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土人形

「くっ、相変わらず次から次へと湧いてくるっ!」

 あまりの魔物の多さに、カルマは耐えるように歯を食いしばる。

 カルマ達は現在、新たな魔物の一群と戦闘を開始していた。

 群れの規模でいえば、先日の魔物の一群よりはやや少ないらしいが、戦っている本人達にしてみれば、どちらも変わらず多すぎて、あまり実感は無かった。

「ほんと、こいつらはいったいどっから湧いてくるのやら。っと」

 カルマは魔物を斬りながらも、ついつい愚痴をこぼしてしまう。

「皆は…相変わらずか。『宝相華ほうそうげ』の人達も似たようなものだな」

 カルマは周りで戦っている『夜天光』のギルドメンバーと、最近ずっと協力して魔物を殲滅しているルーのギルド『宝相華』のギルドメンバーの方を確認すると、小さくため息を吐いた。

「増援は…確か来ないんだったよな」

 事前に聞いていた話によれば、先日のように途中から増援が来る、という事はないらしい。

「これは、少しヤバいかも知れないな…」

 皆の顔に疲労の色がありありと浮かんでいるのを見て、カルマは自分が嫌な汗をかくの感じた。


「はぁっ!」

 灰になっていく魔物、これでいったい何匹目だろうか。剣を振るいながら私はそんな事を考える。

 近くで戦っているギルドメンバーも、まるで競うかのように魔物を倒していく。

 しかしそれでは足りない、このままいけばじり貧だろう。皆疲れが溜まりすぎている。

 だから、何かきっかけが欲しかった、この結末を回避する為の、事態を好転させる為の何かが…。

 その願いが天に通じたのだろうか、視界の端に大勢の何かが写り込む。

「増援?でもそんな話――」

 そちらに焦点を合わせると、大勢の人のような何かが、こちらに押し寄せて来ていた。

「敵!……じゃない…のかな?」

 見た目は人そのものだが、同じ体格、同じ服装、同じ顔をしたそれは、近くにいた魔物へと攻撃を開始する。

 魔物もその何かに反撃しているところから、少なくとも魔物とは違う勢力なのだという事は理解出来た。

「だからって、味方とは限らないんだけど…」

 私は未だに敵か味方か分からないその一団を警戒しつつも、周囲の魔物と戦っていた。その時、

「あれは…モナルカの土人形か?なんでこんなところに。…あいつもどこかで戦っているのか?」

 すぐ近くで戦っていた相棒のカルマの呟きが耳に届く。

(モナルカって確かカルマの弟君の名前だったよね。という事は…)

 私はもう一度離れたところで戦っている、カルマが土人形と呼んだ何かへと視線を向ける。

 そこでは、人の形をした何かが魔物と戦っていた。

 草でもかき分けるかのようにいとも容易く魔物を倒していくその何かは、どうやら援軍のようだった。


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