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1ヶ月が過ぎた

 カルマが王都サピオに来て1ヶ月が過ぎた。

 色々なことがあった。

 『夜天光やてんこう』にお世話なった日から最初の3日はモーリエにサピオの街やギルドを案内してもらった。

 カルマは色々なギルドをみた結果、『夜天光』に入ることを決意すると、そのままギルドマスターに申し込み、認可を貰い、晴れて『夜天光』の一員になった。

 それからの約1ヶ月は実力測定を兼ねた訓練と簡単なお使いや犬や猫の捜索などの初歩的な依頼をこなした。

 そして、とうとう討伐依頼……ではないが、近場でそこまで難易度は高くないのだが、王都の外に出る依頼を請けることになった。







「確認するぞ」

 ギルドマスターのオグンの声がギルド内に響く。

「場所は王都から北東へ2日ほど行った場所にあるカシワミの森。目的は雪の実の採取。状態が良いほど報酬は高いからな」

「はい」

 少し緊張気味に答えるカルマと、「分かりました」と気軽に答えるイルカは対照的だった。

 イルカは今回の依頼でカルマの相棒兼保護者を務める青年で、料理人でもある。

「それでは行きましょうか」

 それだけを言うと玄関に向けて歩きだすイルカにカルマは慌てて着いて行くのだった。




「カルマ君は雪の実についてどれぐらい知っているのかな?」

 ギルドを出て少し歩いたところで思い出したようにイルカはカルマに問いかける。

「ギルマスから聞いた事以外には詳しい事は知りません」

 申し訳なさが混じったその声にイルカは気にする様子もなく説明を始める。

「雪の実はカシワミの森の中央に近い場所に生えている冬の樹と呼ばれる冬に花が咲く樹になる実だ。採取自体はさほど難しくない、高いところにっているだけだからな。問題はカシワミの森の方だが―」

 イルカはどことなく教官のような教師のような口調で説明を続ける。

「獰猛な動物でもでるんですか?」

「まぁいることはいるが、問題はそこじゃない。カシワミの森はな、別名“迷いの森”と呼ばれていてな、遭難者の多い森だ」

「遭難ですか…」

 緊張からか不安からか固い声でそう返すカルマ。

「大丈夫だよ。確かにカシワミの森は迷いやすいが、僕は何度もあそこには任務や食料調達で行った事があるからそうそう迷いはしないし、迷ってもどうにかなるよ」

 緊張をほぐす為か口調を変え、優しくカルマに微笑みかけるイルカ。

「そ、そうですよね」

 それでも村から王都に来た時にしか外を知らないカルマにとっては今回の依頼は緊張する依頼のようで、そう不安の残る返事をするカルマに苦笑するイルカなのであった。


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