真実
「なんで....なんで羽酢と餡が⁉︎」
「ふむ、こちらの世界ではそう名乗っていたのか。羽酢と餡などという名ではない。アダムとイヴだ」
そんな、じゃあ今まで友達だと思っていた二人がこの異変の元凶なのか。
「だって俺は何年も前から二人のことは知ってる‼︎
異変が起きたのなんてついこの前なんじゃないのかよ‼︎」
「その様子だとマインドコントロールを受けているな。おそらくお前の仲間達も」
「マ、マインドコントロール....?」
「この島に来てからのことを振り返ってみるといい」
「この島に来てから....?」
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「杉尾‼︎ 今の悲鳴は‼︎‼︎」
こいつは俺の友、羽合餡だ。
「慌てるな、俺に任せておけ」
面倒になったと思いつつも俺は体を浮かし、宿泊施設に念を送る。
「体を....浮かし⁉︎」
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「.....誰だ?」
その時肩を不意に叩かれる。
「よぉ、杉尾」
「お前は論結ミディアム‼︎」
このロン毛とも言えない微妙な髪の長さを持っているミディアムはこの前転校してきた留学生で日本と外人のハーフらしい。
「俺に任せておきな。3分で肩をつけてやる。お前は髪でも結ってな」
悔しいがこいつの強さは小学生3人と同等という恐ろしい強さを持っている。この場では俺よりも強いのは明白だった。
「小学生....三人分⁉︎」
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俺の足に痛みが走る。それがカニだと気づくのに時間はかからなかった。
「なんだ、カニか」
ホッとしているとどこからか声が聞こえてくる。その声の主はカニだった。
「か、カニが喋ってる‼︎」
「そんなことあるわけ「私だよ」ギェェェェェェェェェ‼︎‼︎」
ミディアムは泡を吹いて驚く。お前が泡を吹く役目ではない。
「ねぇ、聞こえてる?」
「誰だよ」
「私だよ、蟹野 宇摩美」
「なんで....蟹になってる⁉︎」
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「もう、もういい。やめてくれ」
「分かったか? 明らかにおかしいことが起きているはずなのにお前は普通に受け入れている。それが証拠だ」
じゃあ、今までのあいつらとの思い出は嘘だったってのか....。
フワッ
地にひれ伏すと何かが落ちてきた。
「これ、これは....」
涙が止めどなく溢れてくる。その正体は
ミディアムがくれた
ーカツラー
「う、うぅ....」
手の上に落ちたカツラはあまりに暖かくてー。