天羽々斬
「大丈夫か? 杉尾」
「西木! 助かったぜ!」
西木は俺たちの中でもトップクラスの力を持っている。現に幻は消え、海は真っ二つに裂かれていた。
「でもお前はバカンスには来てなかったはずじゃ?」
「勘、ってやつだ」
「許さないである、許さないである」
泡をぶくぶくと吹き出し怒りを露わにするブンタロウ。赤くなった体は熱湯に入れられた蟹を連想させた。
「下がってな、すぐにカタをつける」
「馬鹿にするなである。お前も食ってやるである」
「行くぞ、天羽々斬」
「あめのはばきり? 噛みそうな名前の剣であるがそんなので殺せると思っているのである?」
西木は剣を抜くとブンタロウの方向に一太刀剣を振る。
「距離もわからないであるか?.....あるる?」
ブンタロウの後ろが真っ二つに裂かれる。時間差でブンタロウの体が二つに分かれた。
「こんな、こんなはずじゃ....ある」
ブンタロウは倒れ辺りは静寂に包まれた。
「ふぅ、こんなもんかな」
「助かったぜ西木。ってあれ? 宇摩美は?」
「あぁ、宇摩美なら俺のポケットの中に入ってるよ」
「ふぅ、息苦しかったわ。同族が死ぬのは見たくないものね」
とにかく西木が来たなら大丈夫だ。早くこの場から離れないと。
「行こうぜ、西木」
「あー....それなんだが」
頭をかきバツの悪そうな顔をする。
「今世界でも同じようなことが起こっててな? その発信源の大元がこの島なんだと。そんでそこにいる人は危険があるためこの島から出てはいけないらしいぜ」
「なんだよそれ、 それじゃあ俺たちは」
「あぁ、島へ逆戻りだ」