新しい武器
はぁ〜面倒事にならなければいいんだけど、やっぱり逃げてヴァルトリアに飛べば良かったか…?
「先程は、無礼な事を言ってすまない!降参だ参りました!」
「「「参りました!」」」
「あ、あー」
エエ!まさかの降参宣言!
「なんじゃ?お前達は降参を認めに、やって来たのかの?」
「あーそうだ!対戦相手を見た目だけで判断し見縊っていた」
「それを言いにワザワザ来てくれたのか?」
「そうだ!それと勝負する前の約束、コレを渡しに来た!」サッ!
アルフから差し出されたモノを見れば、なんと!ゲームやアニメなどで お馴染みのどデカイ大剣じゃないの!こんな大剣振ってる奴いるんだな…まぁ目の前にいるんだけど。
「コレを俺に?」
「あー勝負して俺が負けたら俺の愛剣を渡すと約束しただろ?」
「いや、でもコレあんたの大事な愛剣だろ?そんなの渡されてもな…」
「貰ってくれ!約束は約束だ!」
「「「俺達のも!」」」
「エッ!」
「お前達はいい!約束をしたのは俺だ!お前達の武器は仕舞っておけ!」
「でもそれじゃ…」
「アルフ兄貴…」
「兄貴の武器は…」
いやそりゃ見た目だけ見れば漫画のような大剣だから欲しいかなって思うけど、流石にね大事な愛剣だからな、やっぱり貰えないよ。
「いや流石に大事な愛剣は、貰えないって!」
「俺の剣は強い奴にこそ相応しい!イナリ、お願いだ受け取ってくれ!」
「イナリ殿、アルフもこう言っている、アルフはバカだが約束は、きっちり守る奴なんじゃよ、快く受け取ってやってくれ」
「誰がバカだ!イナリ!受け取ってくれ!」
「仕様が無いなぁ じゃあ受け取るけど後で返せとか言うなよ?」
「そんな事は言わない」
剣を受け取ってみる…一瞬ズッシリとしたが別に扱えない重さじゃない、これも神様から授かった身体強化のお陰なのかな?自分の鍛錬の成果なのかな?まぁ両方だろう。
少し皆んなから離れて軽く振ってみるが以外としっくりくるね、いいモノを頂いた。
「中々良い剣だな、ありがとうアルフ王子」
「俺の事はアルフでいいぜ!」
「俺の事もカルロスでいいぜ」
「俺の事もクラークで!」
「俺の事もデリックで」
「あ〜解ったぜ」
コイツら戦闘狂だけどスカムと違って、根はいい奴らかもな。
「所でイナリ、デリックが行き成り切り掛かった時に使っていた武器が例の鈍なのか?」
「あーそうだぜ、見るか?」
バックから俺手製のなんちゃってトンファーを取り出しアルフ達に見せた。
「確かに鈍と言うか鉄の棒じゃないか!これ?」
「本当は、こんな形に作りたい所なんだ、木製では完成品な」
そう言いながらカーシの木で出来たトンファーを取り出し見せる。
「これが完成品の形なのか?」
「しかし変わった武器だな?」
「この武器の名前は?」
「トンファーって言うんだ」
「へ〜トンファーって言う名の武器なのか、初めて見るな…どう扱うんだろ?」
珍しい形の武器に興味深々のバカ王子達が手に取り、あーだこーだ言ってる。
「その武器は、こうやってガードしたり打ったり突いたり足を払ったり腕とかを絡めて折ったり出来るんだ」
「「「「スゲー!」」」」
「イナリ殿は、金属製でそのトンファーとやらを作らないのかの?」
「いや本当は、鉱山都市へ行ってドワーフにミスリル製の武器を作って貰いたいんだけど中々暇が無くてな」
本当は行く予定だったんだけど駄竜に攫われたからな、まぁその事は、ここでは伏せておこう、根掘り葉掘り聞かれるのも面倒だし。
「お主はミスリルを所持しておるのか?」
「あー持ってるぜ、まぁトンファーを作る量には足らないだろうけどな、他の武器を作りたいんだ」
ドワーフに会ったら作ってもらう武器は決まっている。
「なぁ親父ウチの専属の鍛冶のオヤジを紹介出来ないか?」
「おー!そうじゃな」
「提案は有難いがミスリルはドワーフにしか鍛えれないと聞くからな、でもありがとうな」
「イナリ、ウチの鍛冶屋はドワーフだぜ」
「エッ!?」
「でも、あの親父堅物だからな素直に作ってくれるか?」
「大丈夫だろ?あのオヤジ偏屈だけどイナリのトンファーを見せたら飛び付いて作るはずだぞ絶対!」
「よし!今から行こう、付いて来いイナリ」
「エエ!今から?」
「余の事は構わぬから、バカ息子達に付いて行くが良いぞイナリ殿」
「「「「誰がバカだ!」」」」
バカ王子達の薦めで城専属の鍛冶屋の所へ連れて行かれた、火を扱う仕事なので火の手が回り難い場所に鍛冶工房があった。
「オヤジーいるかー?」
アルフが声を掛けるがシーンとしている、工房には多少の熱気は有るものの鍛冶をしている様子は無い、休憩中かな?
