What do you like?
ミディアムは涙を流し続けていた。彼の自慢の髪は見る影もない。もはや彼のアイデンティティが失われたも同然だった。
「許せねぇ......‼︎、よくもミディアムを‼︎‼︎」
餡と羽酢は変わらず正気を失っていた。こいつらに非がある訳ではない。ただそれでもこいつらには腹が立った。
「お前らを俺は許せねぇぇぇぇぇぇ‼︎‼︎」
羽酢に殴りかかる。が、殴ろうとしたその拳は届かなかった。餡に俺の拳は受け止められていた。
「杉尾....止めて、羽酢は悪くない」
「餡....⁉︎ お前意識が戻ったのか‼︎」
「いや....戻餡ってはいな餡い。またすぐ餡あるに戻ってしまう餡あるよだろう」
「餡‼︎ 駄目だ、正気に戻ってくれ‼︎‼︎」
「餡あるよもう、無理餡あるだ。ただ、一つだけ言わせてくれ....‼︎」
「もう、無理はしなくていい....‼︎ 止めてくれ....‼︎」
「杉尾....俺は餡が好きじゃないんだ」
「餡んんんんんんんんんんん‼︎‼︎」
「あ...あん.......餡あるよぉ、餡....あるよぉ、餡あるよぉ」
「駄目だ、目を覚ましてくれ‼︎」
羽酢にいきなり背中を掴まれる。目の前にはハサミを持った餡がいた。
「や、やめろ。止めてくれ‼︎」
もはや俺に拒否権などなかった。
その日二人のハゲが生まれた。