仕返し?リベンジ?
◇ ◇ ◇
ヴァルトリア
「いよいよエリーゼの挙式も来週に迫った、余達は一足先にゲーハー国へ向かうが、後の事は任せたぞ宰相」
「ハ!お任せ下さい陛下!」
「余が国を空ける留守の間、必ず現れる筈だ!」
「抜かりは、ごさいません!陛下の留守を狙う卑劣な国など、問題無く追い返してみせますぞ」
ふむ、前回国を空けた時は爺の結界で敵からの攻撃は防げ迎撃出来たようだが、今回も前の戦いの様な戦法でくる筈が無い、兵士には負担が掛かるが、昼夜体制を取り今回も何事も無く迎撃出来れば良いのだがな…保険として冒険者ギルドにも要請を掛けて置いた方が良いな。
「陛下、やはりワシも国に残りますじゃ」
「いやダメだ、爺にとってもエリーゼは孫の様に可愛がっていた子だ、あの子の晴れ姿を間近で見てやって欲しい」
「陛下、ありがとうございますじゃ」
「爺、その後アスラ殿の情報は入らないのか?」
「申し訳ありませぬ、全く足取りが掴めぬ状態ですじゃ」
小僧一体何処へ行ったのじゃ…まさか死んだ訳では、あるまいな、いやアノ小僧がそう簡単に死ぬ訳は無いのじゃ!早く帰って皆を安心させるのじゃ。
◇ ◇ ◇
ランバー国
色々問題はあったのだけど王様との謁見も無事?に終わり今は王様と、お茶をしている。
「イナリ殿は、噂通り強いの。バカ息子達が何一つ反撃する事無く勝負がついてしまうとはのフォッホッホ!」
「それより大丈夫なのか、この国?王様の後継者が戦闘狂ばかりで…」
「ふむ心配要らぬ、あー見えて――――――――――」
王様の話では、バカ王子達は、普段各々の持ち場をしっかりと守護してるとか、国を中心に東西南北に砦を設け そこで兄弟四人が将として砦を守っているとか。…ホントか?
お茶の席には、クレイグさんとランズさんも呼ばれ改めてアマゾーン国での出来事の報告会になった。俺は別に話す事は無いので、二人の話を右から左状態で聞いている。
報告も一通り終わったんだけど、やはり最終的に気になる点は、俺の癒しの能力のようだ。
「イナリ殿、アレは魔法なのですか?」
「一応魔法だよ、唯し俺にしか使えない魔法だけどな」
「傷を回復出来るのは良いとしても、欠損自体を復元したり、一番驚いたのが病を癒すなど、私も医術師の端くれ、とても考えられないのです」
「話を聞く限り余も信じられぬ、本当にイナリ殿は、そんな事が出来るのかの?」
「一応出来るとだけ言っておこう、別に信用されなくても俺は困らないからな」
「そうですね イナリ殿は、それで商売をしてる訳では無いのですから、それで金を取っては英雄イナリではありませんからね!」
「ランズさん、そこは強調しなくてもいいから…別に英雄とかに、憧れたり成りたいとか全く無いから」
マジで英雄、賢者、勇者とか憧れてないから、そんな使命感無いし気ままに旅をしながら異世界を満喫する方が楽しいじゃん。
「イナリ殿は、ヴァルトリアに帰りたいと言っていたが、ヴァルトリアの出身かの?」
「生まれはヴァルトリアじゃないけど、今のは住居はヴァルトリアだぜ、家族もそこに住んでいるしな」
「ふむ…一つ質問しても良いかの?」
「いいぜ」
答えれる範囲限定だけどね。
「ヴァルトリアの王は、イナリ殿の能力は知っておるのかの?」
「勿論知っているぜ」
「では、お主はヴァルトリア直属の医術師なのじゃな」
「いや、王宮の医術師でもないし、城に仕えて働いても いないぜ、住まいがヴァルトリアに在るというだけだ」
「何故じゃ!?それほどの力を何故王宮は欲しがらないのじゃ?」
「ん〜なんでだろ?(爺さんが止めてるのかな?)俺も知らない、でも仮に俺の力欲しさに無理矢理拘束するなら、暴れるだけ暴れて その国には、二度と近づかないな」
