を出し見ていたが、なんだ?あの魔族は?魔族が何故ヴァルトリアを護る?しかも五十機ものワイバーン騎兵をモノともせず殲滅さすアノ馬鹿げた強さは!?私だけになったが早く帰り報告しなければ!
残りはデカイ一体!乗ってる騎兵を捕まえて色々吐いてもらうか。
ムッ!あいつ旋回して逃げようとしてやがる 逃がすか!戦況の不利を悟ったワイバーン騎兵が逃亡しようとしたが残念な事に俺の方が速い!
瞬時にワイバーンに追いつき乗ってる騎兵の首に背後から剣を当てる!
「動くな!動けばオマエの首が飛ぶぞ」
「き、貴様何者だ!?魔族が何故ヴァルトリアを護る!?」
「俺は何者でも無い!まして魔族でも無い!」
エッ!魔族と勘違いされたよ……
「嘘を吐くな!魔族でないならヴァルトリアの秘密兵器なのか!?」
「秘密兵器でも無い!そんな事より何故ヴァルトリアを襲う?オマエは何処の国の者だ?」
「フッ そんな事 易々と話すと思っているのか?例え殺されようと私は口を割らない」ニヤ
「そうかぁ〜話したく無いのなら仕方が無い」
例え拷問されようが国を裏切るような事はしない!我らは拷問に対しての耐性を身に付けているからな!逆に隙を見て貴様の情報を吐かせてやる!
「ほう〜なるほど〜オマエは戦争好きなダミアン王国の者だな、今回の襲撃は王の留守を狙ってかぁ〜なるほどね〜」
「貴様何故それを!?」
「さぁ〜ねぇ〜聞かれても言う訳無いだろ?」
「クッ!…今回の作戦は貴様のお陰で失敗したがクククもう一つの作戦は実行中だククク」
「なに?もう一つ作戦だと!?」
「どうせ貴様には隠しようが無いのだろう?喋ってやるよ、その作戦とはククク もう間もなくゲーハー国は火の海だろうなアハハハハハ!貴様が如何にワイバーンより速く飛べようが、この地からゲーハー国まで貴様の速さを持っても半刻程で着ける筈もない」ニヤニヤ
「そうか?それは良い事を聞いた」
” ガン ” 「グェ」
「眠っていろ!」
騎兵の襟首を掴み、もう片方の腕で思いっ切り力を込めワイバーンの首を薙ぎ斬る!そして騎兵を抱えたまま地上へ降り面倒だけど捕虜として騎兵をバカに預けよう…あ〜面倒だな。
得体の知れない魔族がワイバーンの残り三体を追い二体を一気に斬り落としやがる!
そして残り一体に接触し難なくワイバーンの首を薙ぎ斬って騎兵らしき者を抱えて俺の元へ降りて来やがった!
幾らワイバーンを殲滅しようが相手は魔族!警戒しねーとな、何が目的なんだぁあん?
俺の手の合図で他の奴等を退避させ、万が一襲って来ても大丈夫なように!雑魚が近くに居たら邪魔だからな。
「おいオマエ!」
俺が降り立つ時にバカ以外が一斉にその場から退避しだしたよ…やっぱ俺って魔族と間違えられてるのか?
「ああん?」
「コイツを引き渡す、ダミアン王国の犬だ」
気絶している騎兵をバカへ投げ捨てる。
「ああん?ダミアン王国兵だと?」
「詳しくは本人が目覚めた時に聞け」
「おい魔族!何故俺達を助けたぁあん?」
「勘違いしているようだが私は魔族では無い!」
「あ〜ん?魔族じゃねーだとぉ?じゃあなんでぇー?」
「そんな事は、どうでもいい!私は先を急ぐ、サラバだ!」シュ
「あん!?どこいきゃぁがるんだー!」
そいつは先を急ぐと言い飛び去りやがった…
「ファル〜」
タタッ タタッ タタッ
「ファル、あの魔族は?」
「ファル何を話した?」
「何も話してねーよ、コイツがダミアンの兵とか言いやがっただけだ!」
「「「!!!」」」
「ちょっと〜それ本当なの〜?」
「取り敢えず俺は、その事を知らせて来る!」タタッ
「任したボブ!」
「ファル!あいつは魔族?」
「あん?違う!遠目では魔族と勘違いしたが間近で見る感じだと…恐らく人だ!」
「ファルがそう言うなら〜間違いなさそうね〜」
「人だと言う時に、一瞬期待したんだなぁあん!」
「期待?」
「もしかして〜アスラ君だと思ったんでしょ〜?」
「あん!口調も違げーわ声が全く別人だったからな!まして奴は剣なんか使う戦闘じゃねーしな」
「そっか〜違ったのか〜」
あの時は一瞬魔族だと思っていたのよ〜でもドンドン敵を倒していく姿を見た時アスラ君だったら〜って思ったんだけど、別人だったのか〜。
◇ ◇ ◇
バカにダミアン兵を引き渡した後 瞬間移動でゲーハー国まで飛ぼうと思ったけど、あの場で使ったら俺ってバレるからね折角の変身コスチュームと口調も変えボイスチェンジしてるのが台無しだ!しばらく肉眼では見えない距離まで飛んでから瞬間移動だな。ん?アレって…
もう既に人気のない所まで飛行したんだけど、少し小高い丘の上にアレはヴォルフ!随分逞しくなったな!
ウオオオオオオオオオオオオオオオオオォン!
ハハ ヴォルフにはバレてたんだ。
「じゃあ皆んなを助けに行って来るな」
ご主人様だ!見た目は違うけどアレは絶対ご主人様だ!おかえりなさいご主人様!
ダミアン兵の思考を読む限り今ゲーハー国でバールドとエリーゼの挙式後のパレードが民衆の前で行われてるようだ!それを狙って襲撃しようとか…バカじゃねーの?そんなの俺が阻止してやる!
しかしバールドと姉ちゃんの結婚ね〜見たかったな〜まぁ現地に着いたら一言お祝いの言葉くらいかけてやるか!あっちにはヴァルトリアの王族も全員行ってるようだし久しぶりにユーリアにも会えるしな、いっちょ派手にブチかましますか!(テレポ)シュン!
◇ ◇ ◇
ヴァルトリア王都時計台
その頃ヴァルトリア王都の時計台最上階で何やら二人の少女が話をしていた。
「ニーナちゃん見たぁ?」
「うん見たよシャルちゃん!遠くて見ずらかったけど凄かったねー!ワイバーンを大きな剣でスパっと切ってたねー!あの人 何者何だろうね?」
「にぃーちゃん帰って来たんだ!」
「エッ!?にぃーちゃん?」
「ニーナちゃん、あれアシュラにぃだよ?」
「エエ!?アスラお兄ちゃん!!!」
「そうだおー!絶対アシュラにぃだよー!ルチハねぇーちゃんにしらせないとー!いこうニーナちゃん」ニコニコ
「う、うん!」
シャルちゃんが言うんだから間違い無いよね!?うんそうだよ!アスラお兄ちゃん帰って来たんだ!
私も早く帰って お父さんとお母さんに知らせないと!