更に中に入って見ると一人のゴツいドワーフが腕組みをしたままウンウン唸っている、考え事でもしてるようだ。
「オヤジ、居るじゃないか」
「ん!何だお前達は!作業場に勝手に入りよって、また武器を壊したのか?ったく」
「オヤジに用があって来たんだよ」
「ワシに用だと?お前らの用は、武器の事しかないだろ、ったく」
「あーその通りだ!コイツに武器を作ってやってくれ」
「なんだ〜?そいつは仮面なんかしよってからに、胡散臭そうな奴だな、ったく」
「俺の名はイナリ、あんたに武器を依頼したい」
胡散臭そうなって、言われたよ。まぁたしかに端から見たら胡散臭そうなんだけど。
「王子の知り合いでも今はダメだ!ったく」
「なんでだオヤジ?暇そうにしてたじゃないか?」
「ワシは暇じゃない!新しい武器を作るのに瞑想しながら頭を悩ませてたところだ!ったく」
「またロクでもない武器を開発しようと思ってるのじゃないか?」
「バカモン!ロクでも無いとはなんだ!そう言う事だ、さぁ帰れ!ったく」
「新しい武器の開発ならイナリのトンファーなんかどうだ?」
「なんじゃそのトンファーとやらは!」
「イナリ、オヤジにトンファーを見せてやれよ」
「あー」
バックから木製のトンファーを取り出し鍛冶屋のオヤジに見せる、オヤジも初めて見る武器に興味深々で、俺にどう扱うのか聞いて来た、丁度部屋の隅に木製の剣があったので表に出てどう扱うか見てもらう事に。
「相手は誰でもいいぞ」
「じゃあ俺だ!」
「あっ!ズルいぞカルロス、ここは兄貴の俺に譲れ!」
「いやダメだ!ここは兄貴でも譲れない!」
「じゃあカルロスが相手でいいぞ、思いっきり切り掛かってもいいからな」
「よっしゃ!行くぞ、どりゃあああ!」
カルロスの上段からの剣筋に合わせながらトンファーでガードし次の攻撃も片方のトンファーで流すようガードし、もう片方のトンファーでカルロスの腕に打ち込む!そして怯んだ所で軽く鳩尾にトンファーを突く!鳩尾を突かれ前屈みになったのを見逃さず、トンファーで足払い!転んだカルロスに首と腕にトンファーを絡ませ終了!
