生贄
「すみませんでした、だから僕を火であぶるのはやめて下さい」
「これは達者な狼ね。来世で頑張って」
「な、なぁもういいんじゃないか?」
宇摩美は腕を組みながら
「....そうね、私はもう満足したし。命令よ、食料を取ってきなさい」
「イエッサー」
ミディアムは海へ飛び込んだ。大方魚でも取るつもりなんだろう。
「ふーん、あいつがミディアムか」
「面白いやつだろ?」
「だな」
仲間が一人増えたことは嬉しいことだった。
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「二つ聞いていいか?」
「どうぞ」
「何でお前血まみれなん?」
「メガロドンに襲われました」
「お前が持ってるのは?」
「メガロドンです」
「私魚嫌いなのよね」
「お前血も涙もないな」
「悪かったわね」
ふぅ、とため息をつきながらもミディアムは俺たちに敵意がないことだけは分かった。
「まぁいいじゃねぇか。たらふく食おうぜ」
「そうだな」
「....割と美味いな」
「そうですね、心が満たされてゆきます」
「お前そんなキャラだったっけ?」
「さすがとれたてってところか」
「まあまあかしらね」
一人増えただけでこんなにも楽しくなるのか。俺は束の間の幸せをかみしめていた。
「? なんか海が騒がしくねぇか」
「気のせいだろ」
「いや....何かが近づいてくる」
海から水しぶきが上がる。
「はっ⁉︎」
そこには二足歩行のメガロドン、しかも巨大な。そこらのビルよりも大きいだろう。
「お前達、よくも我が子を殺しおったな....許さぬ、許さぬぅぅぅぅぅぅぅ‼︎」
「ミディアム」
「何ですか?」
「お前生贄な」
「嫌です」