「ふむ、では仮に余がお主の力が欲しいと言ったらどうなるのじゃ?」
「二度と、この国には来ないな」
「では余もヴァルトリアの王と同じように、お主には必要以上干渉しないでおくかの」
「そうしてくれると助かる」
「イナリ殿は、普段から面をしたままヴァルトリアに住んでおられるのですか?」
「そんな訳ない!普段は素顔だぜ、治療をする時だけ面を着け名前もイナリに変えてる」
「本当の名は?」
「クレイグさん、それを聞いちゃダメでしょ?」
「あっ!これは失礼いたしました」
「面を着け名を変えて行動しているのは、俺の能力欲しさに良からぬ者を回避する為さ!素顔が知れたら家族とか身近な者に被害が出るかもしれないからな」
「ふむ成る程の、イナリ殿の考え理解したぞ、それだけの力 戦争好きな国、それ以外の者にも堪らなく欲しいだろうからの」
「だろ?」
「余は二度とイナリ殿の素顔を見たいと言わぬ!本当の名も明かさなくて良い!」
ランバー国自体小国だし、息子の王子達は問題点が有るけど、王様は真面だな。
「いや、いつ偽物が現れるか判らないだろうから、今ここにいるメンバーにだけは素顔を見せておこう」
そう言って仮面を外した。
「ふむ確と確認したぞ!しかし凄い傷痕じゃの…」
「それがイナリ殿の素顔なのですね…本当に傷痕と言うか火傷の痕と言うか生々しいですね…」
「英雄イナリの素顔を拝見出来るなんて!でも痛々しい…」
「すまないけど名前だけは伏せさせてくれ」
そして傷痕がバレる前に仮面を装着!
「でもどうして私達にも素顔を?」
「クレイグさん、イナリ殿は真実を見極めるれるのですよ、私達を信頼出来ると判断されたのですよ」
「ハッ!そうだった!」
「なに!お主は、そんな力まで有るのか?」
「ま、まぁ〜な、この面が真実を見極める特殊アイテムなんだ!唯し特殊だから普通の者に扱えれるかどうかだ」
「ほう、凄いモノを持っておるのじゃな」
「でもどうしてイナリ殿は、その傷を自分で治さないのですか?」
「それは…さっきも言ったように、この面は特殊なんだ!真実を見極める代わりに呪いのようなモノで顔が爛れ、それを回復しても面を着けたら また顔が爛れるんだ」
「なるほど、何かを得る代わりに何かを犠牲にしないとダメな面なのですね、正しくイナリ殿にしか扱えれないアイテム」
「そういう事」
はぁ〜咄嗟に、それらしい嘘をついちゃったよ!ゴメンなさい!
「そうじゃイナリ殿、バカ息子達との勝負をしてくれた褒美を与えないとダメじゃな、何が良いかの?」
「それなら、この国ならではの お菓子とかケーキとか欲しいかな、出来たら沢山欲しい!」
「そんなモノで良いのか?全然褒美になって無いのじゃが…」
「全然イイよ!家族とか知り合いに、お土産として持って帰るからな!」
「ふむ色々な品を用意させよう」
「この国には、どんなお菓子が有るのか楽しみだ!」
「そうじゃの、この国で名物の菓子と言ったら…」
ダダダダダダダダダダダダダダダッ! ”バンッ!”
「こんな所にいたかイナリ!ハァハァ 探したぞ!」
「バカモノ!何事じゃアルフ!余は今、大事な客人と話をしておるのじゃぞ!」
「ウルサイ親父!俺はイナリに用があるんだ!」
「親に、この国の王に向かってウルサイとは何事じゃ!」
「親父は少し黙ってろ!おいイナリ!」
「何か用か?」
凄い剣幕で入って来たよ…しかもバカ1号の後ろにはバカ234号までいるし、これは仕返しとかリベンジかな?
はぁ〜面倒な事にならなければいいんだけど、やっぱり逃げてヴァルトリアに飛べば良かったかな…?




