武人の誇り
「アハハ!プライドなんかあるかぁー!素顔だと、要らん面倒事が舞い込むから仮面をしいるだけだ!この仮面が面倒事を呼ぶなら違う仮面で名前を変えるだけだ!」
《《《《《《エエエエエエッ!》》》》》》
さてと、今ので納得して諦めてくれる訳ないよな……ん〜この危機をどう乗り切ろうかな?然し王子だと言うのに、全然王子らしくない四人だな、王様相手にも親父とかって呼んでいたし、四人共戦闘狂ときてる……この国大丈夫なのか?
ユーリアの兄貴とかバールドとかが普通なんだね、あっ!バールドで思い出したけどルナ姫様に会う約束忘れてたよ、これは益々早く帰らないとダメじゃん。
「イナリ!貴様俺達を愚弄しているのか!」
「王族相手に愚弄するほど俺はバカじゃないって、真剣に拒否してるだけだって!」
「何故勝負を拒む!?」
「さっきも言ったように俺にはメリットないじゃん、それに剣が当たったらスゲー痛いんだぞ?」
「ぐぬぬ!貴様には武人の誇りも無ければ、どうせ持っている武器も鈍なんだろうな?」ニヤ
強い武人程自分の武器をバカにされるのを嫌う!これだけ挑発すれば乗ってくる筈!
「言っとくけど俺 武人とかじゃないから誇りとかも無いぜ?まぁ武器は鈍だな」
何いい!挑発に乗らないだと!
「イナリ殿、余から一つ良いかの?」
「何かな王様?」
「余だけでも構わぬから素顔をチラッと見せてくれまいか?」
「「「「ダメだー!」」」」
「親父!それはダメだ!コイツの素顔は俺が晒す!」
「俺は別に構わないけど」
「「「「ダメだ!」」」」
「イナリ殿、なんとかバカ息子達と勝負してくれまいか?勝負してくれるなら欲しい褒美を与えるぞ、ダメかの?」
「親父も、あー言ってる!金が欲しいのか?」
誰がバカだ!
「いや、金なんか要らんって」
「ぐぬ!じゃあ爵位か?領地が欲しいのか?」
「いやいや、そんなモノ一切要らんって!」
「そうだ兄貴、イナリは、アマゾーン国へ行っていたと聞いたぞ女だな、女が欲しいのだな!」
「余計要らんって!」
ユーリア一人だけで充分だって!コイツらバカなの?そんなに闘いたいの?
「じぁあ何が欲しいのだ!」
「何も要らんから大人しく帰らせて」
「埒が明かない!俺はやるぞ!」
「うお!?デリックこんな所で剣を振るな!」
マジかよ!
「うおおおおおおおおおおおおお」
すかさずバックから鉄のトンファー一本を取り出し受ける!
”キンッ!”
受けると同時に手首にトンファーで一撃
”ガンッ!”「ぎゃ」カラン
剣を落とすのを確認しながらバックへ廻り手首を極めながら足払い!
シュン ”ズザザッ!”
うつ伏せのまま手首と足を極め締め上げる!
「ぎゃ!いたいいたい!」
「おら!関節を極めたぞ、抵抗出来るモノなら抵抗してみろ」
「クソ!こんなもの!いでででで!」
「この絞め技は抵抗したら、もっと締め上がるんだぞ、どうだ?降参か?」
「いでででで!だ、誰が降参なんか!」
ギリギリ「降参しないと腕が外れるか折れるぞ、おらおら!」
「いい!いでででで!ま、参った!」
「勝負あったの、デリックお前の負けじゃ」
イナリ殿は、強いの。あのデリックの不意打ちに近い攻撃をモノともせず対処し、見た事もない体術でデリックを降参さすとは、中々に面白いの。
「クックソッ!」
「もういいだろ?俺は帰るぞ」
「待て待て!まだ俺達が残っているぞ!」
「エエー面倒じゃん!」
「貴様!まだそんな事を言っているのか!」
「仕方ないなぁ…」
バカ4号じゃないけどこのままじゃ埒が明かないや。
「おっ!じゃあ勝負してくれるのか!?」
「勝負するのは、いいけど 俺にも条件が有る!それを飲めるなら受けて立とう」
「その条件とは?」
「どんな条件なんだ?」
「早く言ってくれ?」
「先走った!」
バカ達が悩んでる悩んでる、さて俺の条件を飲んでくれるかな?拒否するなら猛ダッシュで走って逃げよう。
「その条件とは…」
「「「「条件とは?」」」」
「素手だな」
「「「「なにーっ!?」」」」
「す、素手だと!」
「ああ素手だ、嫌か?」
「ちょ、ちょっと待て!」
「お前ら、もしかして武器が無いと闘えないのか?」
「バカにするな!」
「どうするよ兄貴達?」
クソー!俺は既に負けたからな…
「素手の勝負とは面白いの、のうクレイグ」
「ハッ!全くです」
イナリ殿は、やる事なす事奇想天外!だがそれが彼の魅力なのかもしれませんね。
「そうだ、お前らにハンデをやろう。四人で掛かって来てイイぞ」
「なっ!?」
「バカにしているのか!?」
「いや、その条件飲もう」
「兄貴っ!助かったぜ、それだと俺も参加出来る!」
「「なるほど」」
「少し時間やるから、作戦練るなら練ってもいいぞ」
よっしゃー!これで一気に倒して時間短縮出来る!…周りがシーンとしてたから気付かなかったけど、よく見れば謁見の間、俺達を囲む様に人集りに…観戦目当てで人が集まってる…コレは更にマズイ状況じゃないのかな?