「ここで絡ませたトンファーを思いっきり捻れば首と腕が折れるんだ」
「ま、参った!」
「「「スゲー!」」」
「おい、仮面ヤロー!そのトンファー凄い武器じゃないか!ったく」
「仮面ヤローは、酷いな〜俺の名はイナリだ!コレは木製だから耐久に難点が有るんだけど金属製なら、もっと威力も増すだろうな」
「おーそうかイナリか、ワシはゴッツだ!お前さんのその武器、ワシが作っても構わないか?いや作らせてくれ!」
「あーいいぜ」
「オヤジ!俺達のも作ってくれ!なぁいいだろ?」
「仕方ないな、このイナリのトンファーが出来てからだぞ!ったく」
「あー!それでいい」
「良かったなイナリ」
「あぁ…」
トンファーを作ってくれるのは嬉しいんだけど、本命はミスリルで違う武器なんだよなぁ〜ダメ元でゴッツに聞いてみようかな。
「ゴッツ、トンファーを作ってくれるのは有り難いんだけど別の武器をミスリルで作ってもらいたいんだ…」
「何?ミスリルで違う武器だと?どんな武器だ!ったく」
「ゴッツは《メリケンサック》と言う武器は知っているか?」
「なんじゃそのメリケンサックとやらは?」
やっぱり知らないか…カイザーナックルの方が良かったのか?まぁどっちでもいいや。
ゴッツに解り易く地面に絵を描いて、説明をした。
「ふむふむ、成る程!イナリは、面白い武器を色々知っているのだな、よし作ってやろう!最初は鉄製で作ってやるから納得してから、ミスリルを鍛えて作るぞ!ったく」
「じゃあ素材のミスリルを渡しておく」
バックからミスリル鉱石を取り出しゴッツに渡した。
「ふむ、確かに受け取った!しかしこのミスリル鉱石の量だとメリケンサックはワンセットしか作れないが少量余るな…その少量で何か出来ないかものか…」ブツブツ
「じゃあ防具的な武器にもなる物なんだけど、どうかな?」
「なに!?防具的な武器?どんなのだ教えてくれ!ったく」
「ブーツなんだけどな」
俺は以前諦めていた《安全靴》をゴッツに、これまた解り易く説明した。爪先部分に鉄鋼芯入りのブーツ!これをミスリルで!
「ふむ中々面白い!これは息子に作らすか!ったく」
「オヤジそう言えば息子二人は、どこ行ったんだ?」
「あいつらは買い出しだ!ったく」
「買い出し?」
「そうだ、酒を買い出しだ!ったく」
「相変わらずドワーフは酒好きだな」
「バカヤロー!酒無しでいいモノ作れるか!ったく」
やはりドワーフって酒好きなんだね、しかしランバー国へ来たのは正解だったな、こんな所でドワーフに出会えるなんて、超ラッキーじゃん。
「イナリ!他に何か作って欲しいモノが有るなら言ってみろ!聞くだけ聞いてやる!ったく」
「ん〜武器じゃ無く防具なんだけど構わないか?」
「防具だと?一応聞いてやる、どんな防具だ?ったく」
「ガントレット、いや手甲だなメリケンサックを装備しても邪魔にならない手の甲から腕の部分をガードしたいんだ、俺は基本格闘戦が得意なんでな」
「ふむ成る程な、素材は何で作ればいい?ミスリルは足らないぞ、鉄でか?ったく」
「それなんだけど、これ加工出来るか?」
バックから駄竜の鱗を一枚取り出した!
「なっ!なななななななななななにッ!」
「おい!イナリ!コレは!?」
「ま、まさか!?」
「う、嘘だろ!?」
「ち、違う鱗だよな!?」
「一応竜の鱗だ」
「ま、まさかイナリは、竜を討伐したのか?」
「まさか〜竜なんかと闘う訳ない!絶対闘ったら死ぬ!死ねる自信あるぞ、偶々手に入れる機会が有っただけだよ、それでゴッツ無理か?」
「バカヤロー!こんないい素材を目の前にして無理だと言えるかー!ったく」
「じゃあ頼むな」
「任せろ!バカヤローコノヤロー!ったく」
この仮面ヤローに会ってから、さっきまで頭を捻り悩んでいたのがバカらしくなってきたな、初めて作る武器 防具の数々!ミスリルに竜の鱗!俄然ヤル気が湧いて来たぞー!早く息子ども帰って来やがれ、最高なモノ作ってやるぞ!ったく