休日日和
新しい武器防具を鍛冶職人のゴッツに依頼出来たぜ!ゴッツの話を聞けば全ての武器防具の完成は早くても一週間程掛かるようだ、その間に試作品を作るとか、取り敢えず毎日工房に顔を出すように言われたよ。
そして全ての武器防具が完成するまでの期間アルフ達の勧めで城に滞在する事に決まり ただノンビリと武器などが出来るのを待つなど退屈なのでアルフに貰った大剣を上手く扱えるよう、城の訓練場で練習する事に決めた。
勿論、剣技などは一切知らない!多少剣道は、やった事は有るが根本的に全く違うモノだ、そこで剣のコーチにアルフ達に剣の扱い方などを聞き練習に励んだ。
バカ王子達の厳しい指導に文句を言わず、ただ只管黙々と練習する俺の姿を見る城の騎士や兵士達に良い方に刺激になったようだ、普段はバカ王子達に無理矢理やらされてた感が有ったようだが、俺の前向きな練習風景を見て何か変化があったようで後から王様やバカ王子達にお礼を言われた!
お礼を言われてもね、自分の為に訓練してただけだから、基本俺は戦闘狂では無いけど訓練とか特訓は好きだからね、練習とかをして何か自分の中で変わる様も嬉しいけど成果が出た時は特に嬉しいからね。
王様の協力(主に資金面)もあり、大量の木製のトンファーを騎士 兵士達の訓練用に作らせたみたい、今度は俺がトンファーの扱いをコーチする事になった!俺の指導はバカ王子達より厳しいぜ!
王様曰く騎士兵士に予備の武器として定着させたいようだ、まぁ万が一は大事だからね予備の武器として携帯する分には木製のトンファーは軽いし邪魔にならないからな。
俺の方もゴッツから鉄製のトンファーと試作品の鉄製メリケンサックを渡されカラダに馴染むよう練習開始だ!
「それが試作品のメリケンサックか!」
「それで殴られたら骨が砕けそうだな」
「冗談でも、そんなモノで殴られたくない!」
「イナリ、早く試してくれよ」
「うむ、ワシも試作品の成果を見てみたいぞ!ったく」
「一応注文通りだな、じゃあ試しに使ってみるか」
俺達以外にも訓練場に居る騎士や兵士達も初めて見る武器に興味深々ですね、ちょっと恥ずかしいかな、ヘタな所を見せないようにしなくちゃな。
訓練場に剣で打ち込み用に埋められている木の棒を初めに試し打ちしてみよう、素手でも折れそうなんだけど、まぁイイか。
意識を拳に集中させ、空手の正拳突き!
「どりゃ!」”バキッ!”
《《《《《おおーっ‼︎》》》》》
「すげー!イナリ、俺にも貸してくれ!」
「いいけど、大丈夫か?怪我をするなよ」
「こんなモノで怪我するか!」
「「「兄貴!次は俺達な!」」」
大丈夫か?絶対怪我すると思うけどな…
”ガン!” 「ギャッ!イテー!」
「あ〜あだから言っただろ、怪我するって!素人が扱うと手の平とか手首を怪我し易いんだ」
「なるほど、唯単に殴るだけじゃダメなんだな、いい勉強になったよ、イテテ」
「じゃあ次はレンガを試し打ちしてみるかな」
レンガは事前に用意してもらっていた物、さっきのアルフの様子を見た弟達は試し打ちを遠慮している、痛みを知るのも訓練の一つなんだけどね。
「どりゃ!」”ガン!” バラバラ
《《《《《おおーっ‼︎》》》》》
「どうだ?イナリ、試作品は?」
「コレはコレで中々イイ出来じゃないか?」
「おー!そうかそうか!いい出来か!ったく」
「じゃあ次は本命のミスリルだな」
「イナリ、一つ提案なんだが良いか?」
「イイぜ」
「拳のコノ部分に突起を付けても良いか?」
「俺は良いけど、それを付けたら凄く殺傷力上がるんだぜ、あんたも結構凶悪だな?」
「バカヤロー!それはお互い様だ!殺傷力が上がると知っていて了承してるじゃないか!ったく」
「じゃあ任せた」
「おう、任せろ!ったく」
ゴッツは上機嫌で工房へ戻って行った…トンファーは見なくていいのかー?と思ったけど、これまた俺が曲げて作った、なんちゃってトンファーと違い、しっかり注文通りに作られている、良いモノを作ってくれたな。
その後も俺の厳しい指導のもと、トンファーの扱い訓練だー!取り敢えず使って馴れろ作戦開始だ!ヒーヒー言いながらでも結構みんな生き生きとしている……本日の訓練は終了!日が暮れるまで訓練に良く付いて来た お疲れ様!明日は俺の訓練は休みだからな〜。
◇ ◇ ◇
翌日