「アルフ兄貴どう攻めるよ?」
「そうだな…俺達四人が先ず一定の間隔を取りながらイナリを四方から囲み、一気に取り押える!腕と足を取り抑えれば、こっちのモンよ!残った二人がボコ殴りして終了だ!」
「だけど、それだと汚くないか兄貴?」
「条件を出したのは奴だ!全然卑怯じゃないぞデリック」
「そう言う事だ、じゃあやるか!」
「「「おう!」」」
「待たせたな」
「もういいのか?」
「あー!俺達に負けたからって後で文句言うなよ!」
「言う訳無いだろ」
別に負けても、失うモノなんか無いし。
「どれ余が立会人を務めようかの」
余が一番の特等席じゃフォッホッホ!
「へ、陛下!危ないから お止め下さい!」
「大丈夫じゃ!宰相こそ、近付き過ぎて巻き添えを喰らうぞ、後ろで控えておれ」
「ハ!…クレイグ、陛下に何かあった場合、直ぐに回復を頼むぞ」
「宰相殿、任せて下さい!」
「両者共 良いかの?」
「あー」
「「「「あー!」」」」
「では……始め!!!」
スタッ スタッ スタッ
取り敢えず軽くステップしながら様子見…ほう〜一定の距離を保ちながら距離を詰める作戦かな?そして一気に取り押えると…
いいか、俺が合図を送るまで手を出すなよ!一定の距離を保つんだ!
解ってるぜ兄貴!
コクコク
コクコク
思考を読まなくても脳筋の考えそうな事は見え見えなんだよ!もう少し距離を詰めてくれ、お前ら背丈が似てるからラッキーなんだよ。おらもう少し近づけ…きた!
「今だッ!」
「「「オオーッ!」」」
待ってたぜ!一気に顎先目掛けて回し蹴り!
ビュンッ!!!!
カン!「おっしゃ捕ま…」バタ
カン!「あに…」バタ
カン!「今だ…」バタ
カン!「取ったぜ…」バタ
シーーーーーーーーーーーン
「な、なんじゃ今のは!?」
「王様、俺の勝ちだな」
「しょ勝者イナリ殿!」
一瞬過ぎて余には何が起きたか理解出来なかったぞ?今のは一体…?
ワーワー ザワ ザワ!なんだいまのは?
ワーワー ! 一瞬すぎて? ワーワー!
何がどうなったの? ワーワー ザワ ザワ
アルフ王子が負けるなんて!ザワ ザワ
他の3人の王子もだ ! ワー ! ワー!
「イナリ殿!今のは何を為さったのですか?」
「医術師のクレイグさんなら判るだろ?」
「いえ全く?」
「脳を揺らしたんだよ」
「な、なるほど!」
「クレイグ!余にも教えてくれ!アレは何なのじゃ?イナリ殿が一周回った途端にバカ息子達が沈んで行きよったぞ?」
「陛下、アレはイナリ殿の蹴りが王子達の顎先に掠る様に当たり、その一瞬で脳が揺れたのです!脳が揺れ王子達は気を失われたのです」
「流石クレイグさん、正解!補足として自分の意思でない状態で揺れる場合、気分が悪くなったりするだろ?アレの酷いバージョンが気絶かな…だから命に別状ないから心配要らないぜ、少ししたら起き出すから」
「ふむ何とも凄いモノを見せてもらったの」
「じゃあ俺は帰るぜ」
「ま、待たれよイナリ殿!」ガシッ
「ちょ!王様!」
何故に俺の腕を掴むの!?
「暫く滞在して行かれよ」
「いや俺、ヴァルトリアに帰りたいから」
「そう言わずに頼むのじゃ」
「イナリ殿!私からもお願いします!」
「え〜クレイグさんまで、それ言うの〜」
はぁ〜早く帰りたいのになぁ〜どうしようか
「そうじゃイナリ殿!何か欲しいモノは、ないかの?良い勝負を観せてくれた礼がしたいの!」
「欲しいモノねぇ〜…」
別にコレといって無いのだけど…そうだ、アレがいいかな、ルナ姫様に会うから色々お菓子やらケーキがいいな、ルチハにシャル、ニーナちゃんに、ユーリアにもお土産に持って帰れそうだし、あっ!エリーゼ姉ちゃんを忘れてた!
よっしゃ!それで決まりだ!