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安い矜持

「それでは、我々もノーア荒野への移動を開始しましょうか」

 ギルド本部の会議室でオグンはそう言うと、静かに椅子から立ち上がる。

「本当に行くのですか?」

 ルーが少し困ったようにオグンに問いかける。


 魔物の群れが新たに確認されなくなった後、委員会のメンバーは各ギルドメンバーと共に、ノーア荒野にて世界を消滅させる者に世界の命運をかけた戦いを挑む事に決まったのだが、モナルカとティトルに避難を優先的にする事、と言われていたルーはそれを主張したのだが、結局は受け入れられなかった。

(意地…と言いますか、世界の危機に黙ってはいられないのでしょうけど…)

 ルーは委員会の他のメンバーの気持ちも理解出来た。ティトルと言い合った時の自分も、おそらく同じ気持ちだったからだ。

 だけど、ティトルが忠告した時の雰囲気は、そんな安い矜持などは意味が無い事を悟らずにはいられなかった。

 それだけが原因ではないのだが、ルーは委員会の会議でオグン達の意見に反対したのだが、結局受け入れられず、後はどう損害を減らすかを考えるしかなかった。

 ティトルの口振りからして、ルーにはいくら人を集めようとも、自分達だけで世界を消滅させる者に勝てるとは到底思えなかった。


「ええ、世界の存続の危機ですからね、黙ってはいられませんよ」

 オグンの表情には…いや、この場に居る自分以外の全ての人間の顔には、使命感といえばいいのだろうか、大義を掲げた人間特有のやる気のようなものに満ちていた。…少なくとも、ルーにはそう見えていた。


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