今日の訓練は休みだ!中々良い休日日和だ カラダをしっかり休ませるのも鍛錬の一つだからね、と言う事でランバー国をブラブラ歩きながら散歩をしようと思っている、ついでにブラッドの妹の様子を見に、ブラッドと言えば、クレイグさんの話ではあの後 城へ来て事情の説明と聴取をして、一応スカムに関わっている事もあるようで罰が与えられた様だ。
まぁ罰と言っても一週間の自宅謹慎だそうだ!クレイグさん上手くやってくれたよ、何カ月も家を空けてたから逆に褒美のような罰だね。
今日はお出かけだから狐面じゃなく違う面をしようかな…お!この面イイね!今日は猫の面にしよう、では早速お出かけ…
「イナリ!待ってたぞ」
「…なんでアルフが待ってるんだ?」
「おっ!今日はいつもの狐の仮面じゃないのか?猫の面だなそれは」
「おい聞いているのか?何故に俺を待っているんだ?今日の訓練は、休みだぞ」
「ハハハ!だから一緒に休日を過ごすんじゃないか!今日は街を観光するんだろ?案内するぜ!」
「仕方ないなぁ〜弟達も付いて来るのか?」
「あいつらは朝早くから一旦自分の管理している砦に問題ないか様子見に戻っているぞ」
「アルフも砦を任されてるんじゃないのか?様子見に行かなくて大丈夫なのか?」
「大丈夫だ、俺が居なくても上手く機能している」
「そんな事言ってると終いに足元すくわれるぞ?事が起きてから後悔するのは自分だし人の命も関わってからじゃ大変だからな」
「それもそうだな…忠告感謝する明日様子見に行ってくるか!今日はイナリの案内兼王都の様子を自分の目で見て巡回だ」
城を出て思ったんだけど王子が護衛も付けずにブラブラと歩き回っていいものなのか?まぁ聞くところによれば治安は良いと聞くけど、それでもな…まぁ自分の目で見て巡回は、良い心がけだな満更ただのバカじゃないんだな。
「人通りに出る前に俺もイナリ見たいに仮面を用意したんだぜ」
「ほ〜」
まっ そりゃそうだわな、一国の一応王子だから騒ぎになっても大変だし、バカなりに考えてるじゃないの。
しかし赤い面って!お前は戦隊モノのヒーローか!
賑やかな人通りに出たんだけど何故か面をしている者が多い様な気がする…しかも俺の狐面とは違うけど、どう見ても狐面だよねアレ!?中には違う面もあるけど
「なぁアルフ」
「なんだイナリ?」
「この国って仮面をしてる奴らが多いような気がするんだけど…しかも子供までしてるし…」
「そりゃこの国に”英雄イナリ”が来たって噂になってるからな、唯の噂なら直ぐに消えるだろうけど、イナリお前 入国して直ぐに一人の女の子を治療しただろ?それが噂の発端だ!」
「そ、そうか」
英雄イナリに肖って狐の面で商売してる商人でもいるのかな?今日は猫この面で良かった、散歩中に騒がれるのも面倒だしね。
「なぁアルフ、今から俺の事は”ナリ”と呼んでくれ」
「おう、解ったぜ!じゃあ俺の事は”アル”な!相棒」
「了解アル」
なんだ相棒って!?まぁイイか。暫くランバー国の街並みを歩きながらアルフに聞いてみる。
「なぁアル、お前 弟の事で俺を恨んでないのか?」
「スカムの事か?」
「あー」
「全然恨んでないぞ、寧ろ感謝している」
「感謝?」
「あぁ 感謝している、あのままナリが現れずスカムが自分が行った悪事に対して悪びれもせず、のうのうと生きる様なら俺がスカムを殺していたかも知れないからな、親父がスカムを城で幽閉する事に対しても俺も他の弟達も納得したしな、俺も好き好んで身内を殺したくなかったしな、だから感謝する」
「そうか解った」
まっ 恨まれてるなら、城の皆んな俺に対して良くしてくれる訳ないならな、もう終わった事だしクズの事を考えるのは終了だな。
さぁ観光を楽しもう!
「ナリ!どこか行きたい所とか有るか?」
「行きたい所ねぇ…」
ポーラの所は午後からでもいいし、別に何か目当てでブラブラしてる訳じゃないからなぁ…
「決まってないなら、俺お勧めの店に行こうぜ!偶に城を抜け出してお忍びで行くんだ」
「お勧めのお店?」
「あー美味い紅茶とケーキが売りの店だ」
「お!それはイイね!」
ヤローと二人でケーキを食べるのはアレなんだが美味いケーキの為だ!我慢しよう。
アルフに連れられ美味いケーキを食べさせてくれる店へ向かう途中 何やら人集りが…しかも喧騒な雰囲気…厄介事が舞い込んで来たんじゃないだろうな…アルフも気になってるようだし、少しだけ様子を伺いますか。
お願いだから何事もありませんように。