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語り継がれる者と語り継ぐ者

 モナルカ様が消えてしまわれてどれだけが経っただろうか。あの後、やはり魔法が消滅した事で世界は混乱した。

 そんな世界の中、ギルドの人達、特にモナルカ様の兄であるカルマさんは英雄扱いをされていた。どうやら人々の記憶の中で、モナルカ様の功績が兄の功績へと差し替えられたらしい。

 しかし、そんな英雄をみんながみんな称賛した訳ではなく、中には魔力を奪った者と批難する者もいた。

 わたしはあれからも変わらずモナルカ様の事を覚えているし、腰間にいたモナルカ様から頂いたこの剣もしっかりと持っている。

「………モナルカ様」

 剣の柄をなぞると、わたしは落ち着いてこの剣を見た時の驚きを思い出して、気づけばそっと息を吐いていた。

「モナルカ様、貴方は本当に何者だったんですか?」

 わたしはそう、空に向かって問いかける。この剣は魔力を帯びている…いや、帯びているというよりも自力で魔力を精製しているようで、世界を消滅させる者との戦いの後、わたしのような変則的な存在以外から魔力が消えても、この剣はその魔力を失わずにいる。

「……真なる魔剣ですか」

 あの時、モナルカ様がこの剣を呼び出した後に言っていた事を思い出す。今ならその意味も理解出来るような気がした。

「こんなものを人が造れるとは思えません。こんなとんでもない代物が造れるのはそれこそ……」

 そこまで考えると、わたしはその考えを頭から追い出すように頭を勢い良く左右に振る。

「馬鹿馬鹿しい、今となってはどうでもいい事です」

 わたしはそう言って気持ちを切り替えると、ひとつ息を吐いて歩みを進める。

 わたしはあの方の事を、モナルカ様の事を記憶しているこの世界で唯一人の存在として、これからはモナルカという人物の物語を語っていこうと思っている。たとえおとぎ話と言われようと、それであの方の足跡が僅かにでも残せるのなら、それがわたしの使命だと思うから